睡眠薬の「離脱症状」は本当に深刻 – 克服する方法は
睡眠薬は怖いものだと知っている人でも、具体的に何が怖いのか?どう怖いのか?ということが曖昧な人もいるようです。
私が勤めていた病院でも、「睡眠薬はなるべく服用したくない」と言う患者さんはいましたが、本人も理由がよく分かっていないままそのように訴えているということがよくありました。
睡眠薬の「離脱症状」は深刻
睡眠薬の副作用の中でも、「離脱症状」は非常に深刻な問題です。今回は、離脱症状がどのようなものなのかよく分からないという方のために、詳しく説明しておきたいと思います。
以下は、あるインターネットの掲示板に書かれていた文章です。
今考えると医者に行くほどのことでなかったのです。職場の検診でも健康だったように思います。
たまたま他人に進められて医者に行ったところ、デパス、マイスリーで、あっという間に副作用、依存、体調不良が出て仕事もいけなくなりました。しかも飲む前より更にひどい不眠と体調不良になりました。
そのあと医者も変えたりしたが結局処方されるのは薬だけで、あれこれあちこちで薬を変えて出されたために事態は悪化する一方になりました。
頭も体もぼろぼろになり何とか薬を切れないものかとずとやってきています。引用:Yahoo!知恵袋
これは少し極端な例かもしれませんが、離脱症状の具体的な症状が書かれています。
そもそも、離脱症状とはなんでしょうか?これは、簡単に言えば薬をやめた時に出現する、様々な症状の事を言います。
睡眠薬や抗うつ剤、精神安定剤をやめようとした途端に、吐き気やめまい・体の震え・極度の緊張感、不安感などに悩まされるようになった、という話を聞いたことはありませんか?
これが、離脱症状の典型的な例なのです。
睡眠薬でも離脱症状は起こる
しかし、あなたはこのように思うかもしれません。
「私が処方してもらった睡眠薬は、安全だと言われたから大丈夫。」
確かに、最近作り出された睡眠薬は安全性が向上しており、医師や薬剤師も安全や副作用の危険性のなさを強調しています。
しかし、これは安易な考え方です。最初に紹介した文章にも書いていますが、この方もはじめに飲み始めたのは「マイスリー」や「デパス」でした。
これらの薬はいずれも安全性が高く、医師の口からも、酷い副作用があるなんて聞いたことがないのではないでしょうか。
特に、マイスリーは非ベンゾジアゼピン系という睡眠薬のカテゴリーに属し、「超短時間作用型」と呼ばれ、非常に短い時間しか作用しない睡眠薬です。
医師もよく処方するこの薬に、離脱症状があるなんて、簡単には信じられないでしょう。しかし、確かに離脱症状は存在します。
非ベンゾジアゼピンは、反跳作用と、ベンゾジアゼピン離脱症状に類似した急性の離脱反応の危険性があるために、数週間以上服薬した場合は突然中断すべきではない。
離脱症状や、依存症の危険性についても精神科医が知らない場合がある。依存性が生じにくいという触れ込みをよそに、ゾルピデムはベンゾジアゼピン系を含めた日本の乱用症例にて上位5位に入る。出典:Wikipedia「非ベンゾジアゼピン系 – 依存症と離脱症状の管理」
上記にもあるように、日本国内では多くの医師がマイスリー(ゾルピデム)の依存性や離脱症状の危険性について認知していないということが分かります。
一般的に安全と言われるベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬にも、離脱症状の危険性があるということを、しっかりと知っておくべきです。
離脱症状が起こりやすい条件
もちろん、だからと言って睡眠薬を使うことを、今すぐにやめるべきだと言っているわけではありません。離脱症状には「起こりやすい条件」があります。
この事を知っておけば、酷い離脱症状に苦しめられる可能性を減らすことができます。
長期間の服用
最も離脱症状が起こりやすいのが、睡眠薬を長期間にわたって服用し続けることです。特に、作用時間が短く「安全性が高い」と言われている睡眠薬(マイスリーなど)ほど、急に服用をやめたときの反動が大きく、離脱症状を形成しやすいものです。
睡眠薬の連続服用は、2週間程度で卒業する。長くても1ヶ月以上の服用は避けるようにしたいものです。
多剤併用
患者さんが、医師の言うことに反発するのは難しいことです。しかし、いくつかの種類の睡眠薬や、睡眠薬と精神安定剤など、同じ効果の見込める薬を数種類まとめて併用することは、離脱症状やその他の副作用を引き起こす可能性を、一気に高くします。
睡眠薬の多剤併用は、よほどの理由がない限り避けるべき手段です。もし、あなたを診察している医師に不信感があるのなら、迷いなく他の信頼できる医師のもとを訪れるべきでしょう。
離脱症状を克服するには
一度離脱症状が起きたら、これを簡単に克服することはとても難しいことです。
一般的には、時間をかけ、少しづつ薬の量を減らしていくことが、最も克服への近道と考えられています。
克服までの期間は、あなたが服用している薬の量にもよります。半年かかるかもしれませんし、1年、またはそれ以上になるかもしれません。
諦めずに、ほんの少しづつ、服用する薬の量を減らしながら、薬に頼らない「非薬物療法」を実践します。
以下に、薬に頼らない不眠症の治療法についてまとめています。
離脱症状が引き起こされている段階では、あなたの精神は不安や恐怖を感じやすい状態になっているかもしれません。
日中は体が怠く感じたり、酷い倦怠感に悩むこともあるでしょう。しかし、これが睡眠薬や精神安定剤がもたらす「副作用」です。
信頼できる医師に診てもらっていれば、だいぶ気持ちも楽になるかもしれません。まずは、あなたが安心して治療を任せられる、信頼できる医師を探し出すことが重要です。