疲れて眠れない時、サプリや漢方は効果ある?
体が疲れていれば、ぐっすり眠れるだろうと考えるのは、不眠症についての深い知識が欠けているからです。
体力をたくさん消耗すれば、体の疲れを癒す為に睡眠が必要とされ、寝つきは多少は良くなります。しかし、ほとんど場合、不眠症の原因は「体の疲れが足りない」ことが原因ではありません。
不眠症の原因は、精神的な疲れやストレス、生活習慣などに起因する場合がほとんどです。
この場合、いくら激しい運動をして体を疲れさせても、不眠の原因は解消されていません。脳の疲労やストレスをうまく解消させなければ、余計に寝つきが悪くなる・何度も目が覚めてしまうという悪循環に悩まされるハメになります。
よく、「疲れているのに眠れないのですが」という相談を受けますが、どんなに疲れていようが、脳の疲労や緊張・ストレスは、むしろ脳を覚醒させてしまいます。これが、睡眠にとっては逆効果となるのです。
では、このような場合、一体どのような対策を講じるべきなのでしょうか。
疲れて眠れない時の対策
不眠症の解消法として、よく目にするのが、「適度な運動」や「ハーブティー」「ホットミルク」「アロマ」「ぬるめのお風呂に長く浸かる」「就寝時に音楽を聞く」などでしょうか。
これらに共通して言えることは、脳の緊張状態を緩和させ、リラックスした気分にさせる、ということです。
「眠るための神経」が働かない
なぜ、疲れて眠れない時に、そんなにもリラックスさせる必要があるのでしょうか。
それは、リラックスすることによって初めて、眠りを促すために必要な脳内物質が分泌されるからです。
私たちの脳には、自律神経と呼ばれる神経があります。自律神経には、昼間の活動に必要な神経(交感神経)と、夜間の睡眠に必要な神経(副交感神経)の、2種類の神経に分かれています。
リラックスして、脳の中に眠気を促す物質(メラトニン)を分泌させるのは、副交感神経神経です。
しかし、緊張やストレスなどで脳が疲れを感じていたり、興奮状態にあると、副交感神経が働かず、日中の目覚めを活発にする交感神経が働いてしまうのです。
睡眠ホルモンを分泌させるには
このような時、病院に行けば差し出してくれるのが、睡眠薬です。睡眠薬には、中枢神経に作用して、気分を穏やかにする働きがあります。これは、精神安定剤と同じ働きです。あくまでも化学的に、神経を麻痺させるようなものです。
しかし、なるべくなら、薬には頼りたくないと考えている方が多いのではないでしょうか。
サプリメントや漢方薬の働き
そうした中、最近では睡眠のためのサプリメントや、漢方薬も多く販売されるようになりました。中でも、サプリメントの中には、体の疲れと脳のリラックスに効果的に働く成分もあります。
特におすすめの成分は、ビタミンB12、B6。それから、トリプトファンと呼ばれる栄養成分です。ビタミンB6やビタミンB12には、脳をリラックスさせ、眠気を促す睡眠ホルモンを分泌させるための、手助けをしてくれる働きがあります。
トリプトファンという成分は、必須アミノ酸の一種ですが、睡眠ホルモンの直接の材料となる栄養成分のひとつです。
これら以外にも、西洋のハーブの中には、神経の高ぶりを抑え、睡眠を誘発させる成分の物がいくつかあります。
セントジョーンズワートやバレリアンなどのハーブがこれに当たりますが、西欧諸国では、実際に病院で処方されるほど、効果・効能が信頼されているものです。
最近では、こうした必要な成分を凝縮した、睡眠の質を高めるためのサプリメントが販売されています。
また、睡眠薬と同様に、病院で処方される薬の中には、漢方薬もあります。
ただし、漢方薬の効果・効能は人によって実感できる人とそうでない人とに分かれます。
漢方薬はその特性上、患者さんの体質に合うものを処方されなければ、いくら飲み続けても一向に効果があらわれません。
この場合、漢方薬についての専門の資格をもつ医師に相談をし、体質に合った薬を処方してもらうことが大切です。漢方薬の薬の量の多さは、多少は体の負担になることもあります。
いずれにしても、脳の疲れを癒すことと、自分に合った対処法を実践することが、「疲れて眠れない」という症状には効果的です。