ベンゾ・非ベンゾ系の睡眠薬にも耐性はある?
近年の睡眠薬は、適切に使用すれば安全性が高く、寝つきをよくする効果が充分に得られるものです。
しかし、そうは言っても睡眠薬が完全に安全な薬であるという訳ではありません。一定の副作用や、依存性のリスクも含んでいるという事は、事実として認識しておく必要があります。
それから、不眠症の治療に睡眠薬は一定の効果があります。ただ、これに頼ってばかりいては、自然に眠る事ができなくなってしまいます。
自然に眠れるようになることが、不眠症治療のゴールであることを忘れてはいけません。
睡眠薬の耐性と向き合う
ひと昔前に主流となっていた睡眠薬に、バルビツール酸系と言われる睡眠薬があります。副作用が大きく危険性が高いとされ、今ではほとんど使われていませんが、この薬の問題のひとつが「耐性」でした。
薬の耐性とは、そもそもどういったものなのでしょうか。
薬剤耐性(あるいは単に耐性)とは、生物が、自分に対して何らかの作用を持った薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは効きにくくなる現象のこと。薬剤抵抗性、薬物耐性とも呼ばれる。
出典:「薬剤耐性 – Wikipedia」
その薬を飲み続けることによって、体が薬に慣れてしまい、効果が得られにくくなるというと、分かりやすいでしょうか。
バルビツール酸系の睡眠薬は、現在ではほとんど使われていませんが、現在主流の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系)ではどうでしょうか。
ベンゾジアゼピン・非ベンゾジアゼピン系の耐性
これについて、意見は少々分かれるようです。これらの薬には耐性がないと言う医師も居れば、あると言う医師もいます。
医学的な観点や、一般的な意見を調べてみると、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の薬にも耐性があるという見方が主流となっているようです。
一般的に、ベンゾジアゼピン系は、幅広い症状に対して短期間において、忍容性が良好で安全で有効な薬剤である。
それらの作用に対して耐性が形成され、依存症のリスクもあり、断薬により離脱症状が生じることがある。
睡眠薬の耐性は、苦慮すべき事態です。
耐性が生じるという事は、必然的に薬が効きにくくなるにつれ、薬の服用量が増えていくことに繋がるからです。
場合によっては、服用する薬の種類を増やす必要も出てくるでしょう。
酷くなると、不眠症の治療どころか、長期間の睡眠薬の多剤服用・過剰服用によって、睡眠薬への依存の度合いを高めてしまう可能性も高くなります。
そうした意味も含め、睡眠薬の耐性は危険です。
耐性ができないようにするために
ベンゾジアゼピン・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、耐性が作られないようにする為に、最も重要な事は何があるでしょうか。
それは、薬を長期間に渡って服用しないという事です。現在発売されているベンゾジアゼピン・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の添付文書(注意書き)には、依存性の観点から長期間に渡って薬を使用しないようにと書かれています。
もともと、入眠を促す為の睡眠薬は、長期間使用し続けるために開発されたものではありません。あくまで、一時的な使用が推奨されています。
なるべく2週間以上は服用しない。4週間以内には服用をやめられるように、生活習慣を改善するようにしましょう。