眠れない時はどうしたら?習慣にしないための改善策
ストレスは誰にでもあるものです。寝つけなかったり、眠りが浅い原因は、少なからずストレスにあるといっても良いでしょう。
しかし、ストレス以外にも、睡眠を阻害する原因はあります。
例えば、生活リズムの乱れから睡眠リズムが崩れると、自律神経の乱れを引き起こします。この場合は、ストレスを感じやすい状態になっていて、眠れない原因はストレスだと錯覚してしまいます。
一時的に寝つきが悪いのなら、快眠法で対処するもの良いでしょう。しかし、もし習慣化しているのなら、睡眠の質を向上するための本質的な改善が大切です。
寝つきをよくするために、今できること
一時的な寝つきの悪さは、就寝前に十分にリラックスすることで改善できます。心と身体の緊張をほぐす行動をとることが、睡眠の改善に役立つのです。
①就寝1時間前はリラックスしよう
一日の終わり(寝る直前)に入浴をする人は多いでしょう。しかし、眠気は、入浴後に体温が徐々に下がることで訪れるものです。
ですから、入浴は、就寝1時間前に済ませるくらいがちょうど良いでしょう。その後は、湯冷めに気をつけながらリラックスするようにし、眠気が来たら布団に入るようにしましょう。
他にも、リラックスの方法として、以下のようなこともおすすめです。
- リラクゼーション・ミュージックや静かな音楽に耳を傾ける
- ヨガやストレッチなど軽い運動をする
- ストレスになった出来事とその時の気持ちを書き出す
ラベンダー、カモミール、オレンジの香りには、緊張をほぐす、気持ちを落ち着かせる、スムーズな眠りを誘う効果があります。リラックスタイムや就寝前に、お部屋に好きな香りを漂わせるのも良いでしょう。
②就寝前1時間は刺激を避けよう
特に、IT機器の光は神経を刺激し、眠りの質を低下させるので、就寝1時間前にはIT機器の使用を終えましょう。
また、寝付けないからアルコールを飲むという人もいますが、これは逆効果です。たまになら良いでしょうが、習慣化すると睡眠問題の悪化につながるので注意が必要です。寝る前のアルコールは控えましょう。
③睡眠環境を整えよう
見落としがちなのが睡眠環境です。
最も睡眠に適した環境は、光を抑え、静かな環境で、清潔な寝具に包まれることです。厚手のカーテンを使い、外からの光や音を軽減することも、睡眠の改善に役立ちます。また、寝具は週1回を目安に交換しましょう。
睡眠に適した温度・湿度というのもあります。冬は室温15℃、夏は25℃、湿度は50%が最適とされています。
節約・節電にと、無理してエアコンを我慢するよりも、就寝1時間で切れるようにセットして、睡眠と不眠によって起きる心身への影響を予防する方が大切です。
本当はなぜ眠れないのか?
眠れない日が1週間以上続くようなら、眠れない原因を特定し問題の解決に取り組みましょう。不眠や、不眠によって起きる別の症状を悪化させないためには、とても重要なことです。
眠りを阻害する原因としては以下のものがあります。
- 概日リズムの乱れ(生活習慣)
- 心の問題(ストレス、思いこみ)
- 病気(睡眠時無呼吸症候群、不眠症、糖尿病)、薬の副作用
- アルコール、ニコチン
- そのほか(カフェイン、運動不足、加齢など)
1と2は、軽いうちなら自分で解決することもできます。自分一人で改善するのが難しい場合は、カウンセラーに相談することをおすすめします。
3の場合は、担当医に相談しましょう。
4は、自分の意志ではどうにもならない場合は、専門医か、内科や精神科などに相談すると良いでしょう。
5については、寝る前は、以下を控えるようにしましょう。
- コーヒー
- 紅茶
- ココア
- 緑茶
- チョコレート
- 栄養ドリンク
根本を改善しよう!
