漢方薬で睡眠に良いもの – 不眠に効くものを選ぶには?

夜になると眠れない

眠っている時間よりも、寝返りを打っている時間の方が長い。眠りが浅く、ちょっとした物音でも起きてしまう。こんな症状が、一時的ではなくずっと続いているなら、それは不眠症です。

不眠症で悩んでいる方の中には、睡眠薬は怖いから使いたくない。すでに睡眠薬を使っているけれど、できれば止めたいと思っているという方も多く、そういった方々が最後にたどり着くのが漢方薬でしょう。

でも、漢方薬って、本当に効くの?不眠に効く漢方薬ってあるの?など、漢方薬については分からないことが多いというのも事実です。
そこで、不眠に効く漢方薬について、その副作用やどこで買えるかなどをまとめます。

漢方薬、そのイメージと現実

本題に入る前に、少し漢方薬について考えてみたいと思います。
あなたは漢方薬にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

「古くさい」「苦い」「長期間飲まないと効果が出ない.. 」

など、様々な印象があるでしょう。

実際、ある調査を見ると、以前は「苦そう」「臭そう」「高そう」といった悪いイメージが強くありました。
しかし、昨今では「体に優しそう」「副作用がなさそう」といった良いイメージが先行しているという結果が出ています。

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出典:クラシエホールディングス㈱「漢方薬に関するアンケート」

このように、良いイメージに変わった理由として、最も多いのが「実際に使用してみて良かったから」というものでした。

では、実際どのくらい漢方薬が処方されているかと言うと、なんと医師の89.0%が漢方薬を処方しているというのです。また、50%以上もの医師が、「治療効果が高い」「満足度が高い」と評価しています。

参考:日本漢方生薬製剤協会「漢方薬処方実態調査2011」

では、患者さんの立場ではどう感じているのでしょうか。同協会の調べでは、約60%もの方がきわめて満足、満足、やや満足という評価でした。また、服用後の体調も、60%以上の方が少なからず良くなったと答えました。

参考:日本漢方生薬製剤協会「漢方製剤に係る意識調査」(2006)

ここまで読まれて、漢方薬のイメージが変わったのではないでしょうか?
では、ここからは、不眠に効く漢方薬について詳しくご説明します。

不眠に効果がある漢方薬はある?

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「漢方」とは?「漢方薬」とは?

漢方と言うのは、元々中国から伝来して来たもので、それが日本の風土や気候、生活様式に合わせて日本独自に発展したものです。ですから、中国の伝統的な医学である中医学とは似て非なるものです。

以下のようなものを総括して、漢方と言います。

漢方薬 自然の草木(生薬)などから調合された薬のこと。
薬膳
(やくぜん)
漢方薬の材料となる草木を用いて作られた食事のこと。
養生
(ようじょう)
規則正しい生活をして健康に気を付けたり(摂生)、病気の回復に努める(保養)こと。
気功 呼吸法や体操などで血液循環をよくして、病気を予防したり健康を保つこと。
整体 骨格を矯正して、筋肉や内臓のバランスを整えること。
鍼灸
(しんきゅう)
はり・お灸により病気を治療すること。

漢方薬の特徴には、以下が挙げられます。

漢方薬の特徴

  • 複数の生薬(しょうやく)から作られているため、複合的な効果が期待できる
  • 身体が本来持つ自然治癒力を高める
  • 副作用が強いものは淘汰されているため、副作用が少ない

では、実際、不眠の症状改善には、どのような漢方薬が用いられるのでしょう。

不眠に効果があるのは

漢方薬とは、患者さん一人ひとりの症状、体格や体質、体調、生活習慣に合わせて処方されるものです。この処方のもととなる体格や体質などを「(しょう)」と言い、患者さんが以下のいずれに該当するかによって、処方される漢方薬が異なります。

