睡眠薬が合わないなら、中止してもらう勇気も必要?

日本では病気の治療に関して、患者さんが医師と一緒になって治療方針を決定するということは、あまりありません。

そもそも、病気を「治してもらう」という気持ちで病院に行き、「自分で治す」という積極的な意識が欠けているとされ、問題視されることさえあります。
薬の服用に関しても、とにかく出された物を飲めば良いと考えるのが普通です。

治療

睡眠薬の「合う」「合わない」

現在の医療では、不眠症は睡眠薬で一時的に症状を改善する、というのが普通です。しかし、睡眠薬という薬は、特に薬の種類によって合う、合わないがはっきりと分かれるものです。
同じ薬にも関わらず、服用する人によっては「効く」「効かない」の違いがはっきりとあらわれます。
理由ははっきりとは分かりませんが、体質や不眠の原因・不眠の症状など、人それぞれ全く異なるからでしょう。

睡眠薬は、脳の中の感情を司る部分(中枢神経)などにも影響を与えます。自分に合わない睡眠薬を飲み続けるということは、それだけで不眠症を悪化させる原因となる場合もあるのです。

副作用という観点から見ても、気分を憂うつにさせてしまう、不安感が増えるなど、良くない影響がたくさんあるのです。

処方された睡眠薬が合わない場合

まだまだ新しい考え方ですが、最近では日本の医療の現場にも「アドヒアランス」という概念が生まれています。

アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する。
患者自身の治療への積極的な参加(執着心:adherence)が治療成功の鍵であるとの考え、つまり「患者は治療に従順であるべき」という患者像から脱するアドヒアランス概念が生まれた。

出典:「アドヒアランス – 公益社団法人 日本薬学会」

処方された薬を服用しても、あまり寝つきが良くない。目覚めた時の気分が悪い。吐き気がしたり、気分が悪くなったり、思いもよらなかった副作用が起こる。
このような時に、ただ我慢して服薬を続けるのではなく、患者さん自身が積極的に治療に参加し、「薬にどんな効果を期待しているのか」「自分はどうなりたいのか」「いつまでに薬をやめられるようになりたいのか」など、自身の希望を伝え、医師と一緒になって治療を進めていくことが大切です。

睡眠薬は、現在では多くの種類の物が開発されています。処方された薬が効かなければ、いくつかの異なる薬を試すということもごく一般的なことです。

ただし、睡眠薬はあくまでも対処療法であり、本当に目指さなければいけないのは、薬がなくても自然にぐっすりと眠れる状況です。
そうした「治療のゴール」についても、いつまでに果たすつもりなのか、医師と共有しておくことも、とても大切なことなのです。

近年では、手軽に処方してもらえる睡眠薬によって、多剤服用長期服用による依存症は深刻な問題となっています。
根本的に不眠症を治したいと考えているのなら、睡眠薬に頼らなくても眠れる治療方法について、真剣に医師と話し合う必要もあるでしょう。

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