睡眠薬の依存症は深刻 – 立ち直る方法は
睡眠薬に依存症があると説明しても、最近では「睡眠薬に依存症や副作用があったのは昔の薬の話でしょ?」という方もいます。
薬の安全性が高くなったと医者や薬剤師が言っていたからなのか、インターネットでそのような情報を得たからなのか(そうした情報のほとんどが、製薬会社の広告ページから拡散されているようです)は分かりませんが、一概にそうとは言えないのが真実です。
インターネットで少し調べてみれば、具体的にどのような人たちが、どのような依存症の症状に苦しんでいるのかは、すぐに分かります。
心療内科に行って「最近寝られず、途中で起きちゃうんです。何週間も続いちゃう事もあって」と、精神科医に告げれば、間違いなく「睡眠障害」と病名が付いて、睡眠薬が処方されます。 これを飲むと依存症になります。
— 夏目胆石 (@NatsumeStone) 2015, 4月 5
ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬への依存、中毒が社会問題になっているけどわたし十年近く飲み続けてるし全然大丈夫だよ!って言おうと思ったらただの立派な中毒だった。 — (@_h_e_r_o_i_n_) 2014, 11月 18
また、寝られない。禁断の酒と睡眠薬を併用しても、ダメだ。何に悩んでるんだろう。自分でも分からない。仕事に疲れてるのに、何故寝れないんだろう。
— 古川 賢一郎 (@ken_chan1967) 2012, 8月 11
睡眠薬の依存症になりやすい人の特徴
睡眠薬の依存症に苦しんでいる方を見ていると、依存症になりやすい人の傾向には、以下のような特徴があるように思います。
- 長期間(1ヶ月以上)睡眠薬を服用し続けている。
- 不眠症だけでなく、憂うつ感や不安感に悩んでいることがある。
- 規則正しい生活は、あまり得意な方ではない。
- 睡眠薬を飲まないで眠ろうとすると、余計に眠れなくなる。
- 睡眠薬を飲まないで眠ろうとすると、不安になる。
- 睡眠薬が効きにくくなって、量を増やしている。
- 睡眠薬が効きにくくなって、複数の睡眠薬を処方されるようになった。
これらの中から、いくつかの項目が当てはまるという場合、自分にも依存症の傾向がある、もしくは睡眠薬に依存しているという事を認識しておいた方が良いでしょう。
睡眠薬は、そもそも短期間の使用で服用を中止するべき薬です。睡眠薬の使用説明書にも、そのことは大抵書かれています。それなのに、1ヶ月以上も睡眠薬を飲み続けているという時点で、それは不眠症の根本的な治療ではありません。
もし、お医者さんに睡眠薬を徐々に減らすように言われていないのだとしたら、根本的に不眠症を治療しようと考えているわけではない可能性があります。
とにかく、睡眠薬を飲んでもらって、対処療法(応急処置)として眠ってもらう。あなたはそうした「治療法」にずっと頼っているのです。
しかし、これは不眠の症状を悪化させ、依存症を加速させる原因となります。
なぜ依存症が起きる?
以前にも説明しましたが、現在販売されている主流な睡眠薬のほとんどは、精神安定剤(抗うつ剤)などと同じ成分で作られています。
睡眠薬は抗うつ剤と同じ
ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系などと言われるこれらの睡眠薬は、眠気を催すと同時に、感情をコントロールしている中枢神経に作用します。
脳から不安や興奮状態を一時的に取り除いてくれるのと同時に、徐々に薬に対する耐性(体が薬に慣れてしまい、薬の効果が得られなくなる症状)を作り出します。その結果、薬の量が増えたり、種類が増えたりし始めるのです。
睡眠薬の精神依存
また、こうした睡眠薬自体の問題とは別に、睡眠薬に対する「精神依存」も始まります。これは、どのような種類の睡眠薬でも起こります。簡単に言えば「睡眠薬がないと眠れない」という不安が作られることによって、睡眠薬なしの状態で眠ることに極端な緊張感を覚える状態です。
精神依存によって、睡眠薬を手放せない。そうすると、さらなる依存症の症状へと踏み込むことになるわけです。
恐ろしい、睡眠薬の「離脱症状」
さらに問題となるのが、薬の離脱症状です。睡眠薬は、精神安定剤と同様の成分と書きましたが、離脱症状も精神安定剤のそれとほとんど同じです。
離脱症状というのは、薬をやめようとすると、反作用で様々な身体的な症状があらわれる、恐ろしい症状です。
例えば、手や体の震えや発汗、動悸が早くなったりするなど、身体的なもの。異様な不安感に襲われたり、急にイライラするなどといった症状。不眠の症状が悪化するという例もあります。
こうした事実が、結果的に睡眠薬に「依存症」「中毒症」があると言われている要因なのです。
昔よりは確かに良いが..
しかし、なぜこうした事実があるにも関わらず、医師や薬剤師も含め、多くの人が「最近の睡眠薬に依存症はない」と言っているのでしょうか。
その真意は分かりかねますが、ひとつには、最近になってこうした事実がやっと明るみに出始めたということも言えるでしょう。
薬というものは、発売されてから多くの人が服用し、長い期間が過ぎて、やっとその本当の効果や危険性が分かり始める、危ういものなのです。
先ほど説明したような副作用は、一時的な臨床実験では分からないこともあるのです。
しかし、多くの方が長期間服用して、初めて様々な副作用の症例が明らかになり始めます。
昔、睡眠薬として販売されていた「バルビツール酸系」と呼ばれる睡眠薬に比べると、現在主流の睡眠薬は、確かに安全性がぐんと上がりました。
しかし、依存症の危険性が高いにも関わらず、長期間の服用を認めてしまう。根本的な不眠症の解消には繋がらない現在の治療法は、これからもますます睡眠薬依存症の患者さんを増やしていくことになるでしょう。