ハルシオンの副作用で一番注意しないといけないことは?

睡眠薬

ハルシオンは効果が強く、即効性のある薬です。しかし、依存や朦朧(もうろう)状態を起こす頻度が他の薬に比べて多いため、処方には慎重さが求められる薬でもあります。

ではどのような人に処方され、服用にはどのような注意が必要なのでしょうか?

ハルシオンは誰にでも処方される薬?

ハルシオンは「寝つきの悪いタイプ」の人に処方される薬です。現在、睡眠薬の主流になっているベンゾジアゼピン系(以下:BZ系の薬)の睡眠薬の中では、最も効果が強く、即効性の高いものです。

【睡眠薬の効果と1日上限】

・ベンゾジアゼピン系

医薬品名 最高濃度到達時間※1 作用時間(半減期※2) 1日上限
ハルシオン 1.2時間 2.9時間 0.5mg
レンドルミン 1.5時間 7時間 0.25mg

・非ベンゾジアゼピン系

医薬品名 最高濃度到達時間※1 作用時間(半減期※2) 1日上限
マイスリー 0.7~0.9時間 1.78~2.3時間 10mg
アモバン 0.75~1.17時間 3.68~3.94時間 10mg
ルネスタ 成人1.0~1.5時間
高齢者1.0時間
成人4.83~5.16時間
高齢者6.49~7.59時間
成人3mg
高齢者2mg
※1「最高濃度到達時間」:薬効の血中濃度がもっとも高くなるまでの時間(効き目が最大になるまでの時間)
※2「半減期」:血中濃度が半分になるまでの時間(効き目が弱まってくる目安の時間)

しかし、ハルシオンは強い効果と即効性というメリットの反面、危険性の高い副作用があります。もちろん副作用は誰にでも起きるものではありませんし、確率としては大きくありません。
これに対し、同じ「寝つきの悪いタイプ」に処方される薬でも非BZ系の睡眠薬は、反跳性不眠、耐性、依存が起こりにくいとされています。ただし、催眠効果は弱めになっています。

反跳性不眠とは睡眠薬を急に中止することによって起きる不眠です。離脱症状の一つであり、この反跳性不眠はそれまでの不眠のようにいつまでも続くわけではなく、薬効が体から抜けるのに従って改善されます。

また耐性は、薬に対して体が慣れてしまい効果を得にくくなることです。
一方で依存は、薬の常用により、薬効が体内にあることが正常な状態となることによって起きる症状です。体内から薬の成分が消えることが異常となるために、薬を飲まないと心臓、脈拍、呼吸などが正常に行われない状態になります。

このため、ハルシオンは不眠の初期で処方されることが少ない薬です。一般的に、他の非BZ系睡眠薬などで十分な効果が得られない、寝つきが悪いタイプの不眠に対して、第二選択薬として使用されます。

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睡眠薬の副作用で怖いものは?

薬には必ずと言っていいほど副作用があります。ハルシオンの副作用には、どんなものがあるのでしょうか?

主な副作用としては以下の症状があります。

【ハルシオンの主な副作用】

  • めまい
  • ふらつき
  • 眠気
  • 倦怠感
  • 頭痛・頭重
  • 一過性健忘(物忘れ)

副作用は誰にでも必ず起きるものではありません。ハルシオンの添付文書によると、これらの副作用の発現は12,930例中の338例(2.61%)です。過度に心配し過ぎる必要はないと言えるでしょう。

ただし、ハルシオンは耐性、依存性形成が起こりやすい薬の特徴を持っています。

【耐性、依存性の形成とハルシオン】

耐性・依存性が起こりやすい薬の特徴 ハルシオンは?
睡眠薬の効果が強い
睡眠薬の量が多い
服薬期間が長い(6か月以上)

個人差による
睡眠薬の半減期が短い
2.9時間
ベンゾジアゼピン系≧非ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系

脳

また、ハルシオンの添付文書には以下の記載があります。

薬物依存(頻度不明)、離脱症状(頻度不明)

大量連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量を超えないよう慎重に投与すること。 また、大量投与又は連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。特に、痙攣の既往歴のある患者では注意して減量すること。

引用:「ハルシオン添付文書」PDF

※離脱症状 急に薬をやめることによって起きる様々な不快症状。気分が悪くなる、イライラする、頭痛、発汗、反跳性不眠などの服用前、服用中には起きなかった症状。

ハルシオンで最も問題とされるのは「夢遊症状」、「入眠前、あるいは中途覚醒時の記憶の喪失」です。日本では添付文書の冒頭に赤字で「警告」として記載されています。
この他にも「重大な副作用」として「攻撃性」「錯乱」「幻覚」があります。どれも発生頻度は、他の副作用よりもさらに低いものです。しかし発生時の危険性や社会への影響の大きさなどから、各国で問題視されています。

このようにハルシオンは、安全性は高いけれど、発現すると危険な副作用もある薬です。

すでに服用中の場合は、積極的に自然な睡眠を取り戻す努力を行いましょう。それには生活習慣の改善、ストレスへの適切な対処が重要です。
そして、自然な眠りを得られるようになったら、医師と相談して断薬に取り組みましょう。

睡眠薬の悪用は防げない?

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ハルシオンに限らず、睡眠薬とお酒を同時に摂取すると相互作用で効果が増強されます。このため添付文書では、ハルシオンは「できるだけ避けること」、その他の睡眠薬も「避けさせること」と明記されています。
直接命に関わるようなことはないとされていますが、急激に眠りに落ちる、強い酩酊(めいてい)、ロレツが回らなくなる、健忘、失禁などの症状が現れます。

このため、犯罪に使われることが少なからずあり、厚生労働省では、睡眠薬悪用の被害を防ぐため「悪用防止対策の要請文書」(PDF)を出しています。

この要請に基づいてすでに一部の睡眠薬(ロヒプノール、サイレース)では、「水に溶けると青く」変色するように変更されました。

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エーザイ㈱:「サイレース青色錠剤に関するお知らせ」
中外製薬㈱:「ロヒプノールに関するご案内」PDF

他の睡眠薬も、徐々に変更されていくでしょう。
もちろんブルーハワイのように、元から青色のカクテルもあります。しかしお酒の青味に注意することで、悪用から身を守ることができそうです。

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