実証
(じっしょう)
体力がある
体つきががっちりしている
胃腸が強い
抵抗力が強い
虚証
(きょしょう)
体力がない
細身できゃしゃ
胃腸が弱い
抵抗力が弱い

また、症状によっても、処方される漢方薬は異なります。
以下に、実証と虚証で、それぞれどのような場合にどのような漢方薬が処方されるかをまとめました。

症状 実証で処方される主な漢方薬 虚証で処方される主な漢方薬
寝つきの悪さ
(入眠障害)
  • 黄連解毒湯
    (おうれんげどくとう)
  • 三黄瀉心湯
    (さんおうしゃしんとう)
  • 女神散
    (にょしんさん)
  • 半夏瀉心湯
    (はんげしゃしんとう)
  • 酸棗仁湯
    (さんそうにんとう)
  • 抑肝散
    (よくかんさん)
  • 抑肝散加陳皮半夏
    (よくかんさんかちんぴはんげ)
  • 温経湯
    (うんけいとう)
精神的なストレスなどが原因の不眠
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯
    (さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 四逆散
    (しぎゃくさん)
  • 大柴胡
    (だいさいことう)
  • 帰脾湯
    (きひとう)
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯
    (けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 柴胡桂枝乾姜湯
    (さいこけいしかんきょうとう)

このほかにも、実証でも虚証でも処方される漢方薬もあります。

症状 実証でも虚証でも処方される主な漢方薬
寝つきの悪さ(入眠障害)
夜中に目が覚める(中途覚醒)
甘草瀉心湯
(かんぞうしゃしんとう)
夜中に目が覚める(中途覚醒)
早朝に目が覚める(早朝覚醒)
加味逍遙散
(かみしょうようさん)

いかがでしょうか。現在、不眠に対してよく使われている漢方薬だけでも、これだけの種類があるのです。
したがって、「この漢方薬なら絶対に効く」という漢方薬を見つけることは至難の業かもしれませんね。

しかも、漢方薬は長く飲まないと効果がないとよく言われますが、そうだとしたら自分に合った漢方薬にはなかなか出会えないような気さえしてしまいます。
本当に、漢方薬は長く飲まないと効かないものなのでしょうか?そして、自分に合った漢方薬に出会うにはどうすれば良いのでしょうか?

漢方薬は長く飲まないと効かないもの?

昼寝をする時のポイント

漢方薬のイメージが改善したと言っても、漢方薬は「長い期間服用しなければならない」と考えている方は結構多く、先ほどご紹介したアンケートでも30.4%の方がそのように答えていました。

これに対する答えとして、日本漢方生薬製剤協会のQ&Aに分かりやすい説明がありましたので、ご紹介しましょう。

漢方薬の種類、病気や症状、患者さんの体質、罹病(りびょう)期間、生活習慣などにより、効果の出方は様々です。

漢方薬でも、急性の病気においては、比較的早く効果が出ます。また、慢性疾患では、効果が早く出ても、確実に治るまでには比較的長期間かかることが多いようです。

漢方薬が一般に、西洋薬で治らない原因のはっきりしない難しい病気に用いられることが多いので、「漢方薬は長くのまないと効かない」という、片寄った説が広まったものと思われます。

出典:日本漢方生薬製剤協会「服用する期間について」

つまり、不確かな情報によって、漢方薬は長く飲まないと効かないと考えてしまっている方が多いということなのです。

ここでも書かれているとおり、私たちは、症状や体質に合った漢方薬を選ぶ必要があります。そのための手段について述べる前に、もう少し漢方薬のことを知っていただきたいので、次は副作用についてご説明しましょう。

漢方薬には副作用がないのか

これまでの経験で、非常に副作用の強い漢方薬は淘汰され、最近は比較的副作用の少ないものが使われています。

しかし、漢方薬は、体格や体質に合わせて処方されるものですから、もし体質に合わない漢方薬を飲んでしまったら、重大な副作用を招きかねません。

漢方薬の副作用

漢方薬で生じる可能性のある副作用には、以下のようなものがあります。

漢方薬の主な副作用

  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • 軟便
  • 皮膚のかゆみ
  • 皮膚の発疹・発赤
  • 動悸、血圧上昇
  • むくみ
  • 発熱
  • 不眠

