夜中に何度も目が覚める、熟睡できない本当の理由
睡眠障害の中では、布団に入ってもなかなか寝付けない「入眠障害」が最も知られた病気です。
しかし、夜中に何度も目が覚めてしまう、中途覚醒と呼ばれる症状も、非常に多くの方が悩む睡眠障害のひとつです。
夜中に何度も目が覚める、本当の理由
中途覚醒が本当に辛いのは、起床する時間と回数にあります。
せっかく眠っても、深夜の1時頃に目が覚めたと思ったら、なかなか寝付けないまま、今度は深夜の3時頃に目が覚め、再度寝付くまでに時間がかかる..
このように、複数回に渡って何度も目が覚めたり、再び寝付くまでに時間がかかってしまうのが、中途覚醒の辛い症状です。
人が眠っている時間は、以下の図のように、浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)を周期的に行き来しています。
深い睡眠であるノンレム睡眠の時間は、脳の活動もほとんど休憩している状態で、この時間は夢をみることもありません。
昼間の脳の疲れを休息させ、日中の活動や思考力、判断力を養うためにも、深い眠りは絶対必要な時間なのです。
しかし、中途覚醒によって何度も睡眠が阻害されてしまうと、脳は深い睡眠を得ることができなくなってしまいます。
そうなると、朝起きても気分が冴えなかったり、何かをしっかりと考えたり、重要な判断を下したりすることさえも、難しくなってしまうのです。
中途覚醒に悩む方は、一体なぜ夜中に何度も目が覚めてしまうのでしょうか。
中途覚醒の原因
中途覚醒の原因は、人によって様々です。例えば、夜中にどうしてもトイレが近くなる人もいます。尿意が睡眠を邪魔し、何度も目が覚めてしまうのです。
この場合、食生活や飲食の時間を熟考する。それでもダメなら泌尿器科を診察する必要もあります。
こうした明確な理由がないにも関わらず、何度も目が覚めてしまう人逹も居ます。考えられる主な理由としては、概日リズム睡眠障害。または、精神的な要因(気分障害)、年齢による睡眠ホルモン、メラトニンの減少が考えられます。
概日リズム睡眠障害については、以前の記事の中でも詳しく解説していますので、参考にされてみてください。
精神的な要因というのは、これまでも何度か説明したように、ストレスや不安、または、眠れないことへの過剰な心配(いわゆる神経質な状態)が、自律神経を過敏な状態にしてしまい、何度も目が覚めてしまうのです。
この場合、浅い眠りが続く為に、悪夢を何度もみることがあります。
年齢と共に失われる「睡眠ホルモン」
睡眠ホルモンのメラトニンというのは、脳の中で分泌される、ホルモン物質のひとつです。
この物質が分泌されることによって、人は眠気を感じたり、深い眠りを得ることができるのです。
しかし、残念ながらこの脳内物質は、下の図のように、年齢と共に一気に分泌量が減っていく物質です。
メラトニンを増やすためには、日頃からしっかりと必要な栄養成分を摂取しておく必要があります。
最近では、メラトニンを増やすための必要な栄養成分を含んだ、サプリメントも販売されています。
中途覚醒は、病院(精神科や診療内科)などを受診すれば、睡眠薬や精神安定剤を処方してくれる病気です。しかし、副作用や依存症の問題がある、こうした薬を自ら使用したいと考える方は、あまり多くはないはずです。
中途覚醒の原因が、心の問題や生活習慣にあるのだとしたら、多少時間がかかっても、まずは根本対策に取り組まれてみることをお勧めします。