夜勤明けで眠れない朝 – スムーズに寝付ける対処法とは
睡眠障害の中でも、最も対処が難しいのが、仕事上のシフト勤務が不眠の原因となっている場合だと言っても過言ではないでしょう。とりわけ、夜勤の勤務がある場合、帰宅してから眠りにつこうとしても、体内リズムの関係上、どうしてもスムーズに寝付くことができません。
シフト勤務は不規則な睡眠を助長してしまうため、睡眠障害に陥ってしまうのは、ある意味では仕方がないことかもしれません。しかし、体内時計の特性をうまく調整することで、夜勤明けでもスムーズに寝付けるようになる可能性があります。
夜勤明けでスムーズに眠るには
シフト勤務による睡眠障害を「交代勤務睡眠障害」と言いますが、これは一番分かりやすい例で言えば「時差ぼけ」と似たような状態です。
夜勤明けで寝付けない理由は、体内時計がズレてしまうからです。
人間に備わっている「体内時計」は、1日を24時間として認識し(「概日リズム」)、心拍・呼吸・血圧などの生体リズムを刻んでいます。このリズムは、太陽の光や1日3度の食事の習慣など、時間を意識する事柄によって維持されています。
例えば、夜勤明けの場合、帰宅して眠ろうとすると、その時間にちょうど太陽が昇ってきているわけです。
ですから、どれだけ体が疲れていようが、睡眠時間が短かろうが、脳が24時間の概日リズムを保とうとしている限り、スムーズに寝付けることはまずありません。
そこで、夜勤明けの朝、帰宅してからスムーズに寝付くためには、概日リズムの習性を利用し、脳をだますことが効果的です。
脳をだまして概日リズムを変える
脳が概日リズムを認識する大きな要因を「同調因子」と呼びますが、その一つが「太陽の光」です。
もし、これから眠ろうとしているのなら、脳を覚醒させる太陽の光を浴びてはいけません。なるべく、夜勤明けの帰り道などでは、太陽の光を目から入れないように、サングラスなどで光を遮るようにしましょう。
また、帰宅したらすぐにカーテンを閉め、目や耳から入る刺激を避けるようにします。
テレビをつければ、今が朝であると認識する、朝の情報番組や時報が流れてくると思いますが、これらも概日リズムに影響を与える同調因子の一つです。こうした外から入る刺激は、なるべく排除するようにしましょう。
どうしても眠れない時は
そうした細かい気遣いをしても、どうしても眠れないという方もいるでしょう。特に、年齢を重ねるほどに、睡眠の質は低下していくのが普通です。
シフト勤務で働く高齢な方の場合、睡眠の質を高く保つことはとても難しくなってきます。
そうした方の場合、睡眠薬をうまく活用することも一つの方法です。
夜勤明けで眠れない症状や、時差ぼけで眠れないという場合、眠りに入る時間を固定できれば良いので、比較的効力の弱い睡眠薬でも十分に作用します。いわゆる「短時間作用型」と呼ばれている睡眠薬がこれに当たるもので、作用する時間は2~3時間程度です。
睡眠薬の中には、8時間以上作用するような「長時間作用型」のものもあります。そのような睡眠薬を服用してしまうと、目が覚めた後も頭がぼーっとしてしまい、その後の活動に影響を与えてしまいます。
また、以前と比べればかなり安全性が高くなったものの、睡眠薬には副作用や依存の危険性もあります。
不眠の症状や希望する効果を、よくお医者さんと相談し、なるべく強すぎない睡眠薬で効果が見られるものを探しましょう。
さいごに
夜勤明けで眠れなければ、その後の体調にも悪影響を与えるのは当然です。仕事で重大なミスを犯すような事態になっては、元も子もありません。
睡眠の質を高く保つことも仕事のうちと考え、日頃から改善の取り組みを行いましょう。