「過眠・眠り過ぎ」本当はストレスが原因だった
とにかく眠り続けてしまう。自分でも不思議なくらいに、沢山の時間を眠って過ごしてしまうということがあります。ほとんどは「疲労の蓄積」が原因です。
心身の疲労が解消すれば、2~3日で普通の睡眠リズムに戻ります。
しかし、夜間は十分眠っているにも関わらず、日中にも眠気がつきまとう、生活に支障が出る、イライラや集中力の低下がある場合は、精神的な問題が原因かもしれません。
過眠の原因はストレスに
眠り過ぎるという症状の原因は、いくつか考えられます。例えば、ナルコレプシー(600人に1人)や、突発性過眠症(ナルコレプシーより少ない)と言われる睡眠障害も中にはあります。ただし、これらは極めて稀なケースです。
眠り過ぎる。日常的に体がだるくなり、倦怠感とともに気だるい眠気に襲われ、長い時間を寝て過ごしてしまう。
こうした場合、ほとんどは過度なストレスや非定型うつ病などの精神疾患が原因です。
「心と体」はつながっている
心と体は別物と考える人は少なくありません。しかし実際には、心と体は常に連動しています。
例えば、何か心配事や悩みがある時には、以下のような通常とは異なる状態になることがあります。
- 寝つきが悪くなる
- 食欲が低下する
- 胃痛
- のどの詰まりなど
このように体調がすぐれない時には、気持ちも沈み悪いことばかりを考えるようになります。
逆に体調が良いと、体が軽く、何か嫌なことがあっても「たいしたことじゃない」と捉えることができます。
これは心と体が切り離せない関係にあることの現れです。
過眠で病院に通う必要はあるか
眠り過ぎてしまう(過眠)症状の原因は様々ですが、慢性的なストレスを抱えている人に多いのが「非定型うつ病」です。
精神疾患の中でも非定型うつ病は、「過眠」の傾向が強い病気です。もちろん通常の「定型うつ病」でも過眠症状を呈する人はいます。
しかし非定型うつ病の場合は、通常の定型うつ病とは正反対の症状が現れます。このため周囲の理解を得にくく、苦しんでいるはずの本人も「怠け病」と捉え自己批判に苦しむことが少なくありません。
年代的には20~30代、男性よりも女性に多く起こると見られています。
【定型うつ病と非定型うつ病の違い】
1.特徴
定型うつ病 | 不安や自己否定などネガティブな感情にとらわれて、常に落ち込む。何に対しても興味や関心を持てない。 |
非定型うつ病 | 定型うつ病と同様の症状が見られるが、好きなことを楽しむことができ、一時的に気持ちが明るくなる。 |
2.症状が現れやすい時間
定型うつ病 | 起床から日中にかけてうつ状態が続き、夕方になると少し気持ちが楽になる。 |
非定型うつ病 | 定型うつ病の反対で、朝~日中は落ち着いて過ごしていても、夕方~夜にかけてうつ状態が現れる。 |
3.現れやすい症状
定型うつ病 | うつ状態にある日中は、頭がよく働かず、何にもする気にならずぼんやり過ごすことが多い。食欲がわかずあまり食べなくなる。 夕方以降少し気持ちが楽になるものの、寝つきは悪く、夜中や特に早朝に目が覚めることが多い。 |
非定型うつ病 | 定型うつ病に比べると日中のうつ傾向は落ち着いているが、反面イライラが強く現れることがある。食欲過多になり、過食気味になる。 長時間睡眠をとっても寝たりないと感じ、日中も眠気に襲われることがある。 |
また、特定の季節(特に秋から冬にかけて)に発症する「季節性うつ病」の患者さんにも、過眠の症状がよく見られます。
あなたにも、心あたりはありませんか?
過眠の原因がうつ病など精神的な問題によるものの場合、精神科・心療内科で、抗うつ剤や精神安定剤といった薬理療法により症状を緩和することができます。
薬による副作用が心配な人もいると思いますが、ひどい頭痛や高熱で辛い時に、「胃が悪くなるから」といって解熱鎮痛剤を拒否する人はほとんどいません。同様にメリットとデメリットを比較すれば、薬理療法はメリットの方が大きいものです。
また、副作用は誰にでも起きるものではなく、起きても対処方法があります。必要以上に不安を募らせるのは、無意味であると認識しましょう。
自分の力で根本的に改善するには
眠り過ぎてしまう自分のことを、責める必要は全くありません。
心身ともに健康であれば、「眠り過ぎ」「眠れない」といった問題は、起きたとしても数日~1週間程度で解消されます。何週間も自然で健康的な睡眠が得られないということは、心身のどこかにトラブルがあるということです。
確かに、不眠に比べ過眠は他人の理解を得にくい症状です。家族や友人が理解してくれると良いのですが、残念ながら、親しい人が常に良き理解者で居てくれるとは限りません。
もし、あなたが今過眠で苦しんでいるのなら、まずはあなた自身が自分を責めず、そのような自分を認めてあげましょう。
多くの場合うつ病は、「自己否定」「自己批判」が根底にあります。自分を認めて受け入れることは、過眠、不眠、過食、集中力低下などの「心を原因とした諸症状」を解決するための第一歩になります。
しかし、朝の起床が不定になると、概日リズム睡眠障害や精神症状の悪化につながる場合があります。朝は決まった時間に一度起きて、30分程度は太陽の光を意識できる場所で過ごしましょう。そして昼間でも眠くなったら、1~2時間後にアラームをセットして眠りましょう。心身が求める休息にあらがう必要はありません。
過眠の症状が落ち着いたら、以下に取り組みましょう。
- 食事の改善
- ストレスへの対処
- 規則正しい生活
- 適度な運動
特に食生活の改善は、あなたが考えている以上に精神や脳に作用します。基本は栄養バランスの取れた献立です。
ストレスを感じやすいなら、ビタミン群やマグネシウムを積極的に摂り入れると良いでしょう。
- 鶏のささみ
- 卵
- キウイなど
- 緑黄色野菜
- ココア
- アーモンド
- 納豆など
運動は、ストレス解消や睡眠リズムの調整に高い効果があります。しかし、少々ハードルが高いので、睡眠や気分などの症状がある程度改善してからの方が良いかもしれません。
どんな小さなことからでも良いので、できることからはじめて、それを継続していきましょう。