睡眠リズムを改善する「薬」の正しい使い方
人間は、体内に「時間」を認識するための「体内時計」を持っています。これを「概日リズム」と呼びます。
生活習慣や仕事の時間など、様々な影響によって、この体内時計が著しく乱れてしまう場合があります。こうした時間の乱れは、不眠の症状だけではなく、日中の生活にも倦怠感や気分の憂うつ感をもたらします。
最近では、人間は夜型の生活でも問題なく生きていける。むしろ夜型の生活は悪くないという趣旨の話も聞きます。それでも私は、やはり朝方のリズムが人間らしく、早寝早起きは心身の健康には欠かせないと考えています。
睡眠リズムを改善する薬の使い方
一度サイクル(周期)が崩れてしまった睡眠のリズムを、朝型に戻すのは意外と大変です。一般的には、睡眠のリズムを正常に戻すために睡眠薬が用いられます。
睡眠薬と言っても種類は様々なので、この場合は「短時間作用型」と言って、短い時間(薬によって様々ですが、だいたい2〜4時間)だけ作用する睡眠薬を用います。
まずは、睡眠薬を使って夜の時間に眠れるように、就寝時間を夜の時間に固定しようというわけです。
ただ、ここで落とし穴なのが、夜の時間に眠れたから、朝は早く起きれるわけでもないということです。
一度サイクルとして固定してしまった睡眠リズムは、「朝はまだ寝る時間」だと認識してしまっています。ですから、せっかく布団から起き上がっても、脳は覚醒(目覚め)できておらず、頭がぼーっとしたり、体が目覚めずに異様にだるかったりします。
根本的な対策を心がける
上記のような方法では、結局「睡眠薬がなければ夜は眠れない」という認識が頭の中にできてしまい、睡眠薬に常習性(依存性)ができてしまうことになります。
根本的には、少し厳しい言い方となりまうが、「朝は無理をしてでも早く起きること」これは絶対に欠かせません。そうは言っても、起きれないから悩んでいるのだと考えるでしょうが、そこを無理をしてでも頑張って起きるのです。
また、早起きしたからと言って、日中の昼寝もいっさい禁止にします。夜は何時に寝ても、朝は一定の時間に早起きをします。
当然ですが、「休みの日は疲れているから」などと言って、昼まで寝てはだめです。たった1日でも、睡眠時間が著しくずれてしまうと、睡眠サイクルは大きく乱れてしまうからです。
これに加えて、朝は起床と同時に散歩や軽いジョギングをします。これも、最初は辛いですが、太陽の光は脳の中で体内時計を整える役割を担っています。
よく、「太陽の光を浴びても不眠が改善されない..」という声を聞きますが、それは大抵の場合、実践する期間が短すぎるからです。最低でも2〜3週間は1日も欠かさず行わなければ、効果は実感しにくいものです。
以上の習慣を3週間も続ければ、自然と夜は眠れ、朝も起きれる睡眠リズムが出来上がります。ただし、最初はそれなりに辛いはずです。体内時計がずれているため、体調も気分も良くない状況が続くでしょう。
しかし、そこを乗り越えればしめたものです。
睡眠リズムを整える食べ物
また、上記のような習慣と共に、睡眠リズムを改善するためにトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸を含む食べ物を摂り入れるように心がけましょう。
トリプトファンは、脳内で睡眠ホルモンであるメラトニンを分泌し、朝は脳の覚醒を促すための神経伝達物質、セロトニンを分泌してくれます。
トリプトファンは、大豆食品(納豆や豆腐など)や、乳製品(チーズやヨーグルトなど)、またはナッツ類、肉類などに含まれていますが、効率的に摂取したいならサプリメントがおすすめです。
もちろん、サプリメントだけに頼って、生活習慣を全く改善しないのはおすすめできません。起床と就寝の時間を一定に整え、さらに体の内側にも影響を与えることができれば、あなたの睡眠リズムはより改善されやすくなるはずです。