イライラを抑える方法 – 自分で対処する考え方
常に落ち着いて、心穏やかに生活したいという願いは誰もが持っているものです。
しかし、毎日が忙しく様々なストレスを受けていると、心は自然と不安定になってしまいますね。イライラ、焦り、悲しい、辛いなどのネガティブな感情に悩まされることもあります。
大抵の場合は、十分な休息・睡眠をとる、ストレスを発散できることをするなどで、そういった感情を追い払うことができます。
ところが、いつまで経ってもなかなか治まらないことがあります。
これは、通常以上のストレスを受けていることが大きな原因でしょう。また、女性特有の問題が関係している場合もあります。
常にイライラした気分を抱えていては、日常生活に支障が出ることもありますから、原因別に対処し、イライラを抑制、改善するようにしましょう。
イライラを引き起こす3つのポイント
イライラの原因はストレスによる不快感です。精神的、身体的に不快な状況や状態があると、イライラとした感情が起こります。
また女性の場合、意思や状況に関わらず発生する女性特有のイライラというものもあります。
- 外的ストレッサー(外的要因)
- 内的ストレッサー(内的要因)
- 女性特有のイライラ
1.外的ストレッサー
外的ストレッサーは、物理的ストレッサーと社会的ストレッサーに分けられます。
- 物理的ストレッサー
:寒暖の変化、騒音、光、IT機器など - 社会的ストレッサー
:離職、転職、引っ越し、人間関係など
外的ストレッサーは、原因となる刺激が特定できれば、解決へつながりやすいことが特徴です。
2.内的ストレッサー
内的ストレッサーは、心理的・情緒的ストレッサーと生理的・身体的ストレッサーに分けられます。
- 心理的・情緒的ストレッサー
:緊張、不安、悩み、怒り、淋しさなど - 生理的・身体的ストレッサー
:疲労、寝不足、健康障害、ウィルスなど
また、ストレッサーの影響が続くことで、うつ病などの心の病につながることも少なくありません。
内的ストレッサーが原因のイライラが継続するようなら、早めに専門医やカウンセラーに相談することで悪化を防ぐことができます。
3.女性特有のイライラ
月経に関係したイライラは女性特有のものです。これは、本人の意思とは全く関係がなく、何もかもがストレッサーになってしまいかねない辛い症状です。
女性ホルモン
女性のカラダはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン) という2つの女性ホルモンの働きによって、コントロールされています。
これら2つのホルモンは、一定の周期でそれぞれの分泌量のバランスを変えながら、女性のカラダと心に作用しています。
月経前症候群(PMS)と更年期障害
一般的に知られている「月経前症候群(PMS)」や「更年期障害」は女性ホルモンが原因で起こります。
女性ホルモンのバランスが崩れると、月経前や更年期にイライラなどの精神の不調が現れます。特に、黄体ホルモンは女性の身体を守るホルモンですが、その作用として肌トラブルや便秘、精神の不安定などあまり嬉しくないものが現れます。
しかし、ホルモンバランスによるイライラは、原因となっている病気の治療、ホルモンの補充を行うことで改善ができます。早めに婦人科を受診しましょう。
月経前不快気分症候群(PMDD)
また最近では、「月経前不快気分症候群(PMDD)」も知られてきました。こちらも月経を原因としたもので、生殖可能年齢の女性のうち、PMDDに悩む女性は3~8%と報告されています。
PMSが精神的・肉体的な症状が多くあるのに対し、PMDDは精神的な症状が特に重く社会生活に支障が出るといった特徴があります。
月経前不快気分障害「PMDD」 鬱の一種、薬で治療が可能
PMDDは、イライラ感や不安感が強かったり、怒りっぽくなり、感情のコントロールができなくなったりなど不安系の症状が強いのが特徴だという。
体に起こる症状では、食べ過ぎたり、異様に眠くなったりする。体が膨らんでいるように感じる人もいるという。
「月経前以外の時期には症状が治まり、普段通りの生活が営めるのが他の鬱病との大きな違い」
出典:産経新聞社ニュース
PMSは産婦人科で治療を行いますが、PMDDは精神科、心療内科が専門となります。
理由の一つは、原因がよく分かっていないからです。ホルモンや神経伝達物質などと関係があるのは分かっているのですが、現段階では影響がある程度の判断でしかありません。
もう一つの理由は、アメリカの精神医学会が、PMDDをうつ病の一つと認め診断基準を定めているためです。セロトニンを増やす作用のある抗うつ剤の服薬により大きな効果が認められています。
PMDDの治療は、薬理療法と生活習慣の改善です。
ただし、認知が広がっていないため、精神科医であってもまだまだ知識の少ない医師もいます。予約の際に、PMDDの診察もしているか確認すると良いでしょう。
生活と食事の見直しで脳の働きを整える
イライラを強く感じる時、頭をよぎるのは「疲れ」ではないでしょうか?
疲労の蓄積が精神的な不調を引き起こすことは、よく知られていることです。
生活習慣の乱れがイライラを生む?
