「睡眠導入剤」にも離脱症状はある..なぜ止められない?

睡眠導入剤と聞くと、なぜか「安全な薬」と考えている方が多いようです。これは、製薬会社が作成したホームページ(一見して宣伝とは分からないような)や、お医者さん、知人から聞いた情報などをもとにそう考えるのでしょうが、実際にはそんなことは全くありません。

睡眠導入剤は、呼び方が違うだけであって、含まれる成分や危険性は睡眠薬や抗うつ剤(精神安定剤)と全く変わらないのです。
危惧される副作用の中でも、特に注意したいのが、依存性離脱症状です。

睡眠導入剤にも離脱症状はあった

離脱症状
詳しく説明する前に、離脱症状とはどのようなものなのか、簡単におさらいをしておきます。

離脱症状とは、主に医薬品(または麻薬やアルコールなど)を断薬減薬した時に生じる身体的な症状の事を指します。具体的な症状は後ほど説明します。
禁断症状や、中毒という呼び方をする人もいます。だいたいのイメージは合っているのでしょうが、離脱症状は、中毒症状のように薬の過剰摂取で起こるわけではなく、薬を減らしたり止めた時に起こる症状です。

「安全な薬」は信じてはいけない?

現在、最も主流な睡眠導入剤としては、ベンゾジアゼピン系や、非ベンゾジアゼピン系と言われる睡眠導入剤です。
具体的には、ハルシオン(睡眠導入剤)デパス(抗うつ剤)はベンゾジアゼピン系の薬です。この他にも沢山の睡眠薬が該当します。

非ベンゾジアゼピン系の薬は、マイスリーアモバンがあります。
いずれも、処方される際には、「安全な薬」と呼ばれる事が多いです。私も、ハルシオンマイスリーを服薬していた時期がありますが、医師から離脱症状の危険性を説明されることはありませんでした。

むしろ、依存性や副作用のない、安全な薬とさえ聞いていたくらいです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

依存性のあるベンゾジアゼピン系の睡眠薬、抗不安薬の漫然処方問題を、新聞で詳しく取り上げてから3年がたつ。
当初は、「ベンゾは長く飲んでも安全」と言ってはばからない医師が多く、減薬の相談で主治医に記事を見せた患者が、「そんなものは読むな」と怒られることもあった

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日本でも、ベンゾ系薬剤は「麻薬及び向精神薬取締法」の指定物質とされるなど、以前から注意を要する薬として扱われてきた。
それなのに、日本の医師たちは依存の問題に無関心で、患者が長期服用に疑問を抱いても「安心」「安全」の連呼でやり過ごし、数多くの処方薬依存患者を生じさせた

出典:「断薬後も消えない症状 – 読売新聞の医療サイト.ヨミドクター

上の記事にも書かれているように、医師の中にはベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤の離脱症状(また、副作用全般)を認めたがらない方も居ます。
最近ではそうでない医師、なるべく薬に頼らないようにと言ってくれる医師も増えましたが、しかしまだまだ少数なのが実際のところです。

しかし、近年は徐々に流れが変わりつつあります。
厚生労働省では、2014年の10月から、一度に3種類以上の睡眠薬(睡眠導入剤・抗うつ剤などの向精神薬を含む)を処方できなくするための、異例の対策をとったほどです。
※詳しくは「向精神薬の処方制限についての解説」を参照。

睡眠導入剤の具体的な離脱症状

では、睡眠導入剤の具体的な離脱症状とは、一体どのような症状なのでしょうか。

ベンゾジアゼピン離脱症候群
これは頻繁に深刻な睡眠障害、易刺激性、不安と緊張の増加、パニック発作、手の震え、発汗、集中困難、混乱と認識困難、記憶の問題、吐き気やむかつき、体重減少、動悸、頭痛、筋肉の痛みと凝り、多くの知覚変化、幻覚、てんかん発作、 精神病、インフルエンザ様症状、また自殺といった特徴がある。
さらに、これらの症状は単純に直線的に着々と減少するのではなく、重症度が日々あるいは週ごとに変化し、一進一退することで有名である。

出典:「ベンゾジアゼピン離脱症候群 – Wikipedia」

上記は、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤についての記述ですが、ほとんど同じ症状が非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤にも当てはまります。
つまり、現状処方されているほとんどの「安全」と言われる睡眠薬・睡眠導入剤に当てはります。

睡眠導入剤は、長期間体内に薬が残留される睡眠薬とは異なり、短期間で体内から消失されます。このため、実は離脱症状のリスクは、睡眠導入剤の方が短期間で起こりやすいのです。

睡眠導入剤の添付文章にも、長期間の服用は依存性や離脱症状の観点から、推奨されていないということが書かれています。
ここまで多くの事が明らかになっているにも関わらず、睡眠導入剤が安全と言われる所以は、一体どこにあるのでしょうか。

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