ストレスへの対処法 – ストレスコーピングを身につける
精神的ストレスは、精神の不調だけでなく、不眠、胃痛、免疫力の低下など身体の不調の原因にもなります。
このような不調の改善には、ストレスを緩和、解消することが最も効果的です。
精神的ストレスの主な原因は人間関係によるものです。他人によってもたらされる影響や考え方、意見のズレなどが大半です。
しかし同じ状況下にあっても生活・精神のバランス、体調に悪影響を及ぼすほどの「耐え難いストレス」になる人と「それほどストレスに感じない人」がいます。
これは、先天的な要因と後天的な要因に分けられ、意識して改善できるのは後天的な要因です。ここに含まれるのが「認知」=考え方です。
出来事についてどのように考えるかによって、ストレスの感じ方は変わってきます。
このようなストレスを作り出す考え方は「認知の歪みのパターン」として分類されており、8つのパターンとその悪影響については、以下の記事に詳しくまとめています。
私たちは日々様々なストレスを受けています。このストレスがきっかけとなり、認知に歪みが生じます。そこで、ストレスへの抵抗力を高め、対処する方法をあらかじめ取得することが大切となります。
この対処法として「ストレスコーピング」または「ストレスマネージメント」と呼ばれる方法がありますので、ご紹介しましょう。
ストレスコーピングの具体的な方法
ストレスコーピングの具体的な方法が、以下のタイプに分けられます。
- 問題解決型
- 情動処理型
- 認知再評価型
- その他の対処法
1.問題解決型
問題に対して自ら努力する、他者に協力を得る方法です。
「自分が頑張れば、この問題は解決できる」という考え方をしてはいないでしょうか?
他者の助けを借りることは「=負け、無能」ではありません。自分の努力だけではどうにもならない問題に直面することは誰にでもあることです。
ストレスを溜めやすい人に多いのは「我慢」をしてしまうタイプです。また「自分だけの我慢」がかえって問題を大きくしてしまうこともよくあることです。
自分の限界を認めること、他人に頼ることは、自分が成長するためにも必要な事と認識しましょう。
同じように「逃げることは負けること」と考える方もいます。しかし、解決できない問題なら、心身の健康を守るためには、回避することも必要な対処法なのです。
2.情動処理型
信頼できる友人や家族に話を聞いてもらうことで、気持ちの整理をする対処法です。
ストレスからうつ病になりやすい人の特徴に「感情を抑制する」というものがあります。これも情動処理型の一つではありますが、過度に感情を抑えることはかえってストレスになることもあります。
友人や家族に話すことで、過ぎてしまった解決できない問題に関する悲しみ、苦しみ、不満、怒りなどの「負の感情」に有効に働くのがこの方法なのです。
しかし、自分にとって深刻な悩みや問題の場合、多くの人が「大切な家族や友人に話すと心配や迷惑をかけてしまう」「うっとうしいと思われる」などと考えてしまいます。
そういった場合はカウンセラーに聞いてもらうと良いでしょう。カウンセラーには秘匿の義務があるので、第三者に漏れることは基本的にありません。共感を持って聞いてもらうことができ、迷惑をかけるのではないかと心配する必要のない相手なのです。
3.認知再評価型
ストレスを感じる問題に対して、見方や発想を変える、距離を置くなど別の適応方法を探す対処法です。
例えば「相談したいことがあるのに、夫が聞いてくれない。全部任せると丸投げする」ことがストレスになっている場合、他にどんな見方や考え方があるでしょうか?
- 夫は自身が抱えている問題があって、他のことは考えたくないのかもしれない
- 丸投げに見えるけど、信頼しているからすべて任せてくれるのかもしれない
- この類(たぐい)の問題は聞いてくれないけれど、別の問題は真剣に聞いてくれる。こういう問題が苦手なのかもしれない
- 夫に相談したかったけど、聞いてくれないなら誰かアドバイスをくれそうな人に聞いてもらえばいい
物事にはたいてい2つ以上の見方があります。日頃から見方や考え方の転換を心がけることは、認知の歪みを作らないためにも有効です。
自分で転換するのが難しい場合には、第三者にアドバイスを求めたり、「認知療法」「認知行動療法」の書籍やサイトを参考にすると良いでしょう。
4.その他の対処法
「ストレス解消の3つのR」は一般的な解消法です。
- Rest(休養):
質の良い睡眠を十分に取る - Recreation(娯楽的な楽しみ):
趣味、カラオケ、スポーツなどでの発散 - Relax(リラクゼーション):
入浴、芳香浴、音楽の鑑賞など
また呼吸法、自律訓練法も効果的です。
これらは、自律神経のバランスを整える方法です。自律神経は体の機能を無意識的、自動的に調整している大切な神経です。
このバランスが崩れると、脳や内臓に影響を及ぼし、考え方がネガティブになる、体の不調が現れるなどの症状が出ます。
また、これらは緊張や不安の緩和に効果的ですので、睡眠に問題が出やすい人、あがり症の人などには特におすすめです。
ストレスコーピングを身につけてストレスに強くなろう
ストレスの種類は多種多様です。一つの対処法に頼るのではなく複数の対処法を組み合わせて行うことが効果的です。
多くのストレスコーピングを身につけることで、ストレスに柔軟に対応することができ、結果としてストレスを抱え込みにくくなります。
そのためには日頃から対処法を意識し、実践することが大切なのです。