また、小柴胡湯(しょうさいことう)を服用した方に、小柴胡湯へのアレルギーが原因の間質性肺炎が発症し、亡くなったという事例があります。

いくら漢方薬に副作用が少ないと言っても、このようなことが起こらないとも限りません。
ですから、何かいつもと違うなと感じたり、副作用かなと思ったら、すぐに服用を止めて病院に行きましょう。

こんな方は要注意

また、以下のような方は、健康な方に比べて副作用の危険性が高いので、漢方薬を服用する時は、服用前にお医者さんか薬剤師さんに相談しましょう。

服用に注意が必要な方 注意が必要な理由
胃腸が弱い方 食欲不振、胃のもたれ、腹痛、軟便・下痢などの副作用が現れやすいため。
アレルギーの方 アレルギー症状を引き起こしやすいため。
高齢の方 肝臓や腎臓など、薬を代謝するための生理機能が低下していて、副作用が現れやすいため
過去に漢方薬の服用で副作用があった方 漢方薬には数種類の生薬が含まれているので、過去に副作用の原因になった生薬が含まれている可能性があるため。

効き目が弱いからと言って決められた量以上を一度に服用したり、飲み忘れたからと言って2回分を一緒に服用したりすると、副作用が起こりやすくなりますので、必ず決められた量を服用するようにしてください。

また、いくつもの病院にかかったりして、複数の薬や漢方薬を処方された場合は、飲み合わせの問題がありますから、必ずお医者さんか薬剤師さんに確認するようにしましょう。

自分に合った漢方薬を見つけるには

サプリメントの選び方

さて最後になりましたが、自分に合った漢方薬を見つけるにはどうすれば良いのかについてご説明しましょう。それには2つの方法があります。

1.病院で処方してもらう

冒頭で触れたように、漢方薬を処方する医師は大変多いのが現状です。ですから、不眠の治療を行っている心療内科精神科神経科であれば、大抵は漢方薬を取り扱っています。中には、内科でも処方してくれるかもしれません。

ご自分の家の近くの、どの病院で漢方薬を処方してもらえるかを調べるには、以下のようなウェブサイトを利用すると良いでしょう。

2.薬局・薬店で購入する

また、漢方薬を専門に取り扱っている漢方薬局・薬店もあります。残念ながら地方都市に行けば行くほど数は少ないのですが、一度調べてみると良いでしょう。
漢方薬局・薬店なら、親身に話を聴いてくれ、あなたに合った漢方薬を選んでもらえます。

漢方薬局・薬店を探すなら、以下のウェブサイトが利用できます。

市販の漢方薬は、ドラッグストアなどでも売られていますが、漢方薬は自分に合ったものを選ばないと、効果が得られないどころか、副作用の危険もあります。ですから、安心して相談できる漢方薬局・薬店で購入することをおすすめします。

お財布と相談する

漢方薬は、高いというイメージがある方も多いでしょう。
実際、月2万円以上かかるという方もいらっしゃるほどです。そうなると、いくら自分に合っていたとしても、続けるのが難しくなるかもしれませんね。

漢方薬局・薬店で購入している場合は、保険がきかないので、どうしても高くなってしまいます。
そういう場合は、購入している漢方薬局・薬店で、一度相談してみましょう。必ずこの漢方薬でないといけないということはないのですから、別のもっと安価な漢方薬を選んでくれるでしょう。

また、もう一つの手段として、病院で処方してもらうという方法があります。病院での処方なら、保険がききますから、3割(70歳以上の方は2割)負担です。そうすれば、かなり経済的な負担が減りますね。

自分なりに工夫して、うまく漢方薬と付き合っていってください。

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