概日リズム睡眠障害 – 仕事や学校でも起きられない本当の理由

起きれない

社会人や学生、特に若い方に多く見られる概日リズム睡眠障害。この病気は、睡眠障害の一つに含まれています。
しかし、その症状の性質上病気とは気づかれにくく、単に「怠けている」「だらしがない」というイメージを持たれてしまうことさえあります。

仕事や授業があるのに起きられない..

概日リズム睡眠障害を簡単に説明すると、人間の脳内に存在する時計(体内時計)のリズムが、1日24時間のリズムからズレてしまう病気です。
朝と夜の時間が逆転してしまったり、大幅にズレてしまうことから、朝になっても脳や体が覚醒せず、布団から起き上がることさえ困難になります。

無理に起きても脳は覚醒をしていないわけですから、以下のような、本人にしか分からない辛い症状に襲われます。

  • 激しい倦怠感
  • 強い眠気
  • 食欲の減退
  • 意欲の減退
  • 判断力の低下
  • 憂うつ感など

当然、仕事や学業などで、どうしても起きなければならない方にとっては、とてもつらい症状ですね。そして、その精神的な負担や、周りからのプレッシャーにより、余計に精神状態を悪化させ、症状をひどくしてしまうこともあるのです。

憂うつ感から「うつ病」などの精神疾患へ

不眠のサイクル

睡眠障害の症状は、放っておくと様々な問題を引き起こします。中でも、最も発展する可能性の高い症状の一つが「心の病」
睡眠不足や睡眠のサイクルがズレる(概日リズム睡眠障害)症状が起こると、うつ病を引き起こしやすいという事実は、統計データでも確認されています。

脳の疲労が心の病に

睡眠には、脳のレストレーション(修復)をする作用があります。睡眠という行為自体が、脳を回復させ、常により良い状態に保ってくれているのです。

そのため、多少ストレスがあっても、睡眠をしっかりとれていれば脳の疲労は翌日には回復しています。しかし、ストレスが続いている日々の中で睡眠不足が続いたり、規則正しい睡眠(夜寝て朝起きる)が得られなければ、脳は十分に回復することができません。

睡眠不足の次の日を思い起こしてみてください。判断力や集中力が欠けていたり、今一つ気分が乗らなかったりしませんでしたか?
このように、一般的に、睡眠不足が続くと憂うつ感イライラの症状が出やすくなると言われています。

心に不安があると睡眠障害につながりますが、このように睡眠の質の低下が、うつ病や心の病へとつながることもあるのです。

概日リズム睡眠障害の「負のリズム」

概日リズム

一度、概日リズム睡眠障害を引き起こすと、心と身体のバランスは大きく乱れます。
当人がどれだけ努力しようと考えても、睡眠のリズムが根本的にズレてしまうわけですから、心で早起きしようと思っても身体がこれを拒否します。

ほとんどの方は、この辛さに耐えられず、夜型の生活が続いてしまいます。
しかし、このことが、さらに概日リズム睡眠障害を定着させ、心の病を誘引する原因にもなるのです。

負のリズムを断ち切るには

概日リズム睡眠障害の場合、睡眠薬を服用して無理に夜の時間に眠っても、根本的な治療には、ほとんどの場合逆効果となります。
睡眠薬には、日中の憂うつ感や不安感を高めてしまう副作用がありますから、この点も十分な注意が必要です。

「朝の太陽の光」が体内時計を正す

そこで、最も自然で、最も安全な方法は、少なくとも3週間~3ヶ月は朝の早起きを継続し、朝の光を浴びるようにすることです。仕事や学校が休みの日ももちろん、毎日です。

初めのうちは、たとえ早起きができたとしても、体の辛さや憂うつ感はしばらく襲ってくるでしょう。
ですが、数日早起きしたくらいでは、体内時計はなかなか元には戻せません。その上、たった1日でも体内時計が狂うと、正常な時間からまた大きくズレてしまいます。

たやすいことではありませんが、なるべく実践するようにしましょう。

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強力な味方「メラトニン」

とは言え、概日リズム睡眠障害方にとっては朝起きるだけでも大変なこと。そこで、強力な味方になってくれるのが「メラトニン」です。

体内時計を正常な時間に戻すために、睡眠ホルモンであるメラトニンが効果的なのです。メラトニンは、その名の通り、睡眠を誘発し、質の良い睡眠を与えてくれる脳内ホルモンです。

このメラトニンの分泌を促すには、材料となるアミノ酸「トリプトファン」を積極的に摂りましょう。
最近では、トリプトファンを豊富に含む睡眠サプリメントが販売されています。こうしたサプリメントを摂取することも、治療には有効な方法です。

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