睡眠サプリメントの成分と安全性

日本の人口のうち、約25%もの人が、不眠症を含む睡眠障害に悩んでいると言われています。
そんな中、OTCと呼ばれる一般医薬品が人気を集めていることはご存知でしょうか。

OTCと言うのは、病院で処方される医薬品とは異なり、医師の処方が無くても購入できる、いわゆる市販薬や大衆薬と呼ばれるものです。

OTC医薬品=Over The Counter(一般用医薬品)

※カウンター越しに手に入る薬、という意味に由来しています。

OTC医薬品がイメージしづらいという方は、私たちがよく手にしている、身の回りの薬を思い浮かべてみると分かりやすいと思います。

例えば、頭痛薬や風邪薬のような常備薬もあれば、ビタミン剤のように、予防や補完的に使用する保健機能食品(健康食品)も、OTC医薬品に分類できます。

「眠れない」を改善するためのOTC医薬品は、最近では徐々に増えてきています。
色んな成分や種類の物が販売されており、中には、睡眠を改善するための効果が疑問視されるような物も、「快眠に効果がある」と思わせる表記をした上で、販売されています。

購入する人にとってみれば、知識が無ければどの成分が何に効果があるのか、分かりづらいのが現状です。
下記に、一般に販売されている、「不眠を改善する効果がある」とされるOTC医薬品について、成分にどのような効果が考えられているのかを記述しておきたいと思います。

睡眠サプリメントの選び方

睡眠の質を上げるためのOTC医薬品は、近年の健康ブームと、自分の健康は自分で管理する、セルフメディケーションの考え方により、一般にもずいぶんと浸透してきたように思います。
これに加えて、ストレスが多い現代社会の時代背景も相まって、快眠や休息効果を謳ったOTC医薬品やサプリメントが、年々増加しているようです。

サプリメントは、厳密には医薬品ではありません。健康食品や保健機能食品に分類されます。
しかし実状は、「ぐっすり」や「熟睡」「休息」など、安眠の効果を謳っています。インターネットを調べていると、あなたもきっと一度は目にしたことがあると思います。

注意しなければいけない点は、例えサプリメントとは言え、薬理作用を有しているという事は、副作用の可能性がゼロではないという点です。以下に不眠の改善効果が期待できるとされている、OTC医薬品それぞれの効果や副作用などについてまとめてみました。

 

睡眠改善薬の成分

睡眠改善薬という呼び方からして、病院で処方される睡眠薬や、睡眠導入剤と同等の効果が期待できると思っている方も多いかもしれません。
しかし、睡眠改善薬に含まれる成分は、病院で処方される睡眠薬とは大きく異なります。

睡眠薬に使用されているベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる薬には、向精神薬と同等の効果があります。習慣性もあり、当然ながら医師の処方なしに使用する事は法律で許されていません。

睡眠改善薬で最も多く使用されている成分は、向精神薬とは全く異なる成分、抗ヒスタミン薬と呼ばれるものです。
薬局に行くと、この手のOTC医薬品をよく見かけます。有名な物ですと、エスエス製薬の「ドリエル」や大正製薬の「ネオデイ」などがこれに当たります。

抗ヒスタミン薬の効果

睡眠改善薬に使用されている、抗ヒスタミン薬は、風邪薬や花粉症の薬にも含まれている成分です。
風邪薬や花粉症の薬を飲んだ後に、眠気に襲われるという話はよく聞く話だと思います。これは、抗ヒスタミン薬が作用することで中枢神経系に作用し、眠気を引き起こすためです。

1989年には、アメリカの米国医薬食品医薬局(FDA)が、抗ヒスタミン薬が睡眠改善に効果があるとして、認めています。
日本国内では、2003年頃から、抗ヒスタミン薬を含んだ睡眠改善薬が発売されるようになりました。実験では、服用した被験者30人のうち、約97%が不眠の改善に何らかの効果があるという反応を示したそうです。

抗ヒスタミン薬の問題と副作用

ただし、抗ヒスタミン薬が主成分の睡眠改善薬の場合、服用した日は寝つきが良くなる効果を実感できるものの、連用して(毎日続けて使用)いると、効果を感じなくなるといった報告が相次いでいます。

