不眠症の子供が増えている – 主な原因と対処法
不眠症に悩む人口は、日本では5人のうち1人と言われています。
では、不眠症に悩む子どもは一体どれくらいいるのでしょう。また、その原因は何でしょうか。その原因と対処法を探ります。
不眠症の子供が増えている
2014年に日本大学の研究チームが行った調査では、166校99,416人の中学生と高校生を対象に睡眠時間についての調査が行われ、興味深い結果が得られました。
調査の結果によると、男子20.8%、女子22.1%の生徒が不眠症を訴えたというのです。実に約5人に1人にも及ぶ生徒が不眠に悩んでいたのです。
また、睡眠時間を、男女別に学年別にみてみると・・・
性別・学年別の睡眠時間の割合(%)(男子生徒)
睡眠時間 | 5時間未満 | 5〜6時間未満 | 6〜7時間未満 | 7〜8時間未満 | 8〜9時間未満 | 9時間以上 |
中1 | 4.7 | 6.0 | 30.9 | 30.6 | 20.8 | 7.0 |
中2 | 7.5 | 8.0 | 39.3 | 26.2 | 14.3 | 4.7 |
中3 | 13.0 | 9.8 | 46.2 | 18.6 | 9.3 | 3.2 |
高1 | 18.0 | 14.7 | 49.4 | 10.9 | 5.6 | 1.5 |
高2 | 20.6 | 15.3 | 49.9 | 9.2 | 4.3 | 1.3 |
高3 | 24.0 | 15.3 | 45.9 | 8.8 | 4.2 | 1.7 |
全学年 | 15.9 | 12.2 | 44.7 | 15.8 | 8.7 | 2.9 |
性別・学年別の睡眠時間の割合(%)(女子生徒)
睡眠時間 | 5時間未満 | 5〜6時間未満 | 6〜7時間未満 | 7〜8時間未満 | 8〜9時間未満 | 9時間以上 |
中1 | 4.5 | 8.5 | 37.7 | 28.2 | 17.1 | 4.0 |
中2 | 7.0 | 12.5 | 45.1 | 22.5 | 10.3 | 2.6 |
中3 | 11.6 | 15.4 | 50.6 | 14.1 | 6.5 | 1.8 |
高1 | 18.3 | 19.4 | 47.5 | 9.4 | 4.3 | 1.1 |
高2 | 21.7 | 21.0 | 45.4 | 7.4 | 3.5 | 1.0 |
高3 | 23.9 | 20.4 | 44.2 | 6.9 | 3.5 | 1.1 |
全学年 | 15.9 | 17.1 | 45.2 | 13.3 | 6.7 | 1.7 |
上の表のように、年齢が上がるにつれ睡眠時間が減る傾向にあり、高校3年生では約24%もの生徒が5時間未満の睡眠時間でした。また、全体でも、70%以上もの生徒が7時間以下の睡眠時間でした。
日本人の平均睡眠時間は7時間程度と考えられていますから、中高生の睡眠時間が極端に短いということを示しています。
不眠症の子供が増えている理由
日本人の睡眠時間は、徐々に減少傾向にあると言われています。
その理由には、コンピューターやテレビゲームなどの電子機器、携帯電話・スマートフォンの普及が筆頭に挙げられるでしょう。また、24時間営業の飲食店やサービス業が増えたことも理由の一つでしょう。
夜でも電気をつければ明るく、物に溢れ、眠らずに過ごすことが当たり前にできるようになった現代。子供たちにこの影響が及ぶのは、ごく自然なことなのでしょう。
スマートフォンの利用が不眠に影響する
中でも、様々な面で問題になっているのが、スマートフォンです。
スマートフォンの登場は私たちを大変便利にしてくれました。ゲームやインターネットの閲覧をすることもできれば、友人同士で手軽に連絡を取り合うことができたりSNSで色々な人とつながったりできるのもスマートフォンの特徴ですね。
しかし、使い方によっては問題があることも確かです。
小さな画面で当然寝室にも持ち込むことができますから、眠る直前までスマートフォンを手に持ち、そのまま寝てしまうこともあるかもしれません。でも、スマートフォンの発する青色の光は脳の覚醒を促します。これによって、体内時計のリズムが大幅に乱れ、睡眠時間だけではなく、精神状態にも悪影響を与えてしまうこともあるのです。
また、スマートフォンは、時間の制限なく様々な情報を収集することができます。これは逆に言えば、本来は脳を休める時間に、脳にとって良くない(刺激的な)情報を限りなく取り込んでしまうことになり、これでは脳は休まりません。
つまり、脳にとっては、スマートフォンの光も情報も刺激になり、睡眠を妨げてしまうということなのです。
時間を制限することで、スマートフォンから子どもを守る
睡眠時間の不足は、子どもたちの脳だけでなく、身体の成長の阻害要因にもなります。また、日中にスマートフォンやテレビゲームなどに夢中になって極端に運動量が低下してしまうのも、健康にも良くありませんし不眠症を引き起こす大きな原因ともなります。
ですから、こうした状況を防ぐためにも、子どものスマートフォンの使用時間を制限しましょう。
朝早い時間から起床して日光の光を浴びることによって、睡眠に必要なホルモン物質(メラトニン)が、自然と体内で分泌されやすくなります。そのような生活により、夜は自然と眠くなり、規則正しい生活になります。また、同時に成長ホルモンの分泌も促され、子供の心身の成長を促進します。
最近では、中高生でも不眠症に悩み睡眠薬を処方してもらいたいと考える方もいるようですが、子どもの頃から中枢神経に作用してしまう睡眠薬を使用するのは大変危険です。
まずは、生活を見直してみることから始めましょう。