不眠症の薬は危ない薬?本当のところは..
最近では、不眠症で悩む人の多くが手軽に睡眠薬を手にしています。
私が以前勤めていた病院でも、患者さんが自ら「睡眠薬を処方してください」と言ってくることがよくありました。
睡眠薬と言えば、ちょっと前まで「怖い薬」というイメージが先行していたと思うのですが。うっかり睡眠薬を飲んでいますなんて言ってしまうと、大抵は白い目で見られたり、何故そんな危ない物を飲んでいるのかと言われたものです。
それが、今では眠れないと話すと、慣れている方なんて平気な顔をして「この睡眠薬が良いらしいよ」なんて言うことがあります。
これには、私はちょっとした驚きを覚えます。
不眠症の薬は危なくない?
睡眠薬が危険な薬だなんて、過去の話だと言う方が居ます。
もとを辿ってみると、大抵は医者か薬剤師か、製薬会社に行き着くと思いますが。私は製薬業界を悪く言うつもりはないのですが、「最近の睡眠薬は副作用がない」とか、「依存症や中毒症状はありません」という話には、到底納得できません。
わざわざ宣伝とは分からないような、安心感のあるホームページをたくさん作っている事にも、ものすごく違和感を感じてしまいます。
やたらと医薬品を忌み嫌う方や、西洋医学を否定する方とは一緒にされたくないのですが、データとして、最近発売された睡眠薬にも、副作用や依存性の危険があるということは分かりきっています。
これを強く実感したのは、私が病院に勤務していたからというのもありますが、それ以上に私自身が不眠症に悩み、睡眠薬を使用していた経験からです。
やたらと睡眠薬を処方したがる心療内科医に対して、私があまり良い感情を抱かなかったという事も、ほんの少しはあります。
睡眠薬は、癖になります。これを知った上でも、睡眠薬がなければ眠れないために、自ら睡眠薬を処方して欲しいと、定期的に病院に足を運びに行く方も居ます。
副作用・依存症は存在する
日本では、「ベンゾジアゼピン」や「非ベンゾジアゼピン」という種類の睡眠薬が、現在主流の睡眠薬として処方されています。
私はいつも不思議に思うのですが、なぜか医者も製薬会社も、これらの薬を「安全な薬」と言い切っています。依存性や中毒性のない、安全な睡眠薬だと言っているのです。
しかし、世界の実情を見てみると、決してそんな事は言えないはずです。
英国では英国医学会議(en:General Medical Council)が、ベンゾジアゼピン離脱症候群の管理について医師への過失を問う提議を行っている。
例えば、睡眠薬の中止、抗不安薬の急激な減量、(ジアゼパム等価用量など)置換療法の開始の失敗、重篤な離脱の影響を緩和するための増量の失敗、離脱症候群の可能性についての患者への注意義務違反など、これらの医師の過失について医学会議は査察を行っている。
最近では、日本国内でも、精神科医や心療内科医の、向精神薬(睡眠薬や抗うつ剤)の、過剰な投与が大きな問題となり、薬の処方についてのルールが改正されるという経緯があります。
当然、この中にはベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗うつ剤が多く含まれているわけです。
厚生労働省によれば、日本では諸外国より精神科での多剤投与が多く、これが過量服薬(オーバードーズ)が後を絶たない素因になっていると指摘されている。
また、中毒の危険性がある薬を処方しているにもかかわらず、用量の順守や、あるいは血液検査などの安全管理がなされていない事例が多々ある。
これらを見ても分かるように、睡眠薬は離脱症状(薬をやめようとすると、身体・精神になんらかの異常反応があらわれる)や反作用(睡眠薬の反動で不眠症が悪化する)など、明らかに副作用としか思われない症状を発症する可能性が高い薬のはずです。
睡眠薬の副作用については、以下の記事でも詳しく説明していますので、参考にされてみてください。
それにしても、なぜこうした「副作用」と思われる症状が確認できるにも関わらず、製薬会社や医師たちは、堂々と「睡眠薬に副作用はない」と言い切っているのでしょうか。
その真意は私には分かりかねますが、一方で、過剰に睡眠薬を欲しがる患者さんが居ることも事実です。
患者さんはとにかく「簡単に眠りたい」と願っています。それに対し、医師は定期的に薬を買ってくれる患者さんが通ってくれれば、稼げると考えています。
もしかすると、双方の利益はうまく釣り合っているのかもしれません。
不眠症を根本的に改善するためには、生活習慣を改善したり、それなりに健康な生活を維持しなければいけませんから、普通の人は嫌がります。
不眠症を解消する詳しい方法は、以下を参考にしてください。
睡眠薬は、確かに簡単に眠れる手軽な方法です。しかし、死ぬまで対処療法(睡眠薬)で不眠症を誤魔化し続けていても、良いのでしょうか。それは、製薬会社にとっては嬉しいでしょうが、、