夜になっても眠くならないのは病気?原因と対処方法

夜になると眠れない

日本人の睡眠時間の平均は約7時間です。ということは、朝6時に起きる場合、夜は11時頃には就寝しているということになりますね。

もし、仕事や学校で朝6時に起きなければならないのに、夜中の2時になっても3時になっても眠れないとしたら.. しかも、それが毎日のように続いたら..

きっと誰でも、病気ではないかと心配になるでしょう。

「眠り病」というのは聞いたことがありますが、「眠れない病」なんていうのはあるのでしょうか?
そこで、夜になっても眠くならない原因を探り、その対処法について考えてみたいと思います。

「夜眠くならない」原因を知る

大昔、電気がない時代は、朝太陽とともに起き、日中働いて、太陽が沈むと眠りについていました。
現代に生きる私たちも、夜になると自然に眠くなります。これは、睡眠ホルモン メラトニンの働きによるもので、夜になるとメラトニンが脳内で分泌されるため、眠くなるということが分かっています。

では、夜になっても一向に眠くならないという方は、どうして眠くならないのでしょうか?

原因1:夜型生活

夜型の生活習慣が身に付いて、昼夜逆転している場合は、夜眠くなりません。このような場合、次のような弊害が考えられます。

  • 夜型の生活による弊害
  • 寝る直前まで強い光(テレビやスマホ)を浴びている
  • 夜遅い食事をとりがちである
  • 寝る前に刺激物(カフェイン、アルコール、タバコ)をとってしまう
  • 運動不足である
  • 夜遅くにお風呂に入ってしまう
  • 昼寝をしてしまう
どれも、夜遅くまで起きている日はやってしまいがちなことですが、実はこれらはすべて、眠れなくなる原因なのです。

原因2:加齢

赤ちゃんの仕事は眠ることと泣くことと言われるくらい、赤ちゃんは良く眠ります。しかし、年をとると眠れなくなった、眠りが浅くなったと感じる方が多いようです。

これは、メラトニンの分泌量と関係しています。メラトニンは、4~5歳をピークにその後は下降して、20歳ごろにはピークの時の3分の1くらいの量になり、その後も徐々に減り続けるのです。
ですから、歳とともに眠れなくなると感じるのは、いたって普通のことなのです。

メラトニンの減少

原因3:ストレス・身体の不調

ある調査では、不眠症の治療中の患者さんの66%、不眠症の疑いのある方の59%が、「ストレスが原因で眠れないと感じている」という結果が出ています。
このように、ストレスがあると、たとえ夜が来て布団に入っても考え事ばかりしてしまい、眠くならないことがあります。

また、ストレスのような心の負担だけでなく、身体に不調(例えば、かゆい、痛い、頻尿など)があると、眠れないこともあります。

「夜眠くならない」に対処する方法

ご自身の状況に当てはまる原因はあったでしょうか?

眠れない夜が続くと、仕事や家事、勉強など日中にやりたいことができず、それがストレスになります。また、睡眠不足になってしまうので、1日中身体が重いような、だるいような状態になったり、何をしていても眠気が襲ってきたり、ひどい時は吐き気をもよおすほどのこともあります。

もし、当てはまるものがあれば、これからご紹介する対処法を、ぜひ試してみてください。

対処1:生活習慣を改善する

夜型の生活を改善するには、生活習慣そのものを見直す必要があります。

寝る直前の強い光を避ける

スマートフォン

テレビやパソコン、スマートフォンは、ブルーライト(青色光)と言って、私たちの身体に備わっている体内時計を乱れさせる原因になります。ブルーライトでなくても、夜間強い光を浴び続けることも体内時計を乱れされます。

体内時計が乱れると、自律神経や内分泌系などが乱れます。自律神経は、呼吸、脈拍、血圧、体温など、無意識に働く様々な機能を司る神経で、内分泌系というのは、ホルモンの分泌に関わる機能です。
これらが乱れると、夜になっても脳がリラックスせず、メラトニンの分泌も不十分になります。

