睡眠薬の副作用を避ける為に知っておくべきこと
睡眠薬をすでに服用している方も、これから服用しようとしている方も、やはり気になるのは、薬による副作用でしょう。
「睡眠薬は怖いから精神安定剤を飲んでいる」
「処方薬より弱いから市販薬を飲んでいる」
または、
「薬だけは使用したくない」という方もいます。
確かに、数十年前まで一般的に処方されていた睡眠薬は、過剰摂取による命の危険を伴う薬でした。小説やドラマの中で、自殺の手段としてよく使われるのは、当時の古いタイプの睡眠薬です。
現在、一般的に病院で処方されている睡眠薬は、精神安定剤に近い成分の薬が主流です。精神安定剤の中でも、催眠作用が強いものが、睡眠薬として処方されているのです。
今でも、強い副作用を生じる睡眠薬が無くなったわけではありません。しかし、「よほどのことがなければ処方されない」というのが実情です。
また、市販薬の場合、医師による服用管理がしっかり行われないため、処方薬に比べて副作用が起きやすいという見方もあります。
副作用のまったくない薬はありません。薬のことを正しく知り、正しく服用することが、副作用の回避や軽減につながるのです。
睡眠薬の重大な副作用
現在、一般的に処方されている「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる、精神安定剤に近い睡眠薬を例にとってお話を進めましょう。
服用されている睡眠薬の種類や、睡眠薬の大まかな分類について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
一般的な睡眠薬の場合、特に重大な副作用として以下のような症状が考えられます。
- 薬への依存(薬の種類による)
- 脱力感・倦怠感
- 頭痛・頭重感
- ふらつき・脱力感
また、重大な副作用とまではいかなくとも、以下のような副作用を感じる方もいらっしゃいます。
- 眠気
- めまい
- 集中力の欠如
- 一時的な物忘れ
この他にも、軽度の症状として、以下があります。
- 口の乾き
- 動悸
- 息切れ
- 食欲低下
ただし、これらの症状は必ず起きるものではありません。薬の種類や、体質に合う・合わないなどが関係してきます。
なぜ副作用が起こるのか?
一般的な睡眠薬(ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系)の作用は、以下のとおりです。
- 不安の鎮静
- 筋肉の緊張緩和
- 催眠作用
- 痙攣(けいれん)を止める
そして、こうした睡眠薬は、睡眠障害の症状に応じて、異なる作用時間の薬が処方されます。
例えば、寝つきが悪い入眠障害の場合は作用時間が短い睡眠薬、夜中に目が覚める中途覚醒や、早朝に目が覚める早朝覚醒の場合は作用時間が長い睡眠薬が処方されます。
ここで、注意したいのが、作用時間が長い睡眠薬でよく見られる、「薬の持ち越し効果」です。ただし、作用時間が短いからと言って現れないわけではありません。
「次の日が辛い..」薬の持ち越し効果とは
薬の持ち越し効果とは、薬の効果が翌日まで残ってしまうことで何らかの症状が現れることです。
睡眠薬の副作用としてよく現れる以下の症状は、睡眠薬の催眠作用が次の日まで持ち越されることで起こります。
- 寝起きの悪さ
- 日中のぼんやり感
- 頭重感
- 倦怠感など
また、ふらつきやめまいは、睡眠薬の持つ筋弛緩作用が原因です。
いずれの場合も、原因はその薬が体に合っていないことにあります。このような場合は、早急に担当の医師に相談することが大切です。
薬を減量してもらったり、変えてもらうことで、これらの副作用が現れなくなるかもしれません。
この他にも、多くの方が不安視するもう一つの副作用の症状に、「依存性」があります。
誰もが恐れる「薬への依存性」
薬への依存というのは、薬に頼りきりになってしまい、手放せなくなることを言います。
薬を長期間服用することが主な原因です。大量に服用することでも依存に陥ることがあります。
長期的に使用していた睡眠薬を急に止めようとすると、離脱症状と言う以下のような症状が起こることがあります
- 服用前よりもひどい不眠(反跳性不眠)
- 痙攣発作
- 不安感
- 幻覚・妄想
- 吐き気・胃の不快感など
このような症状が起こると、怖くて睡眠薬にまた手を伸ばしてしまい、結局止めることができず、睡眠薬に依存してしまうのです(薬物依存)。
また、「睡眠薬を飲まないと眠れないのではないか」という不安から、睡眠薬を手放せなくなることもあります(精神依存)。
いずれの場合も、睡眠薬の服用とともに、「原因を解決する」「活習慣を見直す」などして、睡眠薬の服用期間をできるだけ短く、長くても6~8ヵ月に抑えることで防ぐことが可能です。
しかし、睡眠障害の症状によっては長期の服用が必要な場合があります。医師にしっかりと状況、状態を伝えることが大切です。
睡眠薬の依存性について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
薬の誤った服用方法
以下のような服用の仕方をすることで、副作用を招いてしまうことがあります。
- 眠れないから追加服用する
- アルコールと一緒に服用する
- 服用した後すぐに寝る体勢に入らない
- 自己判断で服用を中止する
1.眠れないから追加服用する
就寝前に服用しても、思ったとおりの効果が得られずに、眠れないこともあります。そんな時には、追加で服用したくなるでしょう。しかし、追加服用によって、睡眠薬の効果が強く出過ぎてしまい、それが副作用につながります。
睡眠薬は、追加で服用することはせず、処方されたとおりの用量で留めましょう。睡眠薬を服用しても眠れない日が続くなら、それは薬が合っていないか用量が少ないからでしょう。担当の医師に相談しましょう。
2.アルコールと一緒に服用する
睡眠薬とアルコールを一緒に服用すると、とてもよく眠れそうな気がするかもしれませんが、実はそうでもありません。
アルコールとの併用により、睡眠薬の効果が増強してしまい、思いもよらない副作用が出てしまうことがあるのです。
ですから、睡眠薬とアルコールを一緒に服用しないようにしましょう。
3.服用した後すぐに寝る体勢に入らない
睡眠薬の中でも、睡眠導入剤や入眠剤などと言われる種類は、薬が効き始めるまでの時間が短いという特徴があります。短いものでは、服用後30分程度で効果が現れ始めます。
ですから、服用後も布団に入らずにいると、突然激しい眠気に襲われたり、フラフラしたりして、転倒の危険があります。
服用前に寝る支度を済ませ、服用後はなるべく早く布団に入りましょう。
4.自己判断で服用を中止する
睡眠薬を処方されているのは、不眠などの睡眠障害の治療のためです。自己判断で服用を止めてしまうと、治療の妨げになるかもしれません。
もし、副作用が出るようなら、自己判断で服用を中止せず、担当の医師に相談するようにしましょう。
正しく服用して睡眠の改善を
睡眠薬は眠りの問題を解決、改善するために最も有効な方法です。
先入観にとらわれて問題を悪化させるよりも、正しい服用で得られるメリットの方が大きいことを認識しましょう。
副作用については、医師による説明の他、薬局でも「説明書」が手渡されます。
心配なことがあれば、医師または薬剤師に相談し、不安を減らすことが大切です。不安を抱えたまま睡眠薬を服用することは、ストレスになり、症状の改善を妨げます。
しかし、それ以上に大切なのは医師との信頼関係でしょう。
医師を信じ、服用に関する注意を守りましょう。そして眠れるようになった、眠りへの不安が消えたら医師の指示に従って睡眠薬の減量、中断を行いましょう。