概日リズム睡眠障害の治療 – 病院で症状を改善できる?
私たちの身体は、元々25時間を1日のサイクルとしていて、地球の1日=24時間の周期とは1時間のズレがあります。
このズレは、毎日規則正しい生活を送り、朝の時間に太陽の光を浴びることで解消されます。これにより、身体のサイクルと地球のサイクルが一致しているのです。
しかし、不規則な生活リズムや夜型の生活を送っていると、私たちの体内時計は「朝に起床して夜に眠る」という、基本的な1日のリズムとは大きくズレていってしまいます。
概日リズム睡眠障害は病院で治療できる?
不規則な生活が続くと、体内時計が乱れ、私たちの身体は徐々に概日リズム睡眠障害へと突入してしまいます。
概日リズム睡眠障害の症状は、朝起きられないだけでなく、朝から身体がだるく感じたり、夜の時間になっても眠れなくなるなど、日常生活に大きな障害を与えます。
概日リズム睡眠障害は現代人に多く見られる睡眠障害の症状の一つで、よく不眠と混同されますが、ただ「眠れない」という症状とは全く性質が異なります。
睡眠の時間がズレているわけですから、根本的な治療はこのズレの改善になります。
短時間作用型の睡眠薬が効果的
概日リズム睡眠障害では、夜眠れず朝起きられなくなります。
そこで、夜速やかに入眠できるような睡眠薬が使用されます。もし睡眠薬の作用時間が長いものだと、朝起きにくくなることがあるので、短時間作用型の睡眠薬が選択されます。
こうして、睡眠時間を徐々正常な睡眠の時間にずらす(固定する)ことが重要になるのです。
睡眠時間がある程度固定されれば、後は自然に治癒の方向へ導くように、朝型の生活スタイルにするなど生活習慣を改善するようにします。
睡眠薬は、2週間以上の使用で習慣性が高まり、依存や離脱症状の可能性が高くなるため、睡眠薬の服用期間は、短期間(長くても2週間以内)に留めておくようにしましょう。
強い光を浴びる高照度光療法が効果的
概日リズム睡眠障害では、専用の医療機器を使って、太陽の光に近い高照度の照明の光を浴びることで、体内時計のリズムを調整する「高照度光療法」が有効に作用することがあります。
高照度光療法は、人間本来の体内時計のサイクルを「光」という同調因子で整える、自然に近い治療法です。
同調因子というのは、1日を24時間と認識するための要素のことで、太陽の光以外に、例えば時計やテレビ番組などがそれに当たります。
高照度光療法は、最近ではうつ病や、冬季うつ病の治療など、気分障害の治療にも積極的に使用されています。
高照度光療法のための専用機器を備えている医療機関はまだあまり多くはありませんが、睡眠薬などのように副作用もなく安心して行える治療法ですので、インターネットなどで取り扱いのある病院を調べてみると良いでしょう。
根本的な治療が大切
いずれにしても、概日リズム睡眠障害の治療は、決して「ただ睡眠薬を飲めば良い」というような、単純な治療では解決できません。
多くが夜型生活など生活習慣の乱れから生じるものですから、患者さんご自身も正しい知識と理解を持ち、積極的に生活リズムを整えることが一番の改善への近道でしょう。