睡眠薬は本当に怖いもの?安全な服用方法とは

寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、熟睡できないなど、睡眠に問題がある時に役に立つのが睡眠薬です。
しかし、少なくない人が睡眠薬の使用に不安を感じていて、「睡眠薬が怖い」という方の多くは、依存性や副作用に不安を持っています。

薬を心配する女性

人が何かに対して不安や恐れを感じるのは、それがよく分からないからです。誰でも、知らないものは怖いですよね。
ですから、医師から説明を受けてもまだ不安が残るのは、医師に対する不信感や、薬に対する先入観が原因と言えるでしょう。

確かに、医師はメリットを多く説明します。大抵の場合、デメリットがメリットを上回っているからです。しかし、メリットとデメリットの両方を知らないと、どうしてもデメリットに注目しがちです。
そこで、睡眠薬について正しく理解し、不安を解消しましょう。

睡眠は生きるための要(かなめ)

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仕事やプライベートが忙しいと、誰でも睡眠を削りがちになってしまいます。睡眠の大切さは分かっていても、楽しいことや、やらなければならないことを優先させてしまうのです。

しかし、睡眠不足が常になると、習慣化してしまい、不眠症につながります。睡眠不足が引き起こす悪影響は、寝不足による疲れやすさ集中力の欠如だけではありません。

睡眠は身体の疲労だけではなく脳の疲労、ひいては心の疲労を回復するための修復時間なのです。
中でも、精神が修復されないままストレスを受け続けると、ストレスに慣れるのではなく、敏感になっていきます。健康な精神状態なら気にならないようなことも、イライラ、焦り、不安を引き起こすのです。これが悪化すると、うつ病双極性障害などの重大な精神疾患の原因となります。

一時的に眠れなくなることは珍ししいことではありません。しかし、眠れない、途中で目が覚めるなどの状態が2週間以上継続するなら、積極的な問題解決が必要です。

こんなに違う睡眠薬

睡眠薬の種類

睡眠の問題を積極的に解決する時、薬の力を借りることはとても有効な方法です。
睡眠に関する薬には、病院での処方薬以外にも、漢方やハーブを配合した市販薬、眠るために必要な栄養素を補給するサプリメントがあります。

病院での処方薬の特徴

かつての睡眠薬は、眠るための機能に直接働きかける作用を持っていました。そのため、誤って大量に服用すると、命に関わる問題も少なからず起きていました。また、依存性も高かったため「睡眠薬は怖い」という認識が定着していました。

現在、睡眠薬や睡眠導入剤として用いられている薬は精神安定剤の一種です。催眠作用の強いものを睡眠薬入眠作用が強いものを睡眠導入剤と呼びます。

睡眠薬は、以下のように、作用時間によって処方が異なります。

  1. 超短時間型(2~4時間程度):マイスリー、ハルシオンなど
  2. 短時間型(6~12時間程度):レンドルミン、リスミーなど
  3. 中時間型(12~24時間程度):ロヒプノール、ベンザリンなど
  4. 長時間型(24時間以上):ドラール、ベノジールなど
1と2は、主に一過性の不眠寝つきが悪い場合に用いられます。作用時間が短いため、目覚めに問題が起きにくいのが特徴です。
3と4は、中途覚醒早朝覚醒など十分な睡眠が取れない寝た気がしないなどの問題に対して処方されます。作用時間が長いため、起きるのが辛い、起きてもすっきりしないと感じる人もいます。

これらは、作用時間はそれぞれ異なりますが、副作用に大きな違いはありません。以前と比べて安全性が高まり、依存性が低くなっていますが、体に影響を与えることに変わりはありません。
しかし、医師と相談しながら正しく服用すれば、睡眠問題の解決に大きく役立ちます。

睡眠薬をこれから使用されるという方は、以下の記事を参考にされてみてください。

処方薬の副作用については、以下の記事をご覧ください。

市販薬の特徴

睡眠改善薬、睡眠補助薬

ジフェンヒドラミン

ドラッグストアや薬局で売られている薬の中には、睡眠作用をうたっているものがあります。
これらの主成分は、風邪薬などにも用いられているジフェンヒドラミンです。よく風邪薬を飲んで眠くなることがありますが、それはこのジフェンヒドラミンの効果です。

こういった市販の睡眠薬は医師の処方せんなしで買えるため、効果が弱く安全・安心というイメージが強いようですね。しかし、これは誤りです。ジフェンヒドラミンは、反復使用したり、間違った使用をすることで、依存性を生じる恐れがあるのです。

一時的な不眠に対して用いるのなら問題ありません。しかし、継続的な使用には適していないことを認識しておきましょう。

漢方・ハーブ

市販されている薬には、漢方などの生薬や、ハーブを配合したものもあります。これらは、自律神経のバランスを整え、神経の高ぶりを鎮めるなどの効果によって睡眠リズムを整えるものです。したがって、処方薬やジフェンヒドラミンなどのような即効性はあまり期待できません。

また、これらは自然のものをベースにしているので、副作用がないと思っている人も少なくありません。しかし、漢方薬やハーブにも副作用はあります。
服用中の薬がある方、持病がある方、妊娠している方などは、安易に用いないほうが良いでしょう。

市販薬を使うのは、数日間、または一時的な睡眠不足の解消に留めた方が無難です。また、服用に際しては薬剤師と相談することが大切です。

サプリメントの特徴

サプリメントとは栄養補助食品であり、食事では摂取しきれない栄養素を補うことが目的です。
睡眠サプリには不足しがちな栄養素であるメラトニントリプトファンなどが配合されています。本来体内で必要に応じて生成される物質を直接補充するわけです。

睡眠サプリなら、栄養素を補っているだけだから副作用がないと考える人は少なくありません。しかし、サプリメントも過剰に摂取すると、下痢、肝機能障害、日中の眠気やふらつき、集中力の低下などの副作用が起こることがあります。
特に、肝臓や腎臓が弱っている方、元々の体質によって薬の分解能力や排出能力が低い方は副作用が出やすくなります。

購入する際は、薬局で薬剤師さんに相談したり、公式ページでしっかりと確認するなどしてください。

正しく服用すれば怖くない

質の良い睡眠の条件

ここまで読んで逆に不安を感じたかもしれませんね。しかし、薬に限らず、どんなものでも「絶対に危険がないもの」はありません。

例えば、日本の食品は安全ですね。しかしこれは、安全に食べられるように野菜や動物を育て、清潔に作られているからです。さらに私たち消費者も、調理する前には手や調理器具を清潔にするなど、安全に気をつけています。つまり、安全に使用するための手順、方法を守っているから安全なのです。

薬も同じです。
狙った効果を、安全に発揮させるために、日夜研究され、改良が加えられていきます。そして、消費者である私たちが正しく服用すれば、体の問題を安全に解決してくれるのです。
正しく服用していても、副作用が起きることはあります。その場合も、医師に相談することで予防、改善、治療することはできます。

必要以上に副作用を恐れて睡眠薬を使わないことは、不眠などの睡眠障害に対して、その解決を遅れさせる、こじらせることにもなりかねません。睡眠薬を使わないことによって新たな問題を生じさせるよりも、速やかに解決することこそが、体にとっても、心にとっても大切なことなのです。

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