イライラを解消する食べ物 – 食事でストレス対策を
イライラという感情は「自分の思うようにならない様」を指します。つまり、簡単に言えば「希望」や「理想」と、「現実」が不一致であることが主な原因です。
しかし、特に理由もないのに常にイライラしている人の場合、食事の偏りが原因となっている場合があるのです。
これは、私たちの体が「食べたもの」によって作られているためです。
イライラの原因が食べ物にあると聞いても「まさか」と思うかもしれません。しかし、感情や行動は、脳から神経伝達物質や脳内ホルモンによって体に伝えられます。これらの分泌物は、食べ物からの栄養素を原料として合成されているのです。
食事が感情を左右する?
イライラとは「感情」です。栄養素が感情に影響を与える理由は、感情を生み出すのが「脳」だからです。
感情の元となる情動は、大脳皮質などが影響を与え合って発生します。
- 大脳新皮質
- 大脳辺縁系の古皮質
- 大脳辺縁系の旧皮質
脳が「イヤだ」と感じれば、脳や身体の活動を停滞させるホルモンが分泌されます。心は「イラ立ち」「憂うつ」「孤独」などを感じます。
反対に脳が「イイな」と感じれば、「幸福」「安心」「意欲」を向上させるためのホルモンが分泌されます。
つまり、脳が情動(感情の元)を生み出し、ホルモンがメッセンジャーとなって心に伝わり、感情となって表面に現れるのです。
脳もホルモンも、栄養素を原料として作られています。脳の健康維持に必要な栄養素が不足すると、脳の機能に異常が発生します。このため、心にも影響するのです。
正しい食生活ってどんなもの?
脳の形成や脳内ホルモン、情報伝達物質の合成には、ミネラルやビタミンが不可欠です。
そのためには、必要な栄養素を必要な量摂取することが大切です。普通の生活に必要な栄養素は、栄養バランスの良い食事を規則正しく摂ることで十分摂取できます。
食事バランスについては、厚生労働省と農林水産省が共同で「正しい食生活」の指標を作成しています。コマに見立てた「食事バランス表」を見たことがある人もいるでしょう。
「食事バランスガイド」は、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。
この図は、上にあるものほどしっかりと食べる必要があることを示していて、上から
- 主食:ごはん、パン、麺
- 副菜:野菜、きのこ、いも、海藻料理
- 主菜:肉、魚、卵、大豆料理
- 牛乳・乳製品
- 果物
ここで注意しなければならないのは、調理方法や食材が偏らないようにすることです。
同じ食材でも、調理方法によって摂取できる栄養素の割合が変化します。また、栄養素は必ず他の栄養素と結びついて効果を発揮します。 偏った食生活は、肥満、糖尿病などの病気だけでなく、心の病気の原因にもなることを認識しましょう。
積極的に摂りたい栄養素
イライラが続く時、不足しているもしくは不足しがちな栄養素があります。積極的に食事に組み込み補充していくことで、イライラの緩和や解消に役立ちますよ。
ただし、一度にたくさん摂取すれば良い、食べてすぐに効果が現れるというものではありません。継続して摂取することが大切です。
トリプトファン
神経伝達物質「セロトニン」の、最も重要な原料となります。セロトニンは、精神安定、催眠、鎮痛などの作用がある神経伝達物質です。このセロトニンが不足すると「幸福感」を感じにくくなると言われています。
- バナナ
- カッテージチーズ
- 牛乳
- アーモンド
- きな粉など
ビタミンB6
神経伝達物質の合成に欠かせないビタミンです。不足するとイライラ、記憶力低下、神経過敏などが起こります。またトリプトファンと一緒にセロトニンの原料となります。
- にんにく
- 牛・鶏・豚のレバー
- まぐろ
- 鮭
- さば
- ごまなど
マグネシウム
骨の生成に欠かせない栄養素ですが、脳や神経の興奮を鎮め精神を安定させる働きもあります。トリプトファン同様、セロトニンの原料です。しかし清涼飲料水などに多く含まれるリンを取り過ぎると、マグネシウムの吸収が妨げられるので注意が必要です。
- アーモンド
- カシューナッツ
- 大豆
- 納豆
- 豆腐
- バナナ
- ほうれん草など
ビタミンB1
脳のエネルギー源であるブドウ糖の代謝に欠かせないビタミンです。不足するとイライラ、憂うつ、疲労感、食欲不振などの症状が出ます。
- 大豆
- ウナギ
- 豚肉
- 卵黄
- じゃがいも
- さつまいもなど
ビタミンC
美容に欠かせないビタミンCですが、不足するとストレスの解消の障害になります。また、ストレスに対抗するための副腎皮質ホルモンの原料であるため、ストレスが続くと大量に消費されます。
- いちご
- グレープフルーツ
- オレンジ
- ほうれん草
- ブロッコリー
- キャベツなど
タンパク質
ビタミンCが副腎皮質ホルモンを合成するときに、酵素として働きます。
- 鶏もも肉
- 牛もも肉
- マグロ
- アジ
- 鮭
- 牛乳
- ヨーグルト
- 豆腐など
カルシウム
神経の情報伝達に欠かせないミネラルです。不足すると骨から溶け出して補充されます。このため、イライラに直結はしにくい栄養素です。しかし、不足分を骨から補えば、骨のカルシウムが不足しますので、十分に補いましょう。
- プロセスチーズ
- ししゃも
- 油揚げ
- 厚揚げ
- しそ
- みそ
- 小松菜など
脳に必要な栄養素が不足すると、脳の健康が維持できません。また脳の健康を損なうような間違った食事を続けていると、脳の機能低下や心の病気にもつながります。
イライラや憂鬱などのネガティブな感情の継続は脳からのメッセージなのです。いつもイライラしていると感じるなら、一度、食生活を見直してみると良いかもしれませんね。