夜勤で眠れないのは当たり前?睡眠薬は必要か
不規則な時間の仕事、夜勤のある職場で深夜まで働いていると、これまで通りに夜の時間に眠ることが難しくなってしまいます。
夜の時間に働いているわけですから、帰って少しばかり眠りたいと考えるのは当たり前です。夜勤明けに数時間、スムーズに仮眠が取れれば、体の疲れも軽減されます。
しかし、いくら体が疲れていても、頭の中で作られた体内時計が正しく動作していなければ、いくら眠ろうと考えても、満足に眠ることはできません。
私たちの睡眠のリズムは、ほとんど正確に、体内時計によって動かされています。夜勤や不規則な時間の勤務は、この体内時計のリズムを崩してしまうのです。
この時間に眠りたい、といくら考えてみても、体内時計がそれを邪魔してしまうのです。
夜勤明けで「睡眠薬」は当たり前?
病院の看護師さんなど、職場によっては睡眠薬を使うことが当たり前になっている環境もあります。個人的には、それもどうなのかと思いますが、病院は特殊な職場環境でもあります。薬に対して、あまり抵抗感がないというのは、言うまでもありません。
就職したての若い方の場合、夜勤明けで眠れなくても、不規則な睡眠時間が多少続いても、あまり問題にならないことも多いようです。
しかし、これが年齢を重ねていくと、そうはいかなくなります。少なくとも私の場合、年齢を重ねるたびに、辛い不眠症との戦いは激しくなっていくばかりでした。
年をとっていくに従って、体内時計の正常化や、睡眠を促すための睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌される量は、どんどん少なくなっていきます。
ですから、ほとんどの場合、年齢が増えるごとに不眠症の悩みは深刻になっていきます。ただ、だからと言って安易に頼れる睡眠薬にばかり頼っていてはよくありません。
睡眠薬が「不眠」を悪化させることも
睡眠薬を飲めば、夜勤明けでもなんとか眠れる。不規則な仕事が続いて夜眠れないから、とにかく睡眠薬でごまかそう。
こんなふうに睡眠薬を使っている方も増えているようですが、これでは結局のところ、「臭い物には蓋をする」という、対処療法であるに過ぎません。不思議なもので、医療関係者ほど、こうしたテクニックに頼っているような気さえします。
睡眠薬は、そもそもが短期的な使用に留めるように推奨されている薬です。長い間睡眠薬を飲み続けると、体に耐性が作られ、服用量が増える。依存の形成や離脱症状の危険など、余計に不眠症を悪化させてしまうことさえあります。
率直に言って、夜勤や不規則な仕事で不眠症が慢性化している方の場合、仕事を変えることが最も根本的な不眠症治療となります。しかし、それは少々現実的ではないと思います。
睡眠薬以外に、できること
まずできることは、負担のないシフトの組み方をするということです。これは、時計の針の回転に従って、徐々に睡眠時間を遅らせる方法が最も良いと考えられています。
具体的には、以下のようなシフトの組み方です。
「日勤 → 夕方勤務 → 夜勤 → 休み」
シフトの時間を上記のように変えるだけでも、体内時計が正常に働きやすくなり、夜の時間にスムーズに寝付きやすくなります。
また、負担になり過ぎないくらいの運動を毎日行うだけでも、睡眠の質は向上されます。運動が睡眠に良い影響を与えるということは、数々の実験で証明された事実です。
また、食事での栄養管理も重要です。
睡眠ホルモンである「メラトニン」は、必須アミノ酸や、ビタミンB類をしっかり摂取していなければ、分泌されないからです。
最近では、こうした症状に最適な栄養素を組み合わせた、睡眠の質を改善させるためのサプリメントも販売されています。
眠れない、不眠の症状の本当の治し方は、睡眠薬を飲むことではありません。根本的な不眠治療は、とても地味で単純なことを見直していくことが大切です。
それなりに時間がかかることでもありますが、一度身につけてしまえば、その後不眠に悩まされることは、ほとんどなくなるのです。