そうすると、夜眠れなくなりますので、夜遅くまでテレビを見たり、布団の中でスマホを見たりするのは避けましょう。
なるべくなら、寝る2~3時間前には止めた方が良いでしょう。
また、体内時計をリセットするには、朝日を浴びることが最も効果的ですから、朝起きたら全身に太陽の光を浴びるようにしましょう。

夜遅くに食事をしない

食欲

夜遅くまで起きていると、だんだんお腹が減ってきます。夕食は食べたのに、また何かつまみたくなるものですね。しかも、そんな時に限って、脂っこいものや甘いお菓子を欲するから困りものです。

ですが、こういった夜食は、胃腸に負担をかけてしまいます。

もし、食後すぐに寝てしまうと、胃が消化活動を続けるため、自律神経のうちの一つ交感神経が活発になります。そうすると、副交感神経の働きが弱まり、脳がリラックスしません。
その結果、眠りが浅くなってしまうのです。

ですから、寝る2~3時間前には、食事を済ませるようにしましょう。どうしてもという時は、軽めの炭水化物やバナナなどが良いでしょう。

寝る前は刺激物(カフェイン、アルコール、タバコ)をとらない

過眠症とアルコール

どうしても夜遅くまで起きていないといけない時、眠気覚ましにコーヒーを飲むことがあります。また、飲み会で夜遅くまでお酒を飲んでいると、タバコを吸いたくなってしまう方もいるでしょう。
しかし、カフェインは、睡眠を浅くしたり、夜中に目が覚めやすい原因になります。

また、アルコールは一時的には眠気を促しますが、夜中にトイレで目覚める原因になります。
さらにタバコにふくまれるニコチンは、精神刺激作用があり、脳が覚醒してしまいますので、夜眠れない原因になります。

ですから、寝る2~3時間前には、コーヒーや紅茶、日本茶、コーラ、チョコレートなどのカフェインの入った飲み物や食べ物は避けましょう。また、寝る時間に関係なく、お酒、タバコは控えるようにしましょう。

軽い運動をする

運動する夫婦

私たちが寝るのは、疲れをとるためです。疲れには、脳の疲れと身体の疲れがありますが、運動不足で身体が疲れていないと、いくら脳が疲れていても深い眠りを得ることができません。また、反対に身体が疲れすぎていても、深く眠ることはできません。

近年の研究で、適度な運動と適度な身体の疲労が、眠気を引き起こすことが分かっています。さらに、運動することで、ストレス解消にもなります。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は自律神経を整える効果もありますから、1日10分だけでも、散歩したり寝る前の簡単なストレッチなどをすると良いでしょう

寝る直前に熱いお風呂に入らない

寝る前のお風呂

夜になると、身体の奥の方の温度(深部体温)が下がることで、眠りにつきやすくなることが分かっています。
深部体温は、身体の表面の温度が上がって、その後徐々に覚めていく時に、下がりやすくなります。
しかし、熱いお風呂に入った後は、なかなか身体の表面温度が下がらず、深部体温も下がりにくくなるため、寝つきが悪くなってしまいます。

そこで、寝る1時間程度前には、お風呂に入っておくようにすると良いでしょう。それも、熱いお風呂よりは、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる方が、脳がリラックスして眠りにつきやすくなります

昼寝をしない

寝転ぶ男性

夜眠れないと、日中眠くなって昼寝をしてしまうことがあります。
そうすると、1日のトータルの睡眠時間はそれで満たされてしまいますので、ますます夜眠れなくなってしまいます。

ですから、なるべく昼寝はしないようにしましょう。日中眠すぎて、生活に支障が出るという場合は、午後の早い時間帯に、30分以内の仮眠をとるようにしましょう。たった30分ですが、これで十分、仕事や家事、勉強の能率がアップすると言われています。

対処2:年齢に応じた睡眠時間を理解する

年齢を重ねるごとに、メラトニンの分泌量が減りますから、必然的に睡眠時間も減っていきます。
具体的に見てみると、睡眠時間は加齢により徐々に減っていることが分かります。

