看護師に多い睡眠障害・不眠症の悩み – 対処法は?
医療の現場は、小さなミスが「医療事故」のような取り返しのつかない問題を引き起こします。
ですから看護師にとって、判断力や思考力に悪影響を及ぼす睡眠障害(不眠症)は深刻な問題です。
また、睡眠は精神の状態とも密接に関係していて、睡眠障害が原因でうつ病や気分障害(落ち込みや不安、食欲不振)などを引き起こす可能性もあります。
質の良い睡眠がしっかりとれていなければ、仕事のミスにつながるだけでなく、仕事仲間との円滑なコミュニケーションや、患者さんへの気配りさえもおろそかになってしまうでしょう。
看護師の睡眠障害 – 原因は
看護師の方が睡眠障害に陥る原因は、ほとんどの場合、不規則な勤務体系にあります。
- 深夜から朝まで働かなければいけない「夜勤」
- 夕方から夜までの「準夜勤」
- 通常の昼間勤務「日勤」
不規則な勤務時間でリズムが崩れる
このような勤務体系の場合、人間の体内に存在する体内時計のリズム(概日リズム)が、1日24時間のリズムと大きくズレてしまっていることが原因で睡眠障害が起こります。
- 睡眠相後退症候群:睡眠のリズムが後ろにズレてしまう
- 睡眠相前進症候群:睡眠のリズムが前にズレてしまう
概日リズム睡眠障害は上記の2つに分けることができます。
これらは、いわゆる時差ぼけ(ジェットラグ症候群)と同じ原理の睡眠障害です
看護師の睡眠障害 – 対処法は
そうは言っても、日本では多くの方が不規則なシフト勤務に従事しています。そして、原因は分かっていても、現実には勤務体系に合わせて仕事をしなければいけません。
そこで、この問題への対処法を挙げてみましょう。
1.負担のない勤務体系にしてもらう
まず、可能な限り睡眠のリズムを大きく乱さない勤務体系に変えてもらえるように交渉をしてみましょう。
具体的には、シフトの時間を以下のような流れにしてもらいましょう。
日勤 → 日勤 → 準夜勤 → 深夜勤 → 休み
時計の針の回り方に沿って、徐々に昼から夕方、夜へと睡眠時間を後退させていった方が、負担が少なくなるのです。
詳しくは、以下の記事の中でも詳細に説明していますから、ご参考になさってください。
反対に、深夜勤務の次の日が日勤など、時計の針の方向を大きく崩す勤務時間になると、体内時計は著しくズレてしまい、睡眠のリズムが極端に狂ってしまいます。
2.脳への刺激を避ける
夜勤の後にスムーズな眠りにつくためには、仕事が終わった後は、可能な限り光など脳への刺激を避けることが大切です。
具体的には、以下のような対処法が考えられます。
- 夜勤明けの移動中はサングラスなどで、強い光を避ける。
- 帰宅時も光を遮断し、静かな環境で睡眠をとる。
3.専門医を受診する
中には、どうしても不規則な勤務が身体に合わないという方もいらっしゃるでしょう。
その結果、症状がひどくなってしまった場合は、薬物療法での治療が必要かもしれません。睡眠の専門医に相談しましょう。
人は、身体のリズムが毎日の勤務体系に慣れ始めると、自然と不規則なリズムにも適応できるようになります。また、どのような生活を心がければ負担が少なくなるのか、自分の身体のリズムも自然と分かってくるものです。
しかし、うまく適応できずに、通常の生活さえ困難なほど睡眠障害が悪化するようなら、業務に支障が出ることは必至です。配置の異動などを相談する必要もあるかもしれません。
さらに、このような状況では、ストレスやプレッシャーを強く感じるでしょう。そうすると、脳は覚醒へと導かれ、ますます正常な睡眠を得ることが難しくなってしまいます。
概日リズム睡眠障害だけでなく、その他の睡眠障害の対処法としても言えることですが、なるべくストレスを発散させる運動を、習慣的に日常生活に取り入れましょう。