睡眠薬は、なるべく使ってはいけない!頼ってはいけない薬

私は、以前医療機関に勤めていました。地域の中では高度医療を提供する、私の住む市区町村の中でも一番大きな民間病院でした。
一方、一般の患者さんと同じように不眠症に悩み、いくつかの病院で不眠治療を受けていた身でもあります。

そんな経験から言えることですが、医療関係者一般の方の不眠症に対する考え方は、大きく乖離していると思います。

ほとんどの医療関係者(特に医師、看護士)は、未だに睡眠薬を積極的に使うように進めています。
しかし、先進諸外国を見ても、日本の現代医療の先端から考えてみても、睡眠薬はなるべく使わないに越したことはないはずです。

睡眠薬

以下は、厚生労働省の研究事業「睡眠薬の適正使⽤及び減量・中 ⽌のための診療ガイドラインに関する研究班」の公開している報告書から、一部を抜粋したものです。

厚⽣労働省研究班の調査によれば、睡眠薬の処⽅率は近年⼀貫して増加を続け、2009年の⽇本の⼀般成⼈における3ヶ⽉処⽅率(少なくとも3ヶ⽉に⼀回処⽅を受ける成⼈の割合)は4.8%に⾄っている。
すなわち、睡眠薬は⽇本の成⼈の20⼈に1⼈が服⽤している汎⽤薬である。

しかし、睡眠薬の処⽅頻度が⾼まる中、⼀部の患者でみられる⻑期服⽤時の依存(耐性、離脱、⾼⽤量、多剤併⽤)や乱⽤(過量服⽤など)が社会問題化している

引用:「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」

この報告書の中では、睡眠薬の依存や過量服用の原因として、患者さんのアドヒアランスの低下が一因であると示しています。
「アドヒアランス」というのは、一方的に医師が病気の治療を指示するのではなく、患者さんも積極的に治療方針を決めていく(参加する)姿勢のことを指します。

睡眠薬は、なるべく使ってはいけない薬

睡眠薬は、一度使用しただけで依存から抜けられなくなる、怖い薬だと言っているわけではありません。
しかし、上記の報告書にもあるように、長く使用し続けることによって、依存症や離脱症状の危険性がどんどん高くなる薬であるということには間違いありません。

少なくとも、4週間以上の連続服用は、身体に依存性を作り出す危険性があるということを理解しておきましょう。

短期服⽤時には睡眠薬による依存形成の危険性は少ないが,⾼⽤量・⻑期間の服⽤が依存形成リスクを上昇させるので避けるべきである。
不眠症状が改善すれば、患者の状態に応じて、頓⽤、漸減、休薬⽇を設けるなどの⽅法がある。症状の推移に対応した治療計画を⽴てることが求められる。

引用:「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」

私自身、医師に言われたことがあるのは、「最近の睡眠薬は、依存性や副作用がないから、長く飲んでも安心だよ」という言葉です。
結局、その言葉を信じたばかりに、後々まで睡眠薬をやめることができなくなってしまったのです。

一度身体に作られてしまった依存性は、なかなか取り除くことができないのです。その事は、しっかりと頭に入れておく必要がありそうです。

睡眠薬を服用するにあたっては、それこそ明確な治療の計画は必要不可欠だと思います。
いつまで薬を飲んで、いつから薬を減らしていくのか。漫然と長期間に渡って睡眠薬を服用し続けることが、どれだけ精神に悪影響を与えるか、あなたはご存知でしょうか。

日本ではまだまだ、睡眠薬の危険性が周知されていないようです。
これは、多くの医師が安全だと言っているベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の話なのです。

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