「不眠症」に効果的なサプリメントの成分とは

ストレスで眠れない

眠るまでに何時間もかかってしまう。朝がだるく、夜中に何度も目が覚めてしまう。このような悩みは「睡眠障害」の可能性もあります。
生活環境の変化や仕事のストレスなどが重なることで、不眠症やうつ病に発展することがあります。

市販の睡眠導入剤は健康に良くない気がするし、サプリメントも副作用や安全面が気になる、そう考えている方も多いかもしれません。

現在多く販売されるようになった、休息のためのサプリメントの成分や効果について、詳細に解説したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

睡眠に欠かせない「セロトニン」

不眠は様々な理由から発生するものですが、「セロトニン」と呼ばれる脳内の神経伝達物質の不足も要因の一つです。セロトニンが、睡眠に導くホルモン「メラトニン」の分泌を促すからです。
しかし、食物から直接セロトニンを摂取することはできません。セロトニンは体内でのみ生成が可能なのです。

そこで、セロトニンを生成するための材料である、必須アミノ酸「トリプトファン」の摂取が必要です。
食物やサプリメントでトリプトファンを摂取することで、セロトニンを増やすことができるのです。

トリプトファンを含む食材

トリプトファンはタンパク質に多く含まれています。主に

  • 乳製品
  • 大豆製品
  • ナッツ類
  • 肉類(特に赤身)
などがこれに該当します。
これらの食物をバランスよく摂取することで、トリプトファンも摂取することができるのです。

サプリメントでの摂取

トリプトファンを手軽に摂取するには、サプリメントが有効かもしれません。サプリメントであれば、必要量が手軽に摂取できます。

ただ、注意点として、「セロトニンの生成に必要な材料はトリプトファンだけではない」という点です。

セロトニンの生成には、

  • トリプトファン
  • ビタミンB6
  • ナイアシン(ビタミンB3)
  • マグネシウム
  • 鉄分
などが必要です。
トリプトファンのサプリメントだけなく、以上のような成分も一緒に摂取する必要があります。

トリプトファンを含むサプリメントの安全性

どのようなサプリメントにも言えることですが、「過剰な摂取」には注意が必要です。
目安として、トリプトファンは1日6,000mg 以下とすることが必要です。

また、以下のような方は、特に注意が必要です。

  • 肝機能の疾患がある場合
  • 妊娠中や授乳中の場合
  • 抗うつ剤や向精神薬などを服用している場合
  • その他、持病などで投薬・服薬中の場合
サプリメントですので、薬とは異なりますが、用法と用量を守ることは大切です。

昨今では、インターネットで海外のサプリメントや薬品も手軽に購入できるようになっています。海外から輸入して製品を販売するサイトなども存在します。
海外の薬品は、日本の法律の基準から外れているものも多く、トラブルの原因ともなっています。 信頼できる販売元から購入するようにしましょう。

睡眠薬

その他のサプリメント

セロトニンを中心にご紹介しましたが、快眠に効果のあるとされる成分は他にも存在します。特に、以下の成分は広く知られる成分です。

  1. グリシン
  2. GABA
  3. テアニン

1.グリシン

グリシンはアミノ酸の一つで、脳内では神経伝達物質として作用し、コラーゲンに多く含まれています。

グリシンを摂取することで、より深い眠りが得られ、中途覚醒や早期覚醒が減ることが確認されています。
また、グリシンを摂取することで、集中や意欲が向上し、ストレスも軽減されるという結果も出ています。

グリシンの効果検証として、ラットを使用したノンレム睡眠増加作用の検証論文では、次のように報告されています。

水またはグリシン2g/kgを経口投与したところ、投与0~90分間でグリシン投与群は水投与群に比べ有意に覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠時間が増加した。

引用:東京大学 論文「アミノ酸グリシンによる睡眠改善効果の作用機序解明」

グリシンの摂取でノンレム睡眠が増加していますので、深く熟睡できる効果が得られるということです。

グリシンの作用

グリシンの睡眠に関する作用としては、以下の特徴があります。

  • 深部体温を下げる
  • 血管の拡張、血流増加
人が眠りに入る際、体温が下がる時に眠りに入りやすいと言われています。
グリシンの摂取によって、血流が増えますので体表温度が上がるため、体温調節機能によって深部体温が下がります。

なお、グリシンのサプリメントは、他の成分と一緒に配合されるものと、グリシンパウダーが販売されていますが、通常の食事でも十分摂取が可能な成分です。

グリシンは副作用もなく安全な成分と言えますが、過剰摂取すると、下痢や胃への悪影響がありますので、用量を守っての服用が基本です。
また、製造元が不確かなものや、人工的な生成(石油由来)など、購入の際には注意が必要です。

2.GABA

GABAもアミノ酸の一つで、脳内で抑制性の神経伝達物質として作用します。

GABAには、興奮を鎮めリラックスさせる効果があり、最近では「抗ストレス作用」が注目されています。
GABAもグリシン同様に、眠りの質を改善すると言われています。

GABAの作用

GABAの睡眠に関する作用としては、以下の特徴があります。

  • 抗ストレス作用
  • 深部体温を下げる
GABAは興奮を抑え、緊張状態を緩和する働きによりリラックスさせる効果がありますので、ストレス軽減に効果があります。

スムーズに入眠するためには、リラックスすることがとても重要です。
グリシンと同じく深部体温を下げる効果がありますが、GABAとグリシンはいずれも抑制性神経伝達物質と呼ばれ、働く部位に違いがあります。両者ともに主に脊髄や脳幹で作用していますが、大脳皮質など上位の中枢での伝達はGABAだけが作用します。

最近では、GABAを添加した食品も多く販売されていますし、サプリメントでも多くの製品が販売されています。

3.テアニン

テアニンは緑茶にも含まれるアミノ酸の一つです。緑茶のうまみ成分であり、高いリラックス効果があると言われています。

テアニンの摂取によって、中途覚醒がなくなり、ぐっすり眠ることができると言われています。

テアニンの作用

テアニンの睡眠に関する作用として、以下の特徴があります。

  • 抗ストレス作用
  • 深部体温を下げる
テアニンもグリシンやGABAと同様に、リラックス効果や体温を下げる作用があります。

グリシン、GABAと同じく、最近では多くのサプリメントに配合されています。

まとめ

リラックスした眠り

サプリメントに含まれる成分は、時に質の高い睡眠をもたらしてくれます。ただし、サプリメントはあくまでも「補助的な食品」です。

これに頼るだけではなく、日頃から規則正しい生活、バランスのとれた食事や、ストレスの解消に取り組んでいれば、自然と質の高い睡眠が得られるようになるでしょう。

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