睡眠薬が効かないからと言って、量を増やすのは危険
近年販売されている睡眠薬は安全性が高く、適切に使用しさえすれば決して危ないものではありません。
しかし、いくら安全性が高くなったとは言え、危険性が全くなくなったのかと言えば、それは少し違います。
医薬品開発でよく言われる言葉に、「クスリはリスク」というものがあります。
これは、安全性を確認された薬であっても、体質や使い方によっては依存性や副作用の可能性をはらんでいるということを意味しています。
ですから、眠れなくなったからと言って安易に睡眠薬を使用したり、量を増やしたりするのは危険なのです。
睡眠薬は、正しい知識を持って使用するようにしましょう。
睡眠薬の量が増える危険性
睡眠薬を服用していると、ほとんどの人が「あるタイミング」でそれまで服用していた睡眠薬が「効かなくなる」ような気がしてきます。それは、睡眠薬に対する耐性ができてしまうためです。
そんな時、お医者さんに相談すると、睡眠薬の服用量を増やしたり、違う睡眠薬を処方されたりすることがあります。
しかし、もし不眠症を根本から改善したいなら、まずは不眠症についての正しい知識を持つことが何よりも重要です。そして、不眠症の根本原因を探り、それに対する治療を行う必要があります。
以下の記事では、睡眠薬に頼らない不眠症の治し方を詳しく解説します。睡眠薬から離れられない、最近睡眠薬の量が増えているという方は、ぜひこちらもお読みになってください。
薬は不適切使用で危険にもなり得る
先述したように、安全性が高い睡眠薬でも、使い方を誤れば精神的・身体的に様々な問題を引き起こすことがあります。
現在発売されている主な睡眠薬について、詳しく見てみましょう。
今はほとんど使われない「バルビツール酸系」
その昔発売されていた睡眠薬に、「バルビツール酸系」といわれる睡眠薬があります。
よく昔のドラマなどで、睡眠薬を大量に服用して自殺を図るシーンがありました。この頃は、睡眠薬と言えばバルビツール酸系の睡眠薬でした。
この睡眠薬は、薬への依存が強く、致死量の幅が非常に狭い、つまり少ない量で死に至ることが分かっています。大変危険性が高いとされ、現在ではほとんど使われていない薬です。
現在主流の「ベンゾジアゼピン系」
1960年代に開発された「ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬は、今主流となっている睡眠薬の成分の一つです。
少量で致死量に至ることはなく、安全度は格段に向上しています。
しかし、長く服用していると、徐々に薬に対する耐性ができてしまい、同じ薬を飲んでも効かなくなる現象が起こることがあります。
また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、反跳性(はんちょうせい)作用と呼ばれる、薬を中止した際の反作用(副作用)が大きいのも特徴です。
薬を止めた途端に、以前よりもひどい不眠に悩まされたり、強い不安など心理的な障害が起きたりすることを離脱症状と言います。こうした症状は思いのほか深刻なもので、薬への依存度を余計に高めてしまう、つまり精神的に薬に依存してしまうこともありますので注意が必要です。
より安全な「非ベンゾジアゼピン系」
「非ベンゾジアゼピン系」というのは、ベンゾジアゼピン系をより安全に改良した睡眠薬と考えてください。
ベンゾジアゼピン系と同様の効果を持ちながら、ふらつきなどの身体的な副作用が起きにくい、より安全な睡眠薬だと言われています。
しかし、ベンゾジアゼピン系と同じく、長く服用し続けていると離脱症状を引き起こす可能性がありますので、やはり注意が必要です。
睡眠薬の使用は適切に
はじめに「クスリはリスク」についてご説明したように、安全性が確認された睡眠薬であっても、体質や使い方によっては危険なものになります。
また、医薬品の開発当時は発見されなかった思いもよらない様々な問題や副作用が、多くの患者さんが服用した後、長い時を経て初めて分かることもあります。
ですから、睡眠薬が効かないからと言って、安易に薬の量を増やしたり、種類を変えるのはよくありません。医師とよく相談して、なるべく睡眠薬に頼らずに済む方法も模索してもらいましょう。
また、最近では、睡眠を促すためのサプリメントも多く販売されています。こうした自然の成分で作られたサプリメントは、安全性が高く副作用の心配もいりません。
こうした種類の製品も、一度試してみても良いかもしれません。