午前中の「眠い」「だるい」原因と対策方法
朝の目覚めが悪いわけではないのに、午前中は眠くて考えがまとまらない、動きが鈍るという人は次の4つに原因があるかもしれません。
- 眠りの質が低下している
- 体内時計が乱れている
- 起床と眠りのリズムが合っていない
- 自分にとって必要な睡眠時間を取っていない
午前中の眠気は生活習慣の乱れが原因?
私たちの体には、目覚める、眠くなる、お腹がすく、体温を上げるなどを管理する時計が存在します。これを「体内時計」と呼びます。
体内時計が狂うと、体が社会生活を送るための時間である24時間のリズムに合わせられなくなり、様々な不調が起こります。
- 午前中の眠気や疲労感
- 生活習慣病と言われる肥満、高血圧、糖尿病、免疫力の低下
- 心のバランスにも関わる自律神経やホルモン分泌の乱れ
- 女性の元気を損なう月経不順、生理痛
体内時計を整えるには
仕事、プライベートで不規則になりやすい人は、体内時計に狂いが生じやすくなります。規則正しい生活を送ることで、体内時計を24時間に合わせ、生体リズムを整えることができます。
規則正しい生活が大切なのはわかっているけど、忙しくて時間通りに生活するのは難しいと思っている人もいるでしょう。そういう人はまずは以下のことに取り組んでみましょう。
①起床時間を一定にする
体内時計は、覚醒から十数時間後に睡眠を促すメラトニンの分泌を始めます。
毎朝決まった時間に起床し体内時計をリセットすることで、睡眠のリズムを整えることができます。
休日は疲れているから長く寝たいと思うかもしれませんが、これは体内時計を狂わせる一因です。日頃決まった時間に起きて体内時計をリセットしていても、休日にリセット時間が大きく変わると夜の眠気がくるのが遅くなり、十分な睡眠がとれなくなります。睡眠が不足すれば当然翌日は起床後も眠気が残ります。
疲れを感じやすい休みの前夜は早く寝る、休日の朝は寝坊しても1時間までとして、起床のリズムを崩さないようにしましょう。
②起床後30分は意識的に光を見ましょう
「朝日をしっかり浴びましょう」とよく言われます。しかしこれは少し違います。
体内時計をリセットするには、一定量以上の光を「見る」ことが重要なのです。体内時計の中心は脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部位にあります。位置的には目の奥です。
目で光刺激を受けることで体内時計がリセットされ、新たに1日のリズムを刻み始めます。
光刺激なら照明で受けていると思うかもしれませんが、照明の照度は晴れた屋内の照度の1/5しかありません。また、外出するまで十分な光刺激を受けなければ、体内時計がリセットされるのは外出時となります。6:30に起床しても8:00まで十分な光を受けずにいると、8:00にリセットされることになります。
起床したら最初にカーテンを開け、その後30分は意識して光のあるところを見るようにしましょう。
③朝食をよく噛んで食べる
朝食は、就寝中に消費した栄養素の補給だけでなく、脳に覚醒と活動時間のスタートを認識させる役割があります。この時しっかりと咀しゃくすると、精神の安定に関与する「セロトニン」を増やすことができます。
咀しゃくする食事ができない時は、ガムなどを噛むこともおすすめです。ペパーミントのガムは気分的にもすっきりすることができます。
メラトニンで朝すっきり、夜ぐっすり
午前中の眠気の原因に睡眠の質があります。睡眠の質が低下するような生活をしていないか、見直してみましょう。
睡眠にかかわる神経伝達物質として知られているのが、「セロトニン」と「メラトニン」です。
セロトニンとメラトニンは自律神経と連動しています。
セロトニンが十分に生成されていると、自律神経も正常に機能します。それによって昼間にセロトニンが活性化し、夜間にメラトニンの分泌が促進されます。
逆にセロトニンが不足したり、自律神経のバランスが崩れると、メラトニンの分泌が減り、以下のような睡眠障害が現れます。
- 寝付けない
- 眠りが浅い
- 眠りの質が低下する