年齢と睡眠時間

年齢と睡眠時間

  • 15歳 ⇒ 8時間
  • 25歳 ⇒ 7時間
  • 45歳 ⇒ 6.5時間
  • 65歳 ⇒ 6時間

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014 (PDF)」p.33

一方、布団の中で過ごした時間は、20~30 歳では7時間程度で睡眠時間とあまり変わりませんが、45歳以上では徐々に増え、75歳では7.5時間を超えるということです。
布団の中で過ごす時間が長い割に、眠れていないと感じるのは当然のことでしょう。

また、必要な睡眠時間は、個人個人違います。平均が7時間だからと言って、7時間眠れていなくても、日中の活動に支障がなければ気にすることはありません。
気にしすぎることが、かえって眠れなくすることもありますから、あまりこだわり過ぎないようにしましょう。

対処3:ストレス、身体の不調に対処する

人それぞれ、色々なことがストレスになりますが、ストレスがあるととかく考えごとばかりしてしまいがちです。
しかし布団の中に入ってまで考えごとで頭がいっぱいになっていると、脳が休まらず(覚醒してしまい)眠りにつくことができません。

一番の方法はストレスを溜めないことですが、それはちょっと難しいでしょうから、なるべくストレスを解消する方法を見つけるようにしましょう。そして、布団の中まで考えごとを持ち込まないようにしましょう。
どうしても考えてしまう場合は、思い切って起き上がって、テレビを見たり、本を読んだり、別のことをしてみましょう。

テレビや読書は眠気を遠ざけるかもしれませんが、憂うつな気分のまま布団の中で過ごすよりは、心の負担が少しでも減るでしょう。

また、身体の不調(かゆい、痛い、頻尿など)がある場合は、そのことが気になって眠れないものです。一旦寝入っても、夜中にかゆみや痛み、トイレに起きてしまうこともあります。

このような場合は、医師に相談し、それらの原因となる疾患を治療することが先決です。
これらが眠れない原因なら、治療によって症状が軽くなったり治ってしまえば、スムーズに眠ることができるようになるでしょう。

「夜眠くならない」病気もある

ここまで、病気とは言えない理由で、夜眠れないことについてご説明してきました。
ここからは、病気によって夜眠れない場合についてご説明します。

原因1:体内時計が乱れている

先述のように、体内時計が乱れると、自律神経や内分泌系などが乱れ、その結果、脳がリラックスせず、メラトニン分泌量が減って、夜眠れなくなります。一時的に体内時計が乱れているだけなら、朝日を浴びることで解消しますが、完全にリズムが崩れてしまい、簡単には戻せないこともあります。

そういう場合に考えられる病気は、概日リズム睡眠障害です。
概日リズム睡眠障害には、主に以下の2つがあります。

睡眠時間のズレ 発症しやすい年齢
睡眠相後退型 睡眠時間が通常より後ろにズレている 10~20歳代で発症することが多い
睡眠相前進型 睡眠時間が通常より前にズレている 高齢者の方が発症することが多い

睡眠相後退型の特徴

睡眠相後退型では、朝方まで眠れず、一度寝入るとしっかり眠るので、遅い時間まで起きられません。夜眠れないのですが、日中の活動や、精神的な状態とはあまり関係ないと言われています。

睡眠相前進型の特徴

睡眠相前進型では、夕方頃から眠くなり、20時頃には寝入ってしまい、夜中の2~3時頃には目が覚めて、それ以降眠れなくなります。

原因2:不安や緊張が眠れなくさせる

一度眠れないことがあり、そのことが発端となって、眠れるか不安になったり、眠らなくてはと緊張してしまうことが原因で、「眠れない」の負の連鎖が起こることがあります
こういう場合に考えられる病気は、精神生理性不眠です。

一度、精神生理性不眠になると、寝室に行っただけで、または布団に入っただけで、「また眠れないかもしれない」と不安や緊張がよみがえり、そのことがさらに眠れなくさせてしまうのです。

原因3:憂うつな気分で眠れない

夜眠れない状態が続き、不眠になると、うつ病を発症しやすいと言われています。
反対に、うつ病の初期の段階では、症状が不眠だけのこともあるくらい、不眠とうつ病は切っても切り離せないものです。