快眠法には、寝つきや眠りの質の向上を手助けする効果があります。しかし、これは本質の解決にはなりません。
正常で健康的な眠りを得るためには、生活習慣、悩みや不安といった心の問題、身体の問題を解決することが大切です。
自分で改善・解決できるものもありますが、症状がひどい場合には医師に相談することが大切です。
悩みや不安がある場合
悩みや不安といった心の問題は、睡眠リズムや睡眠の質に大きな影響を与えます。この場合は、睡眠よりも、悩みや不安の原因を探り、その問題を解決することが先決です。
しかし、自分一人で解決できるなら悩みや不安にはなりません。また、抱え込めば問題が悪化することもあります。問題にぶつかった時に対処できる方法を身につけることが、何よりも重要なのです。
ストレスコーピングを増やす
ストレスコーピングとはストレスへの対処法のことです。
- 問題を積極的に解決する
- 信頼できる相手に悩みや不安を聞いてもらう
- 気分の良くなること、気持ちを発散できる手段を増やす
などの方法があります。
ストレスコーピングについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
自分でストレスを生み出さないようにする
問題にぶつからない人はいません。しかしそれをどう受け止めるかは人それぞれです。
「ネガティブ思考」がクセになっていると、小さな問題も大きな問題として受け止めてしまいます。また、「全か無か思考」「~べき思考」は自分だけでなく、他者へも考え方を押し付けがちで、自分を縛るだけでなく他者との軋轢(あつれき)も生みやすい考え方です。
これら思考の偏りは、「認知の歪み」として分類されています。チェックしてみるとよいでしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
誰にでも偏りはあり、良い方に作用することもあります。しかし、あまりにも偏りが強すぎるとストレスの原因となります。
強すぎる偏りを改善することで、ストレスの軽減、ひいては眠りや不調の改善につながります。
ストレスの問題がない場合
心を悩ませる問題がないにも関わらず眠れない、寝つきが悪い状態が習慣化している場合は、以下の3つを見直してみましょう。
1.生活習慣
私たちの体は「概日リズム」と呼ばれるシステムによって、一定の周期で覚醒と睡眠を繰り返しています。この概日リズムは、1日の周期である24時間と若干ずれているため、意識的に調整しなければどんどん夜型に近づいていきます。
概日リズムを整えるには、生活習慣を見直し、起床就寝、食事の時間を定めましょう。
2.脳と肉体の疲労バランス
体はさまざまなバランスを取って健康を維持しています。覚醒と睡眠、活動と休息、本能と理性などです。同様に、脳と体もバランスを取っています。
脳は体を動かさなくても活動しています。仕事、勉強、人づきあい、など頭を使うと脳は疲れます。それに対して体は動かさなければ疲れません。
現代社会では、脳はフル稼働しています。それに対して、体は意識的に運動しなければ、脳の疲れとバランスが取れるほど疲れることはありません。このアンバランスが、眠れない、寝つきが悪い原因の一つでもあります。
意識的に体を動かして、アンバランスを解消しましょう。特にウォーキング、サイクリング、水泳など同じ動きを繰り返す運動は、睡眠の質を高める効果が高い運動です。
3.食生活
現代は、食べ物に困るということはほとんどありません。その一方、食生活の偏りによる栄養失調が問題になっていることも事実です。
この栄養素の不足が、睡眠障害を引き起こしている場合があります。実際、足りない栄養素を補給することで、不眠症が改善した例も少なくありません。
食事内容を見直し、バランスの取れた食事を心がけましょう。栄養素が偏よらないようにすることが大切です。
特に、以下の栄養素は、睡眠の改善に高い効果があります。
- トリプトファン(カツオ、牛肉の赤身など)
- マグネシウム(大豆、ゴマ、玄米など)
- ビタミンB12(しじみ、あさり、牛レバーなど)
- カリウム(アボカド、ホウレンソウ、納豆など)
緊張を緩和する呼吸法
交感神経が活発化する原因は、「緊張」にあります。緊張を緩和するために効果的なのが「深呼吸」です。
普通の深呼吸でも十分に緊張緩和の効果がありますが、睡眠効果を求めるなら、ワイル博士の「4-7-8呼吸法」がおすすめです。
ただし、どの呼吸法にも言えることですが、呼吸器系疾患がある場合には必ず医師と相談してから実施しましょう。
準備:口から息をしっかりと吐ききる
①鼻から息を吸いながら4つ数える
②息を止めて7つ数える
③8つ数える間に口から息を吐く(唇をとがらせて細く長く)
①~③を1セットとして、これを4回行います。
快眠法は、あくまでも眠りの質をあげるためのサポートです。
眠れない原因を解決し、正しい睡眠リズムを取り戻すことが、睡眠にとっては何よりも大切なことだと認識しましょう。