精神生理性不眠症とは – 眠れないことが怖い

緊張状態で眠れない

不眠症の中でも特に多く見られる症状が、眠れないこと自体を恐れるあまり余計に眠れなくなってしまう症状です。このような不眠の症状を「精神生理性不眠症」と言います。

精神生理性不眠症は、不眠症を慢性化させてしまったり、症状を酷(ひど)くさせてしまう原因となり得る病気です。この症状は、不眠症の原因としては最も多いものと考えられていて、精神生理性不眠に悩む患者さんの数はとても多いのが現実です。

精神生理性不眠症とは

不眠症とは、患者さんにとって睡眠の量が足りない。または、睡眠の質が悪く、熟睡感が不足している状態です。

不眠の原因には、精神的なストレス・環境の変化・不規則な生活など、様々なものがあります。通常の不眠症の場合、こうした原因がなくなれば、また以前のように眠れるようになるはずです。

夜になると眠れない

しかし、最初の不眠がきっかけとなり、眠れないこと自体を恐れるようになる場合があります。こうなってしまうと、眠ろうと意識すればするほど、余計に緊張してしまったり、不安感で眠れないといった、悪循環に陥ってしまうようになります。

精神生理性不眠症の具体的な症状の一部として、以下のような症状が挙げられます。1ヶ月以上不眠の症状が続いている上に、以下のどれか1つでも当てはまる場合は、精神生理性不眠症の可能性が考えられます。

  • 睡眠について考えすぎてしまい、不安に感じる。
  • 眠りたい時間には眠れないのに、眠るつもりのない時間(朝や昼間など)に眠くなることがある。
  • 睡眠を邪魔するような考え(不安や悩み事など)によって、睡眠を邪魔されてしまう。
  • 眠ろうとすると、身体的または精神的に緊張してしまう。
  • 家にいる時よりも、外にいる時のほうが眠れる。

精神生理性不眠症は、精神の緊張状態が睡眠に影響を及ぼす症状です。

患者さんの特徴としては、眠れないことの辛さや、ストレスを強く訴える傾向があります。ただし、注意しなければいけない例として、精神生理性不眠の患者さんの中には、実際に本人が感じている時間よりも、長く眠っているケースもあるということです。

眠れていない気がする、睡眠状態誤認の症状

睡眠物質メラトニン

本当は眠れているのに、本人が眠れていないと感じる症状のことを、睡眠状態誤認と呼びます。
極端な例を挙げると、実際は6時間以上眠っているにも関わらず、「4時間しか眠れていない」など、実際の睡眠時間よりも短く感じてしまう症状です。これは、別に嘘をついている訳ではありません。本当に、自分自身では「眠っている」という事実に気付いていないのです。

しかし、自分で感じている睡眠時間と、実際の睡眠時間との「差」は、睡眠にとっては非常に重要な意味を持っています。睡眠の質を調査するための実験では、健全な睡眠を送っている人ほど、自分で感じている睡眠時間と実際の睡眠時間にズレがないのです。
精神生理性不眠症の患者さんの場合においても、この「ズレ」は大きな意味を持ち、それだけ良質な睡眠をとれていないことをあらわしているのです。

満足に眠れていないと訴える患者さんの中には、睡眠状態誤認によって、実際の睡眠時間よりも眠れていないように感じている方も実は沢山います。特に、高齢者になるほど睡眠へのこだわりが強くなったり、健康への不安などから、睡眠状態誤認の症状を引き起こしやすいとされています。

睡眠薬が功を奏さないこともある

睡眠薬

気をつけなければいけないのは、この場合、実際には眠れている訳ですので、病院で睡眠薬を処方してもあまり功を奏さない事もあるということです。

可能であれば、実際にはどの程度眠れているのか、病院で睡眠ポリグラフ検査を受けてみると確実です。ただし、睡眠ポリグラフ検査は、睡眠を専門に扱う病院でなければ対応してもらえません。

最近では、スマートフォンのアプリなど、市販の測定機器で睡眠の状態を確認できるものもあります。
睡眠ポリグラフ検査に比べれば精度は落ちますが、ある程度の睡眠時間を測定することは可能です。こうしたものを活用して、普段の睡眠時間を客観的に確認することも、有効な方法なのです。

また、睡眠チェックシート(就寝時間と起床時間を毎日記入する)などを記録しておくと、睡眠の状態を把握できるだけでなく、不眠症の治療(認知療法)にも役立てられます。

精神生理性不眠の治療

不眠症の治療

前述の睡眠状態誤認のように、実際には眠れている場合とそうでない場合では、対処の仕方・治療方法に若干の違いが出ます。

精神生理性不眠症の場合、大切な事は、眠ることにこだわりすぎない事です。「眠らなければいけない」「眠れなければ、明日が困る」と、焦れば焦るほど、不眠の症状は酷くなってしまいます。
「眠れなければ眠くなるまで起きている」というくらいの気持ちでいる方が、精神生理性不眠の治療には良いでしょう。
高齢者の方の場合は特に、次の日に早起きする必要が無い場合、眠くなるまで読書などをして時間を潰す事もおすすめです。

当然、仕事などに支障が出る場合は、睡眠薬を使用することも治療の手段として有効な場合があります。しかし、精神生理性不眠症を根本的に治療するには、眠れないことを恐れる気持ちを取り除くための「精神療法」が必要なケースもあります。
精神療法は時間もかかりますし、通院が必要となる場合があります。しかし、睡眠薬による対症療法とは異なり、根本的に精神生理性不眠症を治療するためには有効な治療法です。

すぐにでもできる対処法

不眠の改善

精神生理性不眠症は、寝ることに恐怖感を抱くようになるケースが多く存在します。
この場合、寝室に入ると眠れない。または、布団に入ると眠れないなど、睡眠環境に対する恐怖感を抱く事もよくあります。

こうした場合、身近にできる対処法として、寝室の環境を改善してみたり、寝具を変えることで症状が改善される事もあります。
また、寝室に入るとリラックスできるようにするための、アロマテラピーやお気に入りの音楽を小さな音で流すなど、ちょっとした工夫をしてみることも効果的でしょう。

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