これは、臨床実験でも確認されており、4日後にはプラセボ薬(偽薬)と変わらない程度までに、効果に対する実感が下がるそうです。
こうした事を踏まえ、睡眠改善薬には「あくまで一時的な不眠の症状の緩和」というふうに記載がされています。

一時的、という部分が重要です。
長期間に渡る使用は、薬への耐性を作り出す為、あまり効果を期待できない可能性が高いということです。
また、禁忌症としては、緑内障や前立腺肥大など、尿路に閉塞性疾患がある場合が挙げられています。

サプリメントの成分と副作用

ドラッグストアなどでよく販売されているのが、ハーブや天然成分を添加したサプリメントです。
また、効果が期待されている反面、その薬理作用はまだ充分に解明されていない物も多く、使用に当たっては副作用を含め、充分な注意が必要です。

ハーブ系の睡眠サプリメントに加え、グリシンテアニンと言った、ミネラル成分を含むサプリメントにも注目が集まっています。
これまで健康食品業界に参入してこなかった大手の企業が、開発や製造に加わりはじめ、一気に安心感が増した事も人気の要因の1つです。
アミノ酸系とハーブ系の成分が混合したようなサプリメントも、最近では多く販売されています。

ハーブ系のサプリメント

ハーブ系の睡眠サプリメントは、欧州では認知度が高く、欧州の一部の国では一部は医薬品として承認されているものもあります。

代表的な物がバレリアンというハーブです。また、ドイツではセントジョーンズワートと呼ばれるハーブのサプリメントが、抗うつ剤として、処方されています。
いずれも、効果が期待されている物の、明確な薬理作用が解明されていない面があります。この点は使用者の判断に委ねられる部分です。

・ハーブ成分のサプリメント

サプリメントの名前主成分考えられる作用考えられる副作用
セントジョーンズワートヒペリジン
※欧州では医薬品承認
鎮静効果、不安や緊張の抑制
セロトニン再取り込み作用、ノルエピネフリン再取り込み作用、ドパミン再取り込み作用
セロトニン症候群(ごく稀)、光過敏症
向精神薬を服用している方は、併用しても問題無いかを医師に確認しましょう。
バレリアンセスキテルペン
※欧州では医薬品承認
不眠症の改善、鎮静効果
GABA放出促進
習慣性、連用による不眠、禁忌として妊娠中・肝機能不全の患者
カモミールアピゲニン(フラボノイド)
※欧州では医薬品承認
不眠症の改善、鎮静効果
ベンゾジアゼピン受容体への作用
アレルギー反応
パッションフラワークリシン
※欧州では医薬品承認
不眠症の改善、鎮静効果
ベンゾジアゼピン受容体への作用
特になし

 

アミノ酸系のサプリメント

アミノ酸系のサプリメントは、日本でも多くの製品が販売されています。以下に書き出した成分はごく一部です。
近年では、各社多種多様の成分を独自に研究・開発し、製品化しています。

インターネットで調べると、「この成分はこのような効果がある」「何グラム摂取すると副作用の危険がある」というふうな記事もよく目にしますが、現実的に見ると、アミノ酸系のサプリメントの場合、副作用の危険性はごく稀です。
元々アミノ酸は、通常の食べ物にも含まれているような成分です。メーカーの書かれた容量を守っている限りは、特筆すべき副作用は考えにくいはずです。

・アミノ酸系のサプリメント

成分名考えられる作用考えられる副作用
トリプトファン不眠症の改善、鎮静効果特になし
グリシン疲労回復、不眠症改善特になし
テアニン不眠症改善、鎮静効果特になし
GABA(ギャバ)鎮静効果特になし

 

睡眠効果を期待するなら

こうしてまとめてみると、睡眠に効くと言われるサプリメント(OTC医薬品)には、非常に多くの種類がある事が分かります。

日本の企業が製造し、国内で販売しているサプリメントについては、説明書に書かれている用法と容量をしっかり守れば、大きな副作用は考えにくいはずです。
睡眠改善薬については、前述したように、長期間の連用はあまり意味をなさず、1〜2日程度の頓服として使用される分には、一時的に不眠の症状を軽減できるはずです。

快眠や朝の爽快感、ストレスの改善をサポートする成分として、近年注目されている成分は、トリプトファン、グリシン、テアニンです。
予防や健康維持として使用するなら、普段のバランスの良い食事に合わせ、不足する成分を補う事を意識して使用すると良いでしょう。