市販で販売される「よく眠れる薬」では眠れない?
2000年代に入ってから、処方箋なしで購入できる『睡眠改善薬』が多く発売されるようになりました。
テレビCMや雑誌などでも頻繁に取り上げられたため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。『ドリエル』『ナイトール』『おやすみーな』など、さまざまな睡眠改善薬があります。
しかしこれらは、『睡眠薬』ではなく、あくまで『睡眠改善薬』という全く異なる製品であることはご存じでしょうか?
よく勘違いされる方も多いようですが、睡眠薬と睡眠改善薬の違いとはどのようなものでしょうか。
睡眠薬と睡眠改善薬 – 何が違うの?
名称が似ているため、よく誤解されがちなこの2つの違い。まずは大きな違いとして、睡眠薬は不眠症に対して長期的な治療を行うための薬であり、睡眠改善薬は一時的な不眠の症状の緩和に用いられる薬だということです。
睡眠改善薬は塩酸ジフェンヒドラミンという成分が含まれています。この成分は、もともと花粉症などのアレルギー症状を抑える目的で作られた薬の成分です。その副作用として、『眠気を催す』作用があるのです。
睡眠改善薬の成分は、風邪薬や花粉症などの薬と同等の成分
つまり、不眠症の症状を治療するためでなく、「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった、あくまで一時的に眠気を催すための薬なのであり、短期間の(一時的な)不眠に向けた商品なのです。
また、この成分自体、何日も使い続けると身体に耐性がつき、効果が弱くなってしまう恐れもありますので、長期的使用は推奨されておりません。
つまり、不眠症の症状を改善するためには、病院にて睡眠薬、または睡眠導入剤を処方してもらう必要があります。
- 一時的な不眠 → 睡眠改善薬
- 3日以上続く不眠 → 睡眠薬・睡眠導入剤
睡眠薬は、医師の処方が必要
一方、睡眠薬は、医師の処方が必要な薬で、長期的な不眠に用いられる薬です。
睡眠薬の中にもいくつかの種類があり、効果はさまざまです。中でもベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬は、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを抑制し、眠気を催します。
睡眠薬の種類により、効きがピークになる時間や作用時間に違いがあります。
たとえば、超短時間型と呼ばれるものは、服用して一時間未満で最も効き、2~4時間で効果がなくなります。
長時間型では、服用して3時間~5時間で最も効き、24時間以上効果が持続します。ただし睡眠薬で注意しなければいけないのは、副作用です。
副作用といっても様々ですが、もっとも多いのは翌日のふらつきや眠気です。
なお、内服時間が間違っていたり、種類が悪いせいで起こったりと、ご自身の体との相性の問題もあります。
不眠の改善
慢性的な不眠症状に悩まされている方は、病院での診察が必要ですが、ご自身でも工夫できることがあります。
まずは、生活習慣を見直し、規則正しいリズムで生活を送ることです。
暴飲暴食を控え、運動を欠かさないなど、しっかりと睡眠を取ることができるよう調節することが大切なのです。