睡眠薬を服用したくない時、漢方を処方してもらおう
漢方薬について、どのような印象をお持ちでしょうか?
「なんか怪しくない?」「本当に効果があるの?」「そもそもどこで処方してもらえるの?」色々な声が聞こえてきそうですね。
普段あまりなじみのない漢方薬かもしれませんが、漢方薬のことをもっと知りうまく活用すれば、睡眠薬に頼らずとも不眠の症状が軽減するかもしれません。
そこで、漢方薬について解説したいと思います。
漢方とは?漢方薬とは?
漢方とは、中国から伝来してきた医学で、日本の風土や気候に合わせて日本独自の発展を遂げてきました。 「漢方=漢方薬」と思われがちですが、漢方薬以外にも、薬膳・養生・気功・整体・鍼灸などを総括して漢方と言います。
- 漢方薬:自然の草木や動物などから調合された薬のこと
- 薬膳:漢方薬の材料となる草木を用いて作られた食事のこと
- 養生:規則正しい生活をして健康に気を付けたり(摂生)、病気の回復に努める(保養)こと
- 気功:呼吸法や体操などで血液循環をよくして、病気を予防したり健康を保つこと
- 整体:骨格を矯正して、筋肉や内臓のバランスを整えること
- 鍼灸:はり・お灸により病気を治療すること
漢方は東洋医学とも呼ばれ、よく現代の医学(西洋医学)と対比されます。それぞれで使用される薬を比較してみると、以下のような違いが見られます。
- 漢方(東洋医学)
:植物の根・樹皮・葉・種・果実、動物や鉱物など(これを「生薬(しょうやく)と言う。」)を複数組み合わせて作られる。生薬にはそれぞれ異なった効果があるため、一つの漢方で様々な効果が期待できる。 - 現代医学(西洋医学)
:単一の有効成分から化学的に作られる。漢方薬に比べると効果に即効性があり、効き目も強い。
では、漢方薬の中に、睡眠を促すようなものはあるのでしょうか?
漢方薬は不眠症に効果があるの?
西洋医学で使用される薬は、病気の原因そのものに直接アタックして治療を行うのに対し、漢方薬は、その方の体質や体力、生活に合わせて処方され、体質改善を目指すのが目的です。
ですから、ひと口に不眠症と言っても、その方によって処方される漢方薬は異なってきます。
例えば、体力があって、体つきもがっちりしている方の場合、以下のような漢方薬が用いられます。
- 大柴胡湯(だいさいことう)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
反対に、身体が弱く、細身の方の場合には、以下のような漢方薬が用いられます。
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 帰脾湯(きひとう)
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
- 抑肝散(よくかんさん)
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
人によって合う合わないがあり、中には処方された漢方薬が全く効かないということもありますが、違う漢方薬なら効く可能性もあります。そういった場合は、遠慮せずお医者さんに相談しましょう。
また、漢方薬には、不安やイライラなど精神的な症状に対して効果があるものもあります。不眠の原因がそうしたものに起因しているのなら、それも合わせて相談するようにしましょう。
漢方薬には副作用はないの?
前述のように、漢方薬はその方の体質や体力、生活などに合わせて処方されるものですから、もし合わない漢方薬を飲んでしまうと、副作用が起きることもあります。
- 食欲不振
- 発熱
- 皮膚のかゆみ
- むくみ
- 動悸
- 血圧上昇
- 不眠
漢方薬を処方してもらうには
漢方というと、普通の病院では処方してもらえないのではないか?と思われる方も多いようですが、実際にはそんなことはありません。
不眠の治療を行っている心療内科、精神科、神経科でも、大抵は不眠症の方向けの漢方薬を取り扱っています。
中には、内科でも、不眠症の治療に効果のある漢方薬を処方してくれる先生もいるでしょう。ですから、気になる方は、かかりつけの内科クリニックでも、気兼ねせずにお尋ねになってみてください。
また、どの町にも漢方薬専門の薬局があります。そこの薬剤師さんは漢方薬に詳しいので、そういった薬局で相談するのも良いでしょう。
漢方薬が専門でない薬局やドラッグストなどでも取り扱いはありますが、薬剤師さんが漢方薬にそれほど詳しくなかったり、そもそも薬剤師さんがいなかったりします。漢方薬はその方に合ったものを選ぶ必要があるので、そういったところで購入するよりも、病院や専門の薬局で処方してもらうことをおすすめします。
さいごに
漢方薬は自然の野草などから調合された薬です。睡眠薬のように、中枢神経に対して化学的に作用することはありません。ですから、依存性や記憶障害、筋弛緩(きんしかん)作用など、危険な副作用がありません。
睡眠薬に頼る前に、漢方薬をうまく活用してみることを選択肢の一つにぜひ含めて下さい。
でも、あまりにもひどい不眠症の場合は、漢方薬ではなかなか効果を実感できないこともありますし、何か違う病気が隠れていたりすると漢方薬では効き目が見られないこともあります。
そういったことがあれば、他の治療法を探る必要があるかもしれませんので、早めにお医者さんに相談して下さい。