マイスリーが効かない理由-服用の仕方でこんなに違う!
不眠症状がある場合に処方されるのが睡眠導入剤で、マイスリーもその一つです。
マイスリーは、服用5~10分程度で効果が現れ、2時間程度で薬の血中濃度が半減します。つまり、寝つきの悪さに効果を示す薬ということです。
しかし、寝つきが悪くてマイスリーを処方してもらっているのに、効果を得られないという人がいます。これにはいくつかの原因があり、ほとんどは医師としっかり相談することで解決できます。
マイスリーを飲んでも眠れない時は?
マイスリーを飲んでも眠れない時に、薬を追加服用したくなる気持ちは分かりますが、絶対に自己判断での増量は避けましょう。
マイスリーを飲んでも毎回眠れないのなら、医師に相談することが最善です。しかし、眠れない日もあるという程度なら、薬を変えるのではなく、脳と心が休める状態を作りましょう。
・一旦布団から出る
眠れないからといって布団で考え事をしたり、眠ろうと努力をしても、それは今後の眠りに悪影響を与えます。「布団=眠れない場所」と脳に記憶させないために、一度布団から離れましょう。
・軽い読み物や写真、画集などを見る
・リラクゼーションミュージックやヒーリングミュージックを聴く
布団から離れても、考え事や不安で脳を働かせると、ますます眠りが遠のきます。気分を変えることが大切です。
しかし、そのために神経が興奮するような方法をとっては逆効果です。写真や静かな音楽は考え事を中断し、心を落ち着けるのに向いています。
・ホットミルクやハーブティーなどカフェインの入ってないものを飲む
ホットミルク自体には安眠効果はありません。安眠効果があると言われるのは牛乳に「トリプトファン」が含まれているためです。
トリプトファンは睡眠に作用するメラトニンを生成する栄養素です。マグカップ1杯のホットミルクには、42mg程度のトリプトファンが含まれています。そして、睡眠改善や精神安定のための必要量は、500mg~1000mgです。つまり、眠る前にマグカップ1杯飲んだとしてもまったく届かないのです。
しかし、ホットミルクを飲むと落ち着く、眠気が来ると広く信じられているため、プラシーボ効果が期待できます。また、カフェインが入っていないため、睡眠への気持ちを切り替える方法として適した飲み物と言えます。
ハーブティーは、薬効成分のある植物を乾燥させて作られたものです。リラックスを促す副交感神経の働きを活性化する作用もあり、心と身体を落ち着かせる効果があります。ただし、一部カフェインを含むものがありますので注意して選んでください。
マイスリーが効かない原因は?
マイスリーは不眠症に効果がある向精神薬です。作用時間としては、「超短時間作用型」で効果の持続時間は2時間程度です。このため、症状や不眠のタイプなどによって効果が得られない場合があります。
①ストレス、不安、緊張がある場合
マイスリーに代表される非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤は、「睡眠作用に特化した」薬です。このため、抗不安作用、筋弛緩作用は強くありません。つまり、ストレスによる不安、緊張などがある場合には、効果が十分に得られないということです。
このことはマイスリーの添付文書にも記載されています。
不眠症状以外に気分、感情の変化に注意して医師と相談しましょう。症状を自覚していないために医師に伝わっていないのかもしれません。
②体質や睡眠の実情と合っていない
同じ薬を飲んでいても、人によって効果や副作用の出方は違います。マイスリーを服用してすぐに布団に入っても眠気がこない場合は、体質と合っていない場合もあります。
また、マイスリーは超短時間作用型の薬のため、寝つきが悪いだけでなく、早く目が覚める、途中で目が覚めるタイプの人には向いていません。この場合は、薬の作用型を見直す必要があります。
どちらの場合も、医師にしっかりと状況を説明することが必要です。服用時間、布団に入った時間、目が覚めた時間など記録しておくとよいでしょう。
③耐性ができている
同じ薬を服用していると、効きにくくなることがあります。これを「耐性」と呼びます。
マイスリーは耐性が低い薬とされていますが、長期間服用することで耐性が生じることがあります。
正しく服用しても効き目を感じなくなったら、医師と相談しましょう。薬の増量や変更、他の作用の小さい薬との併用などの方法があります。
いずれの場合でも、医師としっかりと相談することが大切です。起床就寝、睡眠の状況、1日の出来事や感情の動きなどを記録しておくと、医師が理解をするのに役立ちます。また意思の疎通がうまくいかない場合は、転院を考えることも大切です。
マイスリーの服用で注意すべきこと
①必ず就寝直前に服用すること
マイスリーの効果は5~10分で現れます。その後1時間半~2時間半で血中濃度が半減し、効果が薄れていきます。この期間に活動すると、効果が得られないだけでなく、健忘が起きることがあります。
②アルコールと一緒に飲まない
マイスリーの添付文書には次のように記載されています。
精神機能・知覚・運動機能等の低下が増強することがあるので、できるだけ飲酒を控えさせること。
出典:アステラス製薬㈱「マイスリー」添付文書PDF
絶対ダメではありませんが、できる限り控えることと書かれています。理由は、「相互に作用を増強すること」と「中枢神経抑制作用がある」ためです。つまり、併用することで過剰に脳を眠らせてしまうことになります。
アルコールとの併用で、一見深い睡眠が得られるように思えますが、これは薬が効きにくくなり依存性が形成される結果につながります。
③自己判断での増量や中断はしない
マイスリーに限らず、薬には上限が設定されています。これを超えて服用すると、メリット以上のデメリットが生じるためです。マイスリーの場合は健忘、不安、気分高揚などの副作用が現れる可能性があります。
また、効かないからと突然中断すると、「離脱症状」として上記の副作用のほかに不眠が生じることがあります。
改善するために服用する薬が、誤用によって症状の悪化を招く場合があることを理解し、医師の指示を守って服用しましょう。