うつ病に伴う不眠では、以下のような症状も見られます。

うつ病に伴う睡眠に関する症状

  • 寝つきが悪い(入眠障害)
  • 夜中に目覚める(中途覚醒)
  • 早朝に目が覚める(早朝覚醒)
  • 熟睡感がない
  • 休んだ感じがしない
  • 朝起きられないなど

また、うつ病では、睡眠障害以外にも、うつ病に特徴的な症状が現れます。以下のような症状があれば、うつ病を疑いましょう。

うつ病に特徴的な症状

  • 何にも意欲・興味がわかない
  • いつも気分が晴れない・落ち込む
  • つかれやすい・身体がだるい
  • 集中力・注意力に欠ける
  • なぜか泣きたくなる
  • 食欲がわかない
  • 頭痛や肩こりがするなど

「夜眠くならない」病気には

自己判断は禁物ですが、もしも当てはまる症状があるようなら、そして症状がひどくて生活改善やストレス解消をしても改善しない場合は、やはり何らかの病気かもしれません。
病気だとしたら、早く治療を始めた方が良いのは言うまでもありませんから、心配なら、早めに医師の診断を受けましょう。

以下に、簡単にどんな治療法があるのか、何科を受診すれば良いのかを挙げていますので、ご参考になさってください。

対処1:概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害の治療は、体内時計を調整することが大きな目的になります。そのために用いられるのが、高照度光療法です。
高照度光療法とは、太陽光に近い強い光を、人工的に当てることで、体内時計を調整する方法です。

睡眠相後退型では朝起きた後すぐに、睡眠相前進型では寝る前に、強い光を浴びることで、体内時計を通常のリズムに戻します。

高照度光療法を行うための機器を設置している病院はまだ少ないのが現状ですが、睡眠専門外来など、睡眠を専門的に治療している病院であれば、取り扱いがあるでしょう。また、一部の精神科では設置しているところもあるようです。受診前に電話などで確認すると良いでしょう。

対処2:精神生理性不眠

精神生理性不眠は、神経質で完璧主義なタイプの方がなりやすいと言われています。「何時になったから眠らなくては」と自分にプレッシャーをかけてしまうことが、不安感や緊張を増強し、眠れなくさせるのです。
また、精神生理性不眠の患者さんは、睡眠ポリグラフ検査などでよく調べてみると、当人が思っている以上に眠れている場合もあります。眠れていないという思い込みが、あるのかもしれません。

ですから、精神生理性不眠の治療は、睡眠衛生指導や認知行動療法が中心で、症状によっては薬物療法を行います。
睡眠衛生指導とは、睡眠についての知識を習得し、生活を改善させるための指導法のことです。また、認知行動療法とは、生活習慣や睡眠に対する考え方について、カウンセリングによって正しい方向へ導く方法です。

このように、精神生理性不眠は、睡眠の正しい知識を持つことで、また考え方を軌道修正することで、改善の方向に向かう病気なのです。受診する場合は、心療内科精神科などが良いでしょう。

対処3:うつ病

うつ病の場合は、うつ病の治療が優先されます。うつ病による不眠でも、認知行動療法が有効であると言われていますが、薬物治療は効果が見込めません。受診する場合は、精神科を受診しましょう。

これらのように、原因となる疾患が違っていれば、専門に診てくれる科も違います。はじめから原因が分かっていれば良いでしょうが、そうでない場合は、何科を受診すれば良いのか迷いますね。
そこでおすすめしたいのは、自宅の近所に、かかりつけ医を見つけることです。かかりつけ医の先生なら、じっくり話を聴いてくれますから、それだけでも心の負担が軽くなります。それに、もしその病院で治療が難しくても、症状に合った治療を施してくれる病院を紹介してくれますから、安心です。

以上、夜になっても眠くならない原因と、その対処法についてご紹介しました。
夜眠りたいのに眠れないというのは、周りの人には分かりにくく、なかなか理解されません。しかし、当の本人にとっては重大な問題ですから、一刻も早く解消されるよう、ご自分でも生活改善など、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

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