自律神経の乱れや、セロトニンの不足を招かないためには、規則正しい生活、適度な運動、栄養バランスの取れた食事が大切です。
眠りの質をあげるなら「リズム運動」
運動は、ストレス解消や自律神経のバランス維持にも高い効果があります。しかし、体を動かすのならなんでもいいかというと、そうではありません。ダイエットが目的なら心拍数をあげる有酸素運動、筋肉をつけたいなら筋トレというように、目的に合わせた運動をすることが大切です。
眠りの質をあげるのなら、セロトニンを増やす「リズム運動」が効果的です。
リズム運動とは、同じ動きを繰り返す運動です。もっとも手軽なリズム運動は「咀しゃく」です。食事をしっかりと噛んで食べる、ガムを噛むことでも効果を得られます。
毎日取り組める運動としては、ウォーキング、自転車こぎ、スクワット、階段を使った踏み台昇降などがおすすめです。リズム運動は、毎日5分以上、長期間継続することが大切です。
積極的に摂取したい「トリプトファン」
眠りを誘うメラトニンを増やすためには、セロトニンが必要です。セロトニンは、必須アミノ酸の「トリプトファン」を原料として生成されます。つまり、トリプトファンの摂取量が少ないとセロトニンが十分に生成されず、メラトニンも不足することになります。
このトリプトファンは体内で合成できないため、食べ物から補うしかありません。
- かつおぶし 950mg
- 高野豆腐 750mg
- 大豆 520mg
- きな粉 490mg
- ごま 370mg
- カシューナッツ 360mg
では、トリプトファンだけを多く摂取すればいいかというと、そうではありません。摂り過ぎれば、肝機能に悪影響を及ぼすことがあります。
また、栄養素は単体ではなく、相互に影響しあって必要な物質に生成されます。トリプトファンがセロトニンに変化するためには、ビタミンB群やマグネシウム、糖分の手助けが必要になります。
栄養バランスのとれた食事を基本にして、不足している栄養素を含む食材を選びましょう。例えば、昔から健康に良いとして知られているしじみには、トリプトファンやビタミンB群が多く含まれています。その他、しじみに多く含まれているオルニチンは肝機能を高める成分として有名ですが、実は近年の研究で睡眠にも効果があることが分かってきました。色々な食材をバランスよく食べることに加えて、しじみなど栄養価の高い食材を選ぶと良いでしょう。
しかし、忙しい毎日の中で栄養バランスを考えて食事をするというのは、たやすいことではありません。そんな時は、サプリメントなどの力を借りるというもの一つの手です。
サプリメントではありませんが、自然食研の「しじみ習慣」はしじみのエキスをカプセルにしたものです。しじみエキスは肝機能を高めるだけでなく、コレステロールを低下させたり、脂肪の蓄積を防ぐ効果がありますから、睡眠と健康維持のためにもおすすめです。
睡眠リズムと眠りのタイプを知ろう
睡眠リズム
睡眠は、「浅いレム睡眠」と「深いノンレム睡眠」を繰り返しています。ノンレム睡眠で目を覚ますと目覚めが悪くなり、午前中の眠気につながります。
レム睡眠とノンレム睡眠は、1サイクルを90分で繰り返しています。目覚ましをかけるなら、就寝時間から1.5の倍数でアラームをセットしましょう。
また、睡眠サイクルを測りアラームをセットできるアプリもあるので、活用を考えてみるといいでしょう。
眠りのタイプ
一般的には6~7時間が適した睡眠時間と言われますが、実際には大きな個人差があります。6時間以下の睡眠でも十分に回復するショートスリーパーや、8時間でも十分な疲労回復ができないロングスリーパーと言われる人もいます。
ショートスリーパー・ロングスリーパーについて、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
また寝すぎでも、午前中に眠気が続きます。
大切なのは、自分に適した睡眠時間を確保することです。毎日の起床就寝時間をチェックし、眠気がある日とない日の睡眠時間をチェックしましょう。そして、眠気のない日の睡眠時間を確保するようにしましょう。