睡眠薬の耐性 – 薬を飲みすぎてしまう本当の理由
薬の「耐性」という言葉をご存知でしょうか。
人の身体は、薬に対して耐性と呼ばれる、言わば抵抗力のようなものを作り出すのが普通です。特に、長く同じ薬を常用し続けていると、こうした耐性が作られやすくなります。
耐性ができるということは、率直に言えば、その薬に体が慣れてしまうということです。同じ薬を飲んでも、徐々に効果が感じられなくなってくるのです。これは、とても大きな問題です。
睡眠薬に耐性ができてしまうと
例えば不眠症の患者さんの場合、眠れないことは本当に辛いことで、睡眠薬が手放せないでしょう。
しかし、睡眠薬に対する耐性ができてしまうと・・・
薬の量を増やすかより強い薬に処方を変えてもらうしかなくなります。
こうして、徐々に強い睡眠薬に変えていけば、最終的には効果も強いが副作用も強いというような睡眠薬を選択せざるを得なくなってしまいます。
睡眠薬は、感情を司る中枢神経に作用する薬です。この作用機序は、抗うつ剤や精神安定剤と同じです。
ですから、睡眠薬の量を増やしたり、より強い睡眠薬へと変えていけば、これらと同じような副作用が現れる可能性も高まってしまいます。例えば、日中に不安を感じやすくなったり、うつ病などの精神疾患につながる恐れもあるのです。
昔の睡眠薬と今の睡眠薬
最近では、「バルビツール酸系」の睡眠薬はほとんど使われることがなくなりましたが、この睡眠薬は耐性や依存性を生じやすいと言われている薬です。そのため、睡眠薬は怖いものというイメージが定着してしまった感があります。
しかし、近年睡眠薬として一般的に処方されている「ベンゾジアゼピン系」や「非ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬は、こうした睡眠薬の悪い部分が解消され、耐性や依存性を生じにくくなったと言われています。
ですが、睡眠に関する書籍を読んでみると、最近の睡眠薬でも耐性ができると書かれているものと、最近の睡眠薬は耐性ができにくいと書かれている書籍に分かれます。
実際にはどうなのでしょうか。
不眠症患者さんに聞いてみると
深刻な不眠に悩む方のお話を伺ってみると、ほとんどの場合、徐々に睡眠薬の量が増えていっています。時間が経つとだんだん睡眠薬が効かなくなり、睡眠薬の量を増やすだけでは足りず、別のもっと強い睡眠薬を処方してもらうことも往々にしてあるようです。
こうした状況を見ていると、やはり、新しい睡眠薬にも耐性ができることが分かります。耐性ができなければ、睡眠薬の量を徐々に増やしたり、別の睡眠薬に変更する必要はないのですから。
もし、これから睡眠薬を服用しようとしている方は、このことをよく理解した上で使用しましょう。
また、睡眠薬には耐性ができてしまうこと以外にも、注意しなければならない副作用の可能性もあります。詳しくは以下の記事で解説していますから、ぜひご一読ください。
もちろん、必要だからこそ睡眠薬が処方されるわけですが、誰しもなるべくなら睡眠薬を使わずに不眠症を解消したいと願っているものです。
そのためには、まずは生活面での見直し・取り組みを続けることが大切でしょう。
もし、睡眠薬に頼らずに不眠症を解消したいという方は、ぜひ以下の記事を参考にしてみて下さい。最近関心の高い、睡眠薬に頼らない不眠症の治療法について詳しく説明しています。
睡眠障害は、心と身体の両方に関わる難しい病気です。信頼できる医師を見つけ、なるべく早期に相談して曇りのない日常を手に入れましょう。