睡眠リズム障害とうつ病 – 原因と対策
人間や動物は、それぞれが時間を意識する「体内時計」を備えています。そして、体内時計は睡眠リズム(起床と就寝のサイクル)とも連動をしています。
睡眠リズムが乱れている(睡眠リズム障害)ということは、体内時計が乱れているという事に他なりません。この体内時計が乱れてしまう病気のことを、概日リズム睡眠障害と呼びます。
時計と聞くと、時間を把握するためのもの、と思われるかもしれません。しかし、単純に時間を認識することだけが、体内時計の役割ではないのです。
体内時計が狂うということは、睡眠リズムに影響を与えるだけではなく、心や身体の機能に重要な悪影響を与えます。
睡眠リズム障害とうつ病
体内時計が乱れると、まず睡眠のリズムに障害が出ます。夜に寝ようと思っても眠れないですし、朝は当然目覚めが悪く、起きることができません。
次に、体内時計が直接影響をしている脳の自立神経でも、良くないことが起こります。自立神経では、身体の体温や呼吸、消化器官の動き、筋肉の動きなど、様々な機能をコントロールしています。
体内時計が狂うことによって、この自律神経までもが影響を受けるのです。ですから、体の倦怠感や、だるさ、頭痛やめまい、胃腸の不具合(違和感や便秘)など、その影響は多岐に渡るわけです。
こうした現象を、自律神経失調症と呼びますが、睡眠リズム障害と自律神経失調症には、深い繋がりがあるというわけです。
これだけではなく、さらに深刻なのは睡眠リズム障害はうつ病を引き起こす原因となることがあるという事です。
さらに深刻な症状とは
不眠症や睡眠リズム障害の方に、うつ病の患者さんが多いという統計データはよく見かけることだと思います。睡眠時間が短くなったり、昼夜逆転の生活を送っていると、脳の覚醒状態(目覚め)は著しく下がってしまいます。
実験では、寝不足や睡眠リズム障害のある状態では、思考力や判断力が著しく落ち込み、さらには憂うつ感やイライラが増すことが分かっています。これは、睡眠リズム障害により、神経伝達物質であるセロトニンが不足することが要因としてあげられます。
また、この状態が長く続くと、うつ病を患う可能性が飛躍的に高まります。
統計データでも、不眠症や睡眠リズム障害を持つ方ほど、うつ病にかかりやすいということは、はっきりと証明されています。
睡眠リズム障害の対策方法はある?
睡眠リズム障害は、起床と就寝のリズムが正常な時間に保てない症状です。これを改善させるためには、一般的には就寝の時間を夜の時間に固定させるために、睡眠薬を処方してもらうという方法があります。
しかし、睡眠薬はあくまで対症療法であり、根本的な問題の解消には結びつきにくいのが実際のところです。
長期間の睡眠薬服用は、依存症や離脱症状のリスクもあります。睡眠薬を処方してもらったら、なるべく早急に就寝の時間を固定し、睡眠薬をやめるようにしなければいけません。