不規則な仕事と睡眠障害 – 不眠や精神への影響
時間が不規則な仕事、例えば夜勤や深夜の勤務が伴うような職場に勤務していると、どうしても体に無理がたたってしまいます。
身体的にきついというだけならまだしも、問題はそれだけに留まりません。というのも、睡眠の時間が不規則にずれていくと、必ずと言っていいほど精神にも悪影響を及ぼすからです。
不規則な仕事と「睡眠障害」
勤務中や起きておかなければいけない日中に、ひどい眠気に悩まされる。イライラや憂うつ感、やる気がしないといった症状に悩む方は沢山います。
睡眠のリズムが崩れることによって、酷い眠気に悩まされるという事は、なんとなく想像がつきます。しかし、イライラや憂うつ感、やる気が湧かない症状や、倦怠感・疲れを引き起こす理由については、あまり理解ができないかもしれません。
睡眠のリズムが崩れると、覚醒が乱れる
睡眠のリズムが崩れるということは、脳の覚醒のリズムが乱れるということです。脳が覚醒していれば、脈拍や呼吸、体温など、体のほとんどの器官を覚醒させるための自律神経が「交感神経」に切り替わります。
しかし、脳が覚醒していない状態ではどうなるか?と言うと、体も脳も覚醒されていないわけですから、眠っている時と同様、呼吸や脈拍も活動に適した状態になっていないのです。
体温も上がらず、消化器官も活動を休止しているわけです。
この状態で無理に活動しようとしても、体は怠いだけで、まともに働くこともままなりません。また、脳は覚醒していないわけですから、判断力や思考力も極端に低下しています。
脳の覚醒に伴って分泌される、神経伝達物質である「セロトニン」が脳内で不足している状態で、気分は憂うつ・イライラ・落ち込んだ状態となってしまいます。
セロトニンが不足すると、うつ病や不安神経症など、気分障害を発症します。実際に、統計的に不規則な勤務時間の環境で働く人の方が、こうした病気を発症しやすいという結果が出ています。
リズムを整えるためには
このように、不規則な仕事で睡眠のリズムが乱れると、睡眠の質だけではなく、精神状態にも良くない影響を与えます。
不規則な仕事の勤務条件でも、睡眠のリズムを大きく狂わせない有効な方法は、勤務の時間を時計の針の回り方と同じように、一定のサイクルに整えることです。
具体的には、「日勤 → 夜勤 → 深夜勤 → 休み」というふうなサイクルを維持するということです。こうすると、脳の中の体内時計が乱れることを防ぎやすくなります。詳細は以下の記事の中でも説明しています。
→ 概日リズム睡眠障害 – 仕事や学校で起きれない本当の理由
また、自然で規則正しい睡眠を維持するための睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌させることも有効な方法です。メラトニンは、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸から作られる物質です。
トリプトファンは、最近ではサプリメントでも摂取できますから、こうしたものをうまく活用する事もおすすめです。