私たちの身体には、疲労を回復するためのシステムがあります。それが「休息」です。
休息は、副交感神経という自律神経の働きによるものです。
自律神経は「活動を促進する交感神経」と「休息に導く副交感神経」から成り立っていて、この二つの働きが自動的に切り替わり生命維持を支えているのです。
しかし、過度なストレスを受けたり、不規則な生活を続けると自律神経はバランスを崩します。このような状態では交感神経が活発化し、休息を得るための副交感神経の働きが抑圧されます。
そのため、心身が十分な休息を得られず、回復できない状態になってしまうのです。
また、自律神経の乱れは精神にも影響を与え、イライラや不安、焦りといった精神症状の原因になります。
自律神経のバランスを一定に保つために大切なのは、規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食生活です。
特に起床時間を定めることは、体内時計のリズムを安定させ、睡眠の安定に期待ができます。
休みの日などゆっくり寝て疲れを取りたいと思うこともあるでしょうが、早寝をして朝はいつも通りの時間に起きる方が、結果的には疲労の蓄積を防ぐことができますよ。
バランスのとれた食事が大切な理由
うつ病などの「心の病気」になったとき、「脳機能の正常化」を目的とした薬理療法が行われます。
一見何の関係もないように思われる「脳」と「心」ですが、脳は記憶、欲求、身体制御といった働きの他に「感情の形成」も行っているのです。
つまり、感情は「脳」を起点として起こり、「心」と密接に関わっているのです。
脳がバランスを崩せば、心にも不調が現れます。脳の健康を維持することが心の安定にもつながるのです。
では脳の健康はどのようにすれば維持できるのでしょう?
脳も肉体同様、栄養素をエネルギーとしています。栄養素が欠乏すると、肉体だけでなく脳も正常な働きを維持できなくなります。すると、必然的に心にも異常が起きてしまいます。
ストレスを感じている時に脳が特に必要とするのは、タンパク質・ミネラル・ビタミンです。
強いストレス、継続的なストレスを受けている時にはこれらの栄養素を積極的に摂ると良いでしょう。
私たちは、常に何かしらの刺激を受けています。大切なのは、バランスのとれた食事を毎食の基本とすることです。
イライラは自分の思いどおりにならない現実が問題
人は、自分の思いどおりに物事が進まないと、イライラすることがあります。そんな時、どう対処すればよいのでしょう?
2つの方法をご紹介しましょう。
自分の問題と他者の問題を切り離す
イライラは、対人関係で起こりやすい感情です。理由は、自分と相手の同一視にあると考えることができます。
イライラを無理に抑え込もうとする前に、次の点をチェックしてみましょう。
- 自分が何を望み、何を期待していたのか
- 自分と相手はどのような状態にあったのか
- 相手はどのような反応をしたのか
- 相手は自分の望みを叶えられる状態であったか、相手が希望どおりにならなかったことで最も影響を受けるのは誰か
- 自分の仕事の不満を聞いて、私が間違ってないと言ってほしかった。
- 自分:相手に向かって話していた。相手:時々時計を見ていた。
- 「まぁ、そういうこともあるよね」とそっけない態度だった。
- 時間を気にしていた → 何か用事があってそちらに気を取られていたのかもしれない。この手の話は聞きたくなかったのかもしれない。
- 子供が勉強をしないから、勉強をさせたくて叱った。
- 自分:子供の隣に立っていた。子供:座ってゲームをしていた。
- 「ゲームの一面をクリアしたらやろうと思ってたのに」と文句を言っていた。
- 本当にクリアしたらやるつもりだったのかもしれない → ゲームがどこまですんだら勉強をやるのか聞いてみればよかった。子供の成績が悪くて困るのは自分ではなく子供本人である。
自分と同じ価値観、考え方、経験をしている人はいません。自分は自分だし、相手は相手です。必ずしも期待どおりの応えは返ってこないという事実に気づき受け入れることが大切なのです。
腹式呼吸でリラックス
深呼吸を繰り返すことも、イライラ解消に有効です。
イライラした時、呼吸は早くなりがちです。交感神経が優位に立っている状態だからです。
深呼吸を繰り返すと、副交感神経の働きが促され、次第にリラックスします。このように、意図的にリラックス状態に導くことで、心と身体の緊張を緩和することができ、イライラからも解放されます。
リラックスするための深呼吸で大切なのは、腹式呼吸。
さらに、「気持ちが落ち着いている」「リラックスできる」とイメージすると効果的でしょう。
- 椅子に座る、横になる、体の力を抜くなどリラックスできる姿勢を作る。
- お腹に空気を入れるように鼻からしっかり息を吸う(5秒)。
- 一旦息を止めた後、口からゆっくりと息を吐く(7~15秒)。
これを、1回3分くらい繰り返します。ストレスを感じた時だけでなく、寝る前の習慣にすることで良質な睡眠にも期待ができるでしょう。
さいごに
誰でも、ストレスによるイライラは抑えたいと思うものです。
しかしここで注意してほしいのは、「ストレスは抑えようとするほど増大する」ものだという事実です。
抑圧を続けるとストレスは限界を超え、余計にストレスに過敏に反応するようになります。
つまり、イライラを無理に抑え続けると、イライラはさらに強くなり、小さな問題であってもイライラしやすくなってしまうのです。
抑制は一時しのぎであり、原因の解決や適度な発散が大切なのだと心得ておきましょう。