「熟眠障害」で睡眠薬は逆効果?正しい対策は
熟眠障害とは、しっかり睡眠時間を確保したはずなのに、ほとんど眠った気がしない。朝から眠気や疲労感、寝足りない感じがするという症状です。
実はこうした症状、睡眠障害が増えている現代では、とても多くの人に広がっています。ネット上にも、こうした悩みは尽きる事がありません。
やっぱり睡眠は大事!高齢者の睡眠不足は脳の退化を加速させるとの研究結果。若いときはいくら寝ても寝足りないが、年齢を重ねると眠りが浅くなったり、朝早く自然と目が覚めてしまったりする傾向にあるφ(-ω-) — 睡眠の話題や情報集めるbot (@sleep_topic) 2014, 7月 6
熟眠障害の原因は多岐に渡るため、人によってそれぞれです。しかし、高齢者の熟眠障害の場合、ほとんどの原因が脳内で分泌される睡眠ホルモン「メラトニン」の減少にあります。
以下のグラフを見ると分かりやすいですが、10代〜20代まで大量に分泌されていた睡眠ホルモンが、20代以降は一気に分泌量が少なくなっています。
メラトニンは、脳を深い眠りに導く効果のある脳内物質です。その特性から、自然な睡眠薬、とまで言われています。
メラトニンが減少すると、具体的には深い眠りである「徐波睡眠」が得られにくくなるため、夜中や早朝に目が覚めてしまいます。
そのため、何度も夢を見たり、朝目が覚めても疲れや強い眠気を感じてしまいます。
「睡眠薬」は逆効果?!
メラトニンの減少により、熟眠障害を引き起こしている時に、睡眠薬を服用しても根本的には問題の解決にはなりません。むしろ、睡眠薬にはいろいろな問題がありますから、逆に症状を深刻にしてしまうケースさえあります。
最近では、熟睡できなければすぐに睡眠薬を処方して欲しいという患者さんが増えています。
私が勤務していた病院でも、「眠りが浅いから睡眠薬を処方して欲しい」という患者さんが毎日のように訪れていました。
インターネットなどで、製薬会社の宣伝用ホームページを見て、最近の睡眠薬は安全だと考えている人が増えているようです。また、そうした知識を知り合いなどから聞きかじり、安易に睡眠薬を求めてくる人も増えています。
医者の中にも、製薬会社のこうした考えに便乗してしまい、積極的に睡眠薬を処方する者もいます。
しかし、いくら最近の睡眠薬でも、安全な睡眠薬などありません。安全と言われている睡眠薬でも、依存性や離脱症状(中毒症状)など、最近ではその危険性が徐々に明るみに出ています。
熟眠障害の場合、深刻な睡眠障害(不眠症)ではないケースもよくあります。そんな時に安易に睡眠薬に頼ってしまうと、離脱症状や依存性により、より深刻な睡眠障害に陥ってしまうこともあります。
熟眠障害の根本的な対策方法とは
どのような不眠の症状にも、必ず原因となる「理由」があります。そこを知らないまま安易に薬に頼っていてはいけません。
先ほども言ったように、高齢の方の場合、メラトニンの減少によって熟眠障害に至るケースは非常に多いです。
この場合、日中に深刻な体調不良(疲れ、強い眠気、ダルさなど)がみられないようなら、多少寝付きが悪いくらいはあまり気にしないことも治療のひとつです。
また、メラトニンを増やすには、運動や太陽の光を浴びることは絶対必要です。よく、「やっているけれど効果がない」と話す方がいますが、そうした方の場合、ほとんどが継続できていないということが根本にあります。
まずは、正しい睡眠の知識(睡眠衛生)を持ち、正しく実践してください。
以下の記事では、睡眠障害について最低限知っておくべき事をまとめ、詳細な対策方法を説明しています。一度は読んでみてください。
睡眠薬が必要かどうかは、こうした知識と実践を繰り返した後でも十分遅くはありません。
また、最近では手軽に睡眠ホルモン「メラトニン」を増やし、熟眠障害を解消するための安全なサプリメントも販売されています。
こうしたものを、生活習慣にうまく取り入れてみることもおすすめです。