睡眠薬が不安感を作り出す理由 – これは副作用?
睡眠薬には、睡眠効果以外にも、気持ちを落ち着かせイライラ感や不安感を抑えるという働きを持つものがあります。
そのため、不安感を紛らわせる目的のために、睡眠薬を使用するという方もいらっしゃるほどです。
しかし、このような使い方は本体の睡眠薬の使用目的とは異なるために、思わぬ副作用や問題を引き起こすこともあるのです。
誤った目的で睡眠薬を使うのは危険
現在主流で使われている睡眠薬は、「ベンゾジアゼピン系」や「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる成分で作られたものです。
これらの成分は、実は抗うつ剤や精神安定剤などに使われている成分と変わらないもので、気持ちを落ち着かせイライラ感や不安感を抑える働きを持っています。
ですから、確かにイライラや不安感を一時的に紛らわすためにはうってつけなのです。
しかし、睡眠薬の本来の使用目的は睡眠の誘発と持続であり、不眠症の治療に用いるためのものです。そして、睡眠薬を使用する場合は、なるべく3週間〜1ヶ月程度の服用を目安に、その後は徐々に薬の量を減らしていくのが良いとされています。
先述のように、不安感を紛らわせるために睡眠薬を使用するのは本来の目的から外れますし、不安の原因を解決しないことには、どんどん睡眠薬の服用量が増えてしまう原因にもなります。さらには、睡眠薬がないと落ち着かない、余計に不安感を強く感じるようになってしまうことにもつながりかねません。
このことは、不安が原因で不眠になっているケースにも当てはまります。
不眠の裏に別の病気が潜んでいるかも
不安が原因で不眠になっている場合、その裏には別の病気が隠れている可能性があります。他にも、毎日のストレスや憂うつ感によって眠れない場合も同じです。
このような理由で眠れないのは、不眠症というよりも、うつ病の疑いがある可能性が濃厚なのです。
しかし、患者さんが「熟睡感がない」と訴えると、すぐに睡眠薬が処方されることがあります。もちろん、同時に不眠の原因であるうつ病の治療が行われれば、いずれは不眠も解決するでしょう。ですが、もしうつ病が見落とされていて、単に不眠を解消するためだけに睡眠薬が処方されたらどうなるでしょう?
当然、うつ病自体は徐々に悪化していくでしょう。そして、不安感は日増しに強くなり、睡眠薬への依存も徐々に強くなっていきます。
本人も医師も気づかないまま、徐々に日中の不安感も強くなっていくのです。
結果的に、不安感を紛らわすために服用し始めた睡眠薬が、逆に不安感を強くしてしまうのです。
睡眠薬に安易に頼らない
このようなことに陥らないためにも、睡眠薬に安易に頼らないようにしましょう。
上述したように、睡眠薬は、精神安定剤としてもなんとなく機能してしまいます。
しかし、簡単に処方してもらえる薬だからと言って、副作用がないわけではないのです。このことを、よく理解しておきましょう。
睡眠薬の副作用については、以下の記事で詳しく説明しています。一度目を通